やっと病室で夫と再会! 医師たちを驚かせたこと【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、夫の手術終了直後、ストレッチャーに乗せられた夫と対面した時のお話をお届けしました。今回は、病室で執刀医や麻酔科医から夫の術後の説明を受けた時のお話。
夫と対面、涙が止まらない…
2018年の冬、夫が男性不妊の原因のひとつと言われている精索静脈瘤の手術を受けました。手術が終わり、夫は手術室から病室へ運ばれ、私は呼ばれるまで病室の外で待っていました。
5分くらいが経過したころ、ようやく看護師が私を呼びに来てくれました。この時の待ち時間は、とても長く感じた…。
看護師「病室が整いました。お部屋で主治医と麻酔科医から説明がございますので、奥様、どうぞ」
部屋のドアを開けると、夫のベッドの奥側に執刀してくれた主治医のI先生と麻酔科の男性医師、そしてベッドの手前側に女性の看護師さんが3名立っていました。
I先生「奥さん、ご主人がんばりましたよー!! 手術は大成功ですよー!」
大きな声と満面の笑顔で迎えてくれたI先生。頭を下げながら「ありがとうございました」と呟くと、目からぽろっと涙がこぼれました。我慢していた感情が、あふれ出してくる。
その時突然、ベッドで眠っていた夫が、すごい勢いでバサ~っと上体を起き上がらせました。
麻酔科医「あぶない!」
まわりの看護師たちにも押さえつけられるようにベッドへ寝かされる夫。
私「…?」
麻酔科医「手術が予定よりだいぶ早く終わったので、まだ麻酔が効いたままなんです。急に動くとよくないので、しばらくはこのまま安静に寝かせたままにしてください」
私「ありがとうございました、本当に」
すると、またしても、夫がバサ~っと起きた。ハッ?! アナタ、何してんの?
夫が起き上がる理由は?
麻酔科の先生と看護師の皆さん、みんなに大慌てで押さえつけられる夫…。すると、主治医のI先生が「ぐわーはっはー!」といつものビッグスマイルで豪快に笑いながら
I先生「ご主人は奥さんの声に反応しとるのですよ! 奥さん、ほら、こっちきて、ここに腰かけて。ご主人の手でも握ってあげてください」
えーー!
窓際の椅子をベッドへ向けるI先生に促され、私はおずおずと夫のベッドへ近づきました。手を握ってと言われても…。こんなに大勢の人に見つめられながら夫の手を握るなんて、めちゃめちゃ恥ずかしいんですけど(;^_^)
でも夫の顔を改めて近くでみたら、ホッとした気持ちもありました。あの給食帽風のヘアキャップは外されていたものの、おでこにはうっすら汗。前髪は貼り付いたまま。その前髪をなおすように、夫の額に触れる私。
私「アナタ、先生たちががんばったって言ってくださっているわ」
と静かに話しかけると…。
夫「何もがんばってないよぉぉぉ~。寝てただけだよぉぉぉ~」
弱々しい声だけど、短い会話ができました。すぐにまたスヤスヤ眠ってしまったけど。すると麻酔科の先生が小さい声で説明してくださり、私も小さい声で改めてお礼を言いました。執刀してくださったI先生も小声で話します。
麻酔科医「このまま寝かせておいてください。じきに麻酔がちゃんと切れたら動けるようになりますから、安心してください」
I先生「今日はこのまま麻酔科の先生からOKがでたら、普通に飲食して大丈夫。明日の朝の回診で、感染症などの最終をチェックしたら、予定通り退院できますから。いちおう、傷口の経過を1週間後に見せてもらいたいんだけど、土日休みなら、次の土曜日で大丈夫かな?」
夫を起こさないように気を使っているI先生。なのに夫は目を閉じたまま「ハイ!」と大きな声で返事をして、一同、爆笑。
I先生「おぉ! ご主人元気だー! ぐわーはっはー(笑) これなら安心、安心。それじゃ、今日は傷口を何度か消毒しながら経過観察していきますからね。今晩は少し出血があるかもしれないけれど、しっかり縫ったので開くことはありませんから。もう大丈夫ですからね」
冗談っぽく笑いを交えて説明してくださいました。夫は静かに眠ったまま。
足に血栓予防のための器具が取り付けられる
麻酔がかかったまま寝たきりなので、夫の足には血栓ができないようにするためのマッサージ器みたいな機械を取り付けられました。
作業に来てくれたのは、あのライトな雰囲気の看護師さん。
看護師「無事に終わってよかったですね。奥様もお疲れさまでした。よくがんばりましたね」
私「いえ、先ほどは助かりました。本当にありがとうございました」
看護師「顔色、よくなられて安心しましたよ。じゃあ、時間をおいて傷口のバンド交換にまいりますので、いったん失礼します」
そして、病室はまた私と夫の2人きりに。ブーン、ブーンという、足のマッサージ器が、定期的な音を立てていました。気持ちよさそう。
そういえば、最近マッサージにすら行く余裕なかったな。命に関わらない手術とわかっていても、家族がひとり入院するとやっぱり大変ですね。
次回は手術当日の夕飯の様子をお話したいと思います。
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クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。