【目次】
・「できかねます」の意味とは?
・「できかねます」の使い方を例文でチェック
・「できかねます」の類語は?
・「できかねます」の英語表現もチェック
・「できかねます」を使う時の注意点
・最後に
「できかねます」の意味とは?
上司の命令やお客様からの要望などに対して、「できない」と伝えるとき、直接的に断ると失礼になるんじゃないかと不安になりますよね。そんなときにやんわりと、穏便に断ることのできる言葉があります。それが、今回ご紹介する「できかねます」。「できかねます」はビジネスシーンで、相手からの依頼を断りたいときに使える便利な表現です。
ただし、「できかねます」も使い方を誤ると、相手に対して失礼な印象を与えることも…。そこで今回は、「できかねます」の意味や使い方、類語、英語表現、そして「できかねます」の注意点についてご紹介していきたいと思います。
◆できかねますの意味
「できかねます」は、「頼まれたことをするのが難しい、することができない」という意思を示したいときに使われる表現です。「できかねます」は、「可能である」という意味を持つ「できる」と、動詞の後ろにつくことで「することが難しい、耐え切れない」という意味を持つ「かねる」が組み合わさってできた表現です。
さらに、「できかねます」には、「頼まれたことをしたいのはやまやまだが…」「したい気持ちはあるけど…」といったニュアンスが含まれています。そのため、「できません」とはっきり断るよりも丁寧な印象を相手に与えることができますよ。
◆「できかねます」と「いたしかねます」の違い
「できかねます」と同様に、相手からの依頼や要望を断るときに使える「いたしかねます」という表現があります。この2つの違いは一体何なのでしょうか?
それは、「できかねます」は丁寧語であり、「いたしかねます」は謙譲語であることです。「いたしかねます」に使われる「いたす」は、「する」という言葉の謙譲語。つまり、「いたしかねます」は、自分をへりくだった、より丁寧で柔らかい表現になります。そのため、「いたしかねます」の方がより丁寧に断ることができます。
「できかねます」の使い方を例文でチェック
「できかねます」の意味についてのご紹介でした。続けて、「できかねます」の使い方について、例を挙げてご紹介したいと思います。
1:「申し訳ございませんが、その件につきましてはお答えできかねます」
お客様からの要望や質問に対して、返事ができないときに使われる表現です。日常生活でも見ることのある使い方ですね。また、前後に「申し訳ございません」や「恐れ入りますが」などのクッション言葉を入れると、より相手を敬い、へりくだった気持ちを表現することができます。
2:「規定人数に満たなかったため、残念ですが今回の企画は開催できかねます」
直接相手からの依頼などに対して断りをいれるとき以外でも、「できかねます」を使うことがきますよ。また、「できかねます」と伝えた際に、「できる可能性がある」と捉える人がまれにいます。「できかねます」は、「ほぼ確実にできない」というニュアンスを含んでいるため、間違えないように注意しましょう。
3:「私では判断できかねますので、上長と相談の上ご回答いたします。何卒ご容赦のほどお願い申し上げます」
お客様や取引先に対してメールで断る場合は、敬語表現を使うのが適切です。「できかねます」に合わせて、文章自体も敬語表現を使うようにしましょう。また、「できかねます」など断りの表現を使った際には、「何卒ご容赦のほどお願い申し上げます」のように、相手の気持ちを和らげるような一文を添えることがコツですよ。
「できかねます」の類語は?
「できかねます」の類語と使い方を覚えておくと、いざというときにその場に適した言い換えをすることができます。
1:お受けできません
「できかねます」は使い方でも紹介したように、「もしかしたらできるかも」という印象を与える可能性のある言葉です。きっぱりとできないことを伝えたいときには、謝罪の言葉と共に「お受けできません」と相手に伝えるようにしましょう。
2:お断りせざるを得ません
「お断りせざるを得ません」は、「自分としては不本意だけど、断らなければならない」というニュアンスを含んだ言葉です。「本日はすでにスケジュールが埋まっているため、お断りせざるを得ません(本日でなれば引き受けられる)」といったように、条件によっては引き受けられるときに使います。
3:ご遠慮申し上げます
「ご遠慮申し上げます」は、「辞退させていただきます」「慎んで控えさせていただきます」といった意味を持つ表現。「いたしかねます」と同じ謙譲表現として使用します。そのため、断る際に「ご遠慮申し上げます」を使うと、相手に対して非常に丁寧な印象を与えることができますよ。
「できかねます」の英語表現もチェック
続いて、「できかねます」の英語表現についてご紹介していきます。「できません」と相手に伝えたいときの表現といえば、「I can’t do it」ですよね。ただし、この表現はビジネスでは少しストレートすぎる表現のため、相手に不快感を与えかねません。
そのため、ビジネスでは「can’t」の代わりに、「be unable to」を使うようにしましょう。この「be unable to」は「今は一時的にできない、その時点ではできない」という意味があります。そのため、「今の状態ではできませんが、今後できるようになるかもしれません」といったニュアンスを、相手に伝えることができますよ。
「できかねます」を使う時の注意点
最後に、「できかねます」を使う際の注意点についてご紹介していきます。相手に不快感を与えないためにも、注意点はしっかり覚えておくことをオススメします。
◆「できかねます」だけだと冷たい?
買い物に出かけたときのことを想像してください。欲しいものが売り切れで、店員に取り寄せをお願いしたとき、一言「できかねます」とだけ言われたらどんな印象を抱きますか?
少なくとも、誠意はあまり感じませんよね。人によっては、「二度とその店を利用しない」と思う人もいるでしょう。それは、あなたが「できかねます」と言ったときも同じ。「できかねます」を使うときは理由や謝罪も合わせて伝えるようにしましょう。
◆「できかねません」といった言い方は誤り
まれに、相手からの質問に対して答えられないときに、「できかねません」と伝える人がいますが、実はこれは誤り。「できかねません」は、「できかねます」の否定形となるため、「答えることが難しくないかも、できなくはない(できるかも)」という推測的な表現になってしまいます。「できない」と伝えたいときに誤って「できかねません」と伝えないよう、注意が必要です。
最後に
「できかねます」についてのご紹介でした。いかがだったでしょうか?「できかねます」は日常生活だけでなく、ビジネスシーンでも多用できる便利な表現です。ただし、便利な表現であるがため、使い方を間違えると相手に失礼な印象を与えてしまいます。失礼な印象を与えないためにも、正しい意味や使い方、注意点をしっかり覚えて活用していきましょう。
TOP画像/(c)Shutterstock.com