【目次】
・「器用貧乏」の意味とは?
・「器用貧乏」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
・「器用貧乏」の特徴
・「器用貧乏」のデメリット
・「器用貧乏」な人が向いている仕事とは?
・最後に
「器用貧乏」の意味とは?
「器用貧乏」という言葉を知っていますか。「彼は器用貧乏だから…」と言われていても、褒められているのか、けなされているのか…。わかりにくいですね。本記事では、「器用貧乏」という言葉の意味から、器用貧乏な人の特徴までを解説します。
「器用貧乏」の意味
「器用貧乏」とは、なんでも器用にこなすゆえに、1つのことを極めることができず、結果として大成しない人のことを言います。褒め言葉かどうかといえば、どちらかと言えばネガティブなニュアンスの言葉です。
器用貧乏な人は、言い換えればなんでもできる「オールラウンダー」。万能だというよりも“平均点そこそこ”という印象。なんでもできるけれど、なにが得意かはよくわからない… というような、ちょっとザンネンな人を指していう言葉です。
なので、人に対して「あなたって器用貧乏よね」などと言うのは注意が必要です。何でもできるようでいて、何にも秀でていない人よね、と言っているようなものですから…。
もう一つ、注意点があります。「器用貧乏」という言葉は、結局のところ「何もできない」と言っているわけですから、自分で自分を「器用貧乏」と言っても良さそうですよね。ですが、これはNG。自分に言うと「器用」のほうがフォーカスされてしまい嫌味に聞こえてしまいます。気をつけましょうね。
「器用貧乏」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
では、「器用貧乏」を別の言葉に置き換えてみます。
1:広く浅く
広範囲には知っているが、深くは何も知らないことを言います。人間関係などについて使うこともあります。「あの子の知識は、いつまで経っても広く浅くだ…」と言うように使います。
2:小器用
「こぎよう」と読みます。ものごとをひととおりはソツなくこなすことはできているが、その成果が認められていません。こちらも「器用貧乏」同様、褒め言葉ではありません。「小器用だね」と言われても、決して喜んではいけませんよ。
3:鼯鼠の五技
難しい字ですね。「ごそのごぎ」と読みます。鼯鼠とはムササビのこと。ムササビには、「木を登る」「空を飛ぶ」「穴を掘る」「川を泳ぐ」「地面を走る」という5つの技能がありますが、木登りはサルのほうが、空を飛ぶのは鳥のほうが、穴を掘るのはモグラのほうが、川を泳ぐのは魚のほうが、地面を走るのは人間のほうが、それぞれ優れていることから「結局平凡である」という意味の言葉です。
「器用貧乏」の特徴
あまりいいニュアンスでない「器用貧乏」ですが、器用貧乏な人は悪いことばかりではありません。器用貧乏な人の特徴を考えてみましょう。
1:好き嫌いが少ない
器用貧乏な人は、ものごとに対する好き嫌いがあまりありません。何にでも柔軟に取り組みますし、どんな場所にでも順応します。
人間関係においても同様で、どんな人とでもそれなりにいい人間関係を築けるので人に嫌われることもあまりなく、人間関係で悩むといったことも少ないでしょう。
2:要領がいい
器用貧乏な人は何でも手際良くサッサとこなします。応用力もあるので自分の仕事でなくても察しをつけ、合格点程度には仕上げることができます。「アイツに頼んでおけば、いいようにやっておいてくれる」と都合よく使われないように注意したいものですが、長所の一つには挙げておきたいものですね。
3:気配りがうまい
器用貧乏な人は、視野が広くいろいろなことに気がつきます。どんなことでもそれなりにフォローできるので困っている人を見つけたらすばやく手助けができます。
そもそも器用貧乏な人は要領が良いので、何に向かう時も心に余裕があります。だから人の様子もよく見ることができるのです。
「器用貧乏」のデメリット
では逆に、器用貧乏のデメリット、悪いほうの見方はどうでしょうか。
1:飽きやすい
何でも器用にこなすがゆえに、何かにハマるといったことが少ないのが器用貧乏の特徴。そもそも要領がよく、飲み込みも早いのですから懸命に取り組むことさえできれば、どんどん上達するに違いないのですがそれができないのが器用貧乏の特徴なんです。
2:サボっているように見える
何でも上手にこなしてしまうため、一生懸命にやっている姿をあまり人に見せられません。なので、「サボってばかりいるお調子者」と思われがち。人よりも早く作業が終わることも多いので、余計にサボっているように見えるのかもしれませんね。
3:お金儲けができない
器用貧乏な人は、人に言われたことをソツなくこなすことには長けていますが、自分自身で何かを極めて高みに上ろうという気持ちは薄い人が多いようです。人よりも秀でたところがないと、なかなかお金を稼ぐのは難しいもの。いいようにこき使われていつも忙しいのに、思ったほどのリターンが得られない、なんてことも器用貧乏の人にはよくある話です。
「器用貧乏」な人が向いている仕事とは?
“器用貧乏さ”の性質が、いい方向に生かせる職業やポジションがあります。
1:営業事務
器用貧乏な人はどちらかと言えばサポートのほうが向いています。なので、営業よりも営業事務のほうが能力を生かせるでしょう。担当した営業マンに足りないところに手を差し伸べ、ササッと補うので、重宝がられるに違いありません。
また、どんな人とでもうまくやっていける柔軟さも、営業事務には必須の能力です。
2:コンサルティング
どんな仕事でも幅広くこなせるという能力を活かすには、コンサルティング会社などはどうでしょう。視野が広く、目的達成に向けての効率的なルートを見出すのも得意ですから、その能力を存分に生かせるでしょう。コンサルティング業でも、人当たりの良さは大切な資質です。
3:介護士
介護士は専門性のある職業ですが、一方で仕事の幅がとても広い職業でもあります。器用貧乏な人は気遣いが上手。それぞれの相手に合わせた会話や介助を要領よく行うことはできます。
さらに、施設全体の運営や季節の行事といった介護に関連のない分野の仕事でも上手にこなすことができますし、何よりそういったことを嫌な顔一つせずにできるところが器用貧乏な人の良いところです。
最後に
何かとザンネンな響きがする「器用貧乏」ですが、一歩踏み込んで何か得意分野を見つけることができれば、その印象は一転!「オールラウンダー」として一目置かれることでしょう。もともと利発なのですから、興味のある分野に腰を据えてじっくり究めてみてはいかがでしょうか。すぐに成果が得られるはずですよ。
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