【目次】
・「所存でございます」の意味とは?
・「所存でございます」を使う相手
・「所存でございます」の使い方を例文でチェック
・「所存でございます」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
・「所存でございます」を使う時の注意点
・「所存でございます」の英語表現とは?
・最後に
「所存でございます」の意味とは?
「所存でございます」というフレーズ。しばしば誤用してしまっている方が目につきます。「所存でございます」の使い方をマスターして、自分の意思をきちんと伝えられるようにしましょう。本記事では、「所存でございます」の正しい意味や使い方や注意点をまとめて解説します。
「所存」は、「しょぞん」と読み、心に思うところや考えがあるという意味になります。「所存」は「存ずるところ」の省略表現です。「存ずる」とは、「知る」「承知する」「思う」の謙譲語になります。「所存でございます」という表現は、「思います」「考えています」という意味をより丁寧に伝えています。
「所存でございます」を使う相手
先述した通り「所存」は謙譲語ですので、自分の行為に対して使う言葉です。自分を低く見た表現であるため、相手の行為に使うことはできません。「所存です」よりも「所存でございます」とすることで、取引先や役員などより敬意を払うべき相手に対して使える丁寧な表現であると言えます。
「所存でございます」の使い方を例文でチェック
実際の使い方を例文を用いて、みていきましょう。
1:「近日中に、ご挨拶に伺う所存でございます」
アポイントの確認や挨拶に使われることが多いです。また、お客さま宛のメールで、今後の姿勢を宣言するために用いることもできます。
2:「このご縁を大切に、さらに全力で努めていく所存でございます」
手紙で感謝や近況報告などを示したうえで、これからの姿勢を伝えるのに「所存でございます」と締めくくります。
3:「貴社に貢献できるよう、全力で業務に邁進する所存でございます」
履歴書等の自己アピールの記入欄で「所存でございます」を使うのは効果的。自分のアピールを添えて、考えを伝えるために使うのが良いでしょう。
「所存でございます」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
「所存でございます」の類語や言い換え表現をご紹介します。
1:「意向」
「意向」も「考え」という意味。「~する意向です」などとして「所存です」と同じように使えます。ただし、「意向です」に敬語の意味は含まれませんので、そのままでは目上の人に対しては使えません。
自分の考えを目上の人に説明するときは「所存でございます」を使いましょう。そのかわり、上司など、目上の人の考えについて述べるときは「~というご意向です」などと「ご」をつけて使うことができます。
2:「所懐」
「所懐」は、「しょかい」と読みます。「心に思っている事柄、思うところ」という意味。「所懐」は思っていることをこれから述べるというときに「所懐を述べる」と使います。「所存」は思っていることを明らかにしたうえで、締めくくる語として使います。使い方に違いがあるので注意しましょう。
3:「所感」
「所感」は、「しょかん」と読みます。「事に触れて心に感じた事柄、感想」という意味。「心に思うところ」という意味合いでは、「所存」の類語にあたります。
「所存でございます」を使う時の注意点
「〜と思う所存でございます」という言い回しを見かけることがあります。この言い回し、正しいでしょうか? 正解は、「所存」が「思う」という意味を持っていますので、「思う所存でございます」は二重表現となり、誤りです。
また、人の意見などについて「ご所存です」ということもできません。「所存です」は謙譲語ですので、相手を主語にすると失礼に当たります。相手の意見について述べるときは、「ご意向です」が適しています。
「所存でございます」の英語表現とは?
英語には敬語という概念がありません。「所存でございます」を英語で表現する場合には、「~したいと思う」という意味の「intend to~」「I will~」「would like to~」などのフレーズを使うのが一般的です。
・「intend」
「intend」は「意図する」「つもりである」などの意味。「intend to~(do)」の形で「(~をする)つもりである」という意思を表現します。
・「I will~」
「I will~」も「私は〜をしたいと思う」という強い意思や決心をあらわします。また、「be going to~」というフレーズを使うと、「あらかじめ決めていたことをする」という意味を表現できますよ。
・「I would like to~」
「I would like to~」は「(さしつかえなければ)~をしたいと思うのですが」という丁寧な表現になります。ただし「所存です」のような謙譲のニュアンスはありませんので注意してください。
また「~したいです」の意味では、「I want to~」という表現も一般的ですが、少し子供っぽい言い方に聞こえる可能性があります。
最後に
いかがでしたでしょうか? 「所存でございます」は、謙譲語ですので、目上の人に自分の考えや思いを述べる際に使える丁寧な表現であると分かりましたね。「〜と思う所存でございます」などの誤った表現も多く使われてしまっているのも現状。この記事を読んで「所存でございます」を正しく理解して使っていきましょう。
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