【目次】
・「ご清祥」の読み方や意味とは?
・「ご清祥」と間違えやすい言葉2つ
・ご清祥の使い方は? 例文でチェック
・「ご清祥」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
・「ご清祥」の英語表現ってあるの?
・最後に
「ご清祥」の読み方や意味とは?
よく手紙やビジネス文書などで目にする「ご清祥」という言葉。「ますますご清祥のことと…」などというように、冒頭の挨拶文で非常によく使われるフレーズですね。しかし、正しい意味や「ご清栄」や「ご健勝」との違いは、しっかり理解しているでしょうか? 社会人マナーとして、きちんと使い分けができるように、本日は「ご清祥」という言葉の意味や使い方、適切な英語表現はあるの? という疑問まで丁寧に解説していきます。
◆ご清祥の読み方や意味
「ご清祥」は<ごせいしょう>と読むのが正しい読み方です。「清祥」に含まれる「祥」という漢字は、「嘉祥(かしょう)」や「吉祥(きちじょう)」などという熟語に使われるように、幸せな事やめでたい事という意味が含まれています。「ご清祥」は、相手が健康で幸せに暮らしている事を喜ぶ、という意味になるんです。
「ご清祥」と間違えやすい言葉2つ
「ご清祥」と似たような言葉を見たことがありませんか? 「ご清栄」や「ご健勝」なども手紙やビジネス文書では、非常に活用されている言葉です。これらの言葉は、それぞれ意味や使い方が微妙に違いますので、間違えないようにきちんと覚えておきましょう。
◆ご清祥とご清栄の違いとは?
「ご清祥」と「ご清栄」は、「祥」と「栄」の意味に違いがあります。この「栄」という漢字は、「繁栄」を意味し、中でも「経済的な繁栄」を指すことが一般的です。よって「ご清栄」は、企業宛・個人宛どちらも使うことができます。「ご清祥」には、この「繁栄」の意味は含まれていないので、主に個人に向けて使われることが多い言葉です。
◆ご清祥とご健勝の違いとは?
「ご健勝」もまた、よく手紙の挨拶文で用いられる言葉になります。「健勝」とは、体が丈夫で健やかなさまを意味する言葉です。こちらは相手の健康を気遣うフレーズになりますので、企業宛には使われないのが一般的です。「皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」のように、結婚式などのお祝いの席でのスピーチなどでも使われるフレーズになります。
ご清祥の使い方は? 例文でチェック
では早速、「ご清祥」を用いた具体的な例文をご紹介していきます。
1:「時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」
こちらは、ビジネスの挨拶状、案内状、お礼状、年賀状など、様々な書面で非常に使える挨拶文になりますので、覚えておくとよいでしょう。冒頭の「時下」とは、「この頃、目下」を意味する言葉です。この「時下」の言葉を少し言い換えた例文を、次にご紹介します。
2:「立冬の候、皆様方におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」
冒頭の「○○の候(こう)」という慣用句は、時候の挨拶といってその時の季節によって○○に入る言葉が変わってきます。「立冬」は、11月中旬(7日~21日頃)に使える挨拶文です。11月下旬(22日以降)になると、「小雪」となります。日本語って奥深いですよね。
3:「時下、益々ご清祥の段、大慶に存じます」
こちらもビジネスで使える、非常に堅くフォーマルなフレーズです。「大慶」とは、大きな喜び、非常にめでたいという意味を表し、この場合は相手の健康を喜ぶ言葉になります。
「ご清祥」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
「ご清祥」には、「ご清栄」、「ご健勝」の他にも、似たような場面で使える言葉がいくつかありますので、併せてご紹介していきます。どれも非常に使えるフレーズですので、覚えておきましょう。
1:「ご盛栄」
「盛栄(せいえい)」とは、相手の商売が盛んになることを意味します。個人宛でも企業宛でもどちらにも使うことが可能です。
例文:「初秋の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます」
2:「ご隆盛」
「ご隆盛(りゅうせい)」は、「ご繁栄」、「ご隆盛」と同じように勢いよく栄えるという意味があります。以下の「平素は~」も非常によく見られるフレーズです。
例文:「貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引立てを賜り、誠にありがとうございます」
3:「ご壮健」
「ご壮健(そうけん)」とは、健康で元気であることを意味する慣用語です。「ご清祥」や「ご健勝」と同じく、個人宛に使われることが一般的になります。
例文:「○○様におかれましては、益々ご壮健にてご活躍のこととお慶び申し上げます」
「ご清祥」の英語表現ってあるの?
日本語と違って、英語では形式的な挨拶文のようなものは、特にビジネス文書においては、あまり使われません。以下のようなオフィス移転のお知らせなどを例に挙げると、英語では、冒頭から本題に入ることがほとんどです。
一方で、メールや手紙などの冒頭では、「I hope you are keeping/doing well.(お元気にお過ごしのことと存じます)」といったフレーズは、非常によく使われる挨拶文になります。
<例文>
Dear All,
(皆様へ)
We are pleased to announce the relocation of our office, effective January 1, 2021. Our new address, telephone and fax numbers follow;
(2021年1月1日付でオフィスを移転することをお知らせいたします。新しい住所、電話番号、ファックス番号は下記の通りです。)
28F, XXX Building
X-XX-XX, Nishi Azabu
Minato-ku, Tokyo XXX-XXXX
Phone; +81-3-XXXX-XXXX
Fax: +81-3-XXXX-XXXX
Please see the attached map for directions to our new office.
(新オフィスへの道順につきましては、添付の地図をご覧ください)
Sincerely.
(=敬具のような結びの言葉)
最後に
いかがでしたか? それぞれ意味は少しずつ異なるものの、いずれも相手の健康や繁栄を願う温かい言葉になります。手紙やビジネス文書でも、冒頭の挨拶文があるのとないのとでは相手の印象も全く違ったものになってきます。正しく理解し失礼のないよう、きちんと活用できるようになると、社会人として恥ずかしくないですよね。これを機にしっかりと身に付けましょう。
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