能力があるのに、話し方で損している人
世の中には、すごくいいことを言っているのに、なぜか人に好かれない人がいます。一方で、月並みなことしか言わないのに、なぜか多くのご縁に恵まれて、うまくいく人もいます。
人間関係を築く上で大切なのは、人柄や、物事の見方、考え方です。
しかし、いくらいいものを内に秘めていても、話し方を間違えてしまうと魅力は伝わらず、人を遠ざけてしまうことになります。
いい話し方ができるようになれば、人生は劇的に変わる。
これは、決して大げさではありません。ではどうすれば、いい話し方になるのか。
具体的な話に入る前に、話し方すべての基礎となる「大原則」についてお話ししましょう。
話し方における「微差」とは?
コミュニケーションを制すれば、人間関係を制したのも同じです。
もう少し砕いて言えば、「うまく人と話をすることができれば、あなたの日常はさらに豊かなものになる」ということになります。
「あの人にはなぜ人が集まるのだろう?」あなたが羨ましく思っているあの人は、あなたの100倍の努力をしているのでしょうか?
答えはノーです。
私の好きな言葉に、「微差が大差になる」があります。その人は、今のあなたより「ほんの少しだけ」人とコミュニケーションを取る上で、大切なことを知っているだけなのです。
では彼らは何を知っているのでしょうか? 答えを申し上げます。
まず、「人は誰もが自分のことが一番大切であり、自分に一番興味がある生き物である」ということ。
想像してみてください。みんなで写った集合写真で真っ先に見るのは、何でしょうか?
そうです、自分の顔です。集合写真が手元に届いて、他人の顔を確認する人は滅多にいません。まず自分です。
つまり、一番興味がある「相手自身」のことを主役にすれば、自然に相手の感情は高まっていく。
これは「自分を主役にしてくれるあなた自身のことを好きになる」、という簡単な心理です。これがコミュニケーションの達人だけが知っている3つの心理、1つめです。
2つめが、「本来、誰もが自分のことを認めてほしいし、自分のことをわかってほしいと熱望している」です。
そして3つめが、「人は自分のことをわかってくれる人のことを好きになる」です。
話し方は「聞き方が9割」
この誰もが持っている3つの心理は、今のあなたにとって、ものすごく「ザクッと」、そして「抽象的に、フワッ」と聞こえるかもしれません。
しかし、この本を読んでいただくうちに、深くご理解いただけるようになります。ご安心ください。
さて、この3つの心理を踏まえた上で、まずあなたにパラダイムシフトをしていただきたいことがあります。
それは、「話し方において一番大切なことは、“聞くこと”である」ということです。
「ちょっと、待ってよ! 私は聞き方ではなくて話し方について知りたいの」
そう思ったあなた。
そうです。本書は、話し方の本です。なのに、なぜ、聞き方が重要だと言うのか?
それは、先ほど紹介したように、人は誰しも自分のことに関心を持ってほしいと思っており、認めてほしいと考えているからです。
そうした相手の自己重要感を高めるのに最も有効なのが、「聞き方」をマスターすることなのです。
次回、「聞き方」の重要性がわかる、具体的なエピソードを紹介します。
『人は話し方が9割』発売中!
コミュニケーションの基本である会話がうまくいくようになる、ちょっとした、でも多くの人が気づいていないエッセンスが盛り込まれた『人は話し方が9割』は絶賛発売中です。ぜひチェックしてみてください。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
永松 茂久(ながまつ・しげひさ)
株式会社人財育成JAPAN代表取締役。大分県中津市生まれ。「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトのユニークな人材育成法には定評があり、全国で数多くの講演、セミナーを実施。「人のあり方」を伝えるニューリーダーとして、多くの若者から圧倒的な支持を得ており、講演の累積動員数は延べ40万人にのぼる。2020年1番売れた会話の本『人は話し方が9割』(すばる舎)をはじめ、著書多数。