【目次】
・「烏滸がましい」の意味や由来とは?
・「烏滸がましい」の使い方を例文でチェック
・「烏滸がましい」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
・「烏滸がましい」を使う時の注意点とは?
・「烏滸がましい」の英語表現とは
・最後に
「烏滸がましい」の意味や由来とは?
「烏滸がましい」は、なんと読むでしょうか? 日常会話やビジネスシーンで、何かを相手にお願いしたいとき、目上の人に自分の意見を言うときに使うと、相手を立てると同時に、こちらの謙虚な姿勢も伝わるので、ぜひ覚えておきたい言葉です。本記事では、そんな「烏滸がましい」という言葉を解説していきます。
「烏滸がましい」は「おこがましい」と読みます。まずは、「烏滸がましい」の意味や由来について解説していきましょう。
◆烏滸がましいの意味
「烏滸がましい」は、「身の程をわきまえない、差し出がましい、なまいきだ」や「いかにもばかばかしい、ばかげている」という意味があります。
◆烏滸がましいの由来
「烏滸がましい」は、古くから使われている大和言葉。本来の語形は「をこがまし」であり、「ばかげている」という意味の「をこ」に、接尾語の「がまし」がついた形容詞です。平安時代に書かれた『源氏物語』の中でも使われています。
古文では、「ばかばかしい」や「みっともない」という意味として用いられていました。その「みっともない」というニュアンスが転じて、現代の日本語では、「分をわきまえていない、でしゃばっている」という意味で使われています。身の程知らずにも、差し出がましい態度を取るのはみっともなく、恥ずかしいという気持ちを込めて使います。
「烏滸がましい」の使い方を例文でチェック
「烏滸がましい」という言葉は、ビジネスシーンにおいて広く活用できます。具体例をご紹介していきましょう。
1:「烏滸がましいお願いをして申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いします」
「烏滸がましい」は、何かを依頼するときにクッション言葉として用いることができます。相手に言いにくいことを伝えなければならないとき、「おこがましいのですが」というクッション言葉を用いることで、与える印象を和らげられるでしょう。
2:「私のような若輩者が意見を申し上げるのは甚だ烏滸がましいのですが、今回の取り組みは再考が必要だと思われます」
目上の相手に指摘をするときにも、「身の程をわきまえず、差し出がましいようですが」という意味で用いることができます。この場合も、印象を和らげることができますね。上司や取引先の人にお願いをしたり、要望を伝えたりするときに、このように前置きをすることで、相手を立てると同時に謙虚さをアピールすることができるでしょう。
3:「お客様に対して、あのような接客をするのは烏滸がましいですよ」
上司から部下へ、目下の相手に対して態度を改めるよう注意する際にも「烏滸がましい」を用いることがあります。この場合は、「生意気な」といった意味です。話し言葉でも書き言葉でもどちらでも使うことができます。
「烏滸がましい」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
「烏滸がましい」の類語をあわせて覚えておけば、会話の幅に広がりがでますよ。
1:「厚かましい」
「厚かましい」は、「行動や態度に慎みがない。ずうずうしく遠慮がないこと」の意味。「烏滸がましい」が「身の程をわきまえていない」といったニュアンスを含んでいるのに対して、「厚かましい」は上下関係などにかかわらず、ただ単に図々しく、遠慮がないといった意味で用いられます。そのため、部下が上司を「厚かましい態度が嫌だ」と言うことはあっても、「おこがましい態度が嫌だ」と言うことはできません。
2:「分不相応」
「分不相応」は、「ぶんふそうおう」と読みます。「立場や言動などがその人の身分や地位を超えていること」の意味。すなわち、その人にふさわしくなく生意気というニュアンスを含むことになるため、「おこがましい」の類語と捉えることができます。
3:「差し出がましい」
「差し出がましい」は、「必要以上に、他人のことに関与しようとする、出過ぎた感じである」という意味。相手に対し「でしゃばる・余計なことをする」ことを伝える表現です。いずれも、依頼の際のクッション言葉として使うことができます。
「差し出がましいようですが」は「おせっかい、余計な事」という意味に対して、「烏滸がましいようですが」は「身の程をわきまえていませんが、分不相応ですが」といったニュアンスの違いがありますので、場面によって使い分けましょう。
「烏滸がましい」を使う時の注意点とは?
「烏滸がましい」を使う時の注意点について、3つ覚えておきましょう。
1:嫌味にならないようにする
「烏滸がましい」は、先述したとおり、“身の程知らずにも、差し出がましい態度を取る自分が恥ずかしい”という謙遜の意味をこめて使います。もし、自分の方が相手よりも立場や年齢が上で、経験が豊富なことが明らかな場合は、「烏滸がましい」を使うと、嫌味っぽい、または威圧的に聞こえてしまう可能性があります。ストレートに伝えた方が相手の心証を害さない場合もあるので、場面に合わせて使い分けましょう。
2:他人を非難する言葉である
「烏滸がましい」を他人に使った場合、その人物を非難していることになります。例えば「先輩にあんなことを言うなんて、彼はなんて烏滸がましいんだろう」と言うとき。彼を身の程をわきまえていない人として非難していますよね? このように、第三者を「烏滸がましい」と指摘する場合には、十分注意が必要です。
3:相槌に注意
相手から「烏滸がましいですが」と言われたときは、「そうですね」と相槌を打つのはスマートではありません。相手は謙遜した気持ちから「烏滸がましいですが」と言っているので、「そんなことはございません」とやさしく控え目に言い直すと、人間関係が円滑になるでしょう。
「烏滸がましい」の英語表現とは?
「烏滸がましい」は、「impudent(厚かましい、図々しい)」「presumptuous(無遠慮な、生意気な)」「impertinent(無作法な、生意気な)」で表現することができます。
また、ビジネスメールの場合には、定型表現が存在します。「I know I’m asking too much,but…」や「I don’t want to sound pushy,but…」です。「ask too much」には、「ぜいたくを言う」あるいは、「無理に頼む」などの意味があります。「pushy」には、「押しの強い、ずうずうしい」という意味があります。それぞれ「烏滸がましい」を使うときと同じような状況で活用できますね。
最後に
相手に言いにくいことを伝えなければならないとき、「烏滸がましいのですが」というクッション言葉を用いることで、与える印象を和らげることができます。正しく意味を理解しておけば、様々なシーンで役に立つ言葉ですね。
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