【目次】
・「取り繕う」の意味とは?
・「取り繕う」の使い方をチェック
・「取り繕う」の誤用に注意
・「取り繕う」を表すことわざ
・「取り繕う」人の特徴とは?
・「取り繕う」とどうなるの?
・「取り繕う」クセをなくすには?
・最後に
「取り繕う」という言葉は、日常でもよく聞かれる言葉ですが、正しく意味を理解していますか? また、「取り繕う」クセがある人はいませんか? 本記事では、「取り繕う」という言葉の意味を抑えた上で、その心理を検証してみます!
「取り繕う」の意味とは?
「取り繕う」は、「とりつくろう」と読みます。「取り繕う」の「取り」は「取りあえず」の「取り」と同じで、「急場をしのぐ」という意味があります。「繕う」は「修繕する」という意味。「急場をしのぐためにする修繕」という意味が一番に思い浮かびますが、ほかにも意味があるのです。それぞれ、解説しますね。
1:見た目をよくすること
人から見える部分だけを飾って、見た目をよくすることを「取り繕う」といいます。
「急に人が来ることになったので、玄関だけは取り繕ってきれいにした」、「スーツにこぼしてしまったので、急いで拭き取って取り繕った」などというような使い方です。
2:都合の悪いことを隠してごまかすこと
自分のしたことが確実に叱られるとわかっている場合に、ウソをついたり、隠したりして、ひとまずごまかしておくことをいいます。
「書類にミスを見つけたが、もともとのデータが違ったと取り繕った」、「間に合わせの企画書で取り繕った」などというように使います。
「取り繕う」の使い方をチェック
「取り繕う」の意味を説明しました。ここで注意しておきたいのが、「取り繕う」という言葉は、基本的に悪い意味で使われるということです。
前述2の「ごまかす」という意味で使う場合、悪い意味なのはわかりやすいですが、前述1の「見た目をよくすること」という意味で「取り繕う」を使った場合も、「その修繕は感心しない」というニュアンスを含みます。
ですから、人に向かって「上手に取り繕ったね!」などと言ってはいけません。「取り繕う」は、褒め言葉にならないのです。
「取り繕う」の誤用に注意
時々、「取り繕う暇もない」という使い方をしている人がいますが、これは誤り。おそらく、頼れるところがないという意味の「取り付く島もない」を勘違いしたものかと考えられます。注意してくださいね。
「取り繕う」を表すことわざ
「取り繕う」ことを示すことわざがあるのを知っていますか? 「猿に烏帽子(えぼし)」です。猿が烏帽子をかぶってもさっぱり似合わないことから、その人には相応しくない服装や言動のたとえとして使われます。
また「辺幅修飾(へんぷくしゅうしょく)」という四字熟語もあります。これは外見を飾って見栄を張ること。「彼女は見合いの席でも辺幅修飾せず、いつも通りの姿でやってきた」などというように使います。
「取り繕う」人の特徴とは?
「取り繕う」クセがあると、その場を切り抜けることはできますが、真の成長や解決ができないまま、放っておかれることになります。それは積もり積もるとどうなるでしょう。一筋縄では解決できないほど、問題が膨れ上がっていることもあるのです。
では、人が「取り繕う」ときには、心の中でどんな気持ちが働いているのでしょうか。
1:叱られるのが怖い
些細なことであっても、自分がしたことが必ず叱られるとわかっているとき、それを素直に言い出すには、少し勇気が必要です。「取り繕う」人は、この勇気が足りなかったのかもしれません。
後になってみれば、「あのとき、素直に謝っていれば…」と思うのですが、問題に直面したときには、どうしてもその勇気が出ず、結果として、その場を「取り繕う」ことになるのです。
2:プライドが高い
「取り繕う」クセのある人はプライドが高めです。人から「素敵だ」「かっこいい」「できる」などと思われたいがために、ひとまず見た目だけでもよく見せようと自分を飾るのです。
内面からにじみ出る自信を獲得するには時間がかかります。また、その間には失敗や苦悩もあり、人にあまり見られたくない場合もあるかもしれません。「取り繕う」クセのある人は、その努力をしないうちから、人によく思われようとするのです。
3:自己肯定感が低い
「取り繕う」クセのある人は、プライドが高いにもかかわらず、自己肯定感が低いという場合があります。自分で自分を否定しているがゆえに、表面だけをよく見せようとするのです。自分で自分を認めていれば、表面を飾る必要はないのではないでしょうか。
「取り繕う」とどうなるの?
取り繕ってばかりいると、人に信用されなくなります。
「取り繕う」という行為は、所詮、その場しのぎでしかありません。真の解決や成長にはつながらないので、後になって必ず、その不完全さが露呈するのです。そのようなことを繰り返していると、「あの人はいい加減なことばかりする」という印象が周囲の人に植え付けられるようになり、結果として信用を失うことになります。
「取り繕う」クセをなくすには?
「取り繕う」という行動は、熟慮の末に行われることではなく、「とりあえず、こうしておこう」という軽々しい考えから生み出されるものです。軽率な行動から、信用を失うのは残念ですよね。そこで、「取り繕う」クセをなくすための方法を考えてみました。
1:落ち着いて考える
たとえば、急な来客や、突然入ってきたオンライン会議など、その場をしのげれば問題ない事柄の場合は、その場を取り繕っておけば大丈夫ですね!
でも、叱られるのが嫌で「取り繕う」のはよくありません。予期せぬことが起こったとき、あるいは自分でも予想していなかった失敗をしてしまったとき、どうするのが一番いいのかを焦らず、ゆっくり考えてから行動してみましょう。そうすることで、無意味に「取り繕う」ことをしなくて済むのではないでしょうか。
2:自分を認める
人は誰でもミスや失敗をするものですし、いつでもどんな場所でもかっこいいわけでもありません。「あるがまま」の自分を認めてみましょう。そうすれば、「取り繕う」必要がなくなります。
取り繕ってばかりいるのは、ウソを重ねているようなもの。後で必ずつらくなってしまうので、「失敗してしまった自分」を認めた上で、同じ失敗を繰り返さないように、行動を変えていくことのほうが建設的ではないでしょうか。
最後に
「取り繕う」という言葉は政治家の発言などによく用いられる言葉ですが、日常でもちょっとしたミスや失敗をしたときなどに見かけます。「ちょっとだけ…」と取り繕ってばかりいると、それは「その場しのぎの修繕」でしかありませんから、すぐにほころびが見つかるもの。問題は、小さなうちに確実に手を打っておくことをおすすめします。
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