【目次】
・「事なかれ主義」の意味とは?
・「事なかれ主義」の例をチェック! 上司・リーダー・彼氏も
・“事なかれ”になる原因や心理とは?
・「事なかれ主義」が良くない理由
・「事なかれ主義」を防ぐ方法とは?
・最後に
「事なかれ主義」の意味とは?
「あの人は何事に対しても事なかれ主義ですね」そんな会話を職場などでよく耳にしませんか? 「事なかれ」は、漢字で「事勿れ」と書きます。「勿れ(なかれ)」は「無し」の命令形であり、「何もなく無事に済むように無事であれ」という意味で、これに「主義」が付くと「いざこざがなく物事が平穏無事に済みさえすればよい」というとても消極的な態度や考え方を表します。
物事に波風が立たないように、穏便に収めようとするのは一見、気配りしているように見えますが、その反面、相手との対立を避けている自分の意見を言わない無責任な印象を与えかねません。事なかれ主義の人にとって最優先したいことは、とにかく面倒なことを避けてトラブルを起こさないことです。
職場や取引先の人間関係において、揉めそうになったり険悪になったりするなら自分が折れて丸く収めようとする、つまり平和主義とも言えます。何事もなく平穏無事を願うと点では平和主義と同じですが、事なかれ主義は「余計なことを言って揉めるぐらいなら黙っていよう」「喧嘩してまで主張したい意見もないし… 」という、ある意味責任感の弱いニュアンスも含まれます。
「事なかれ主義」の例をチェック! 上司・リーダー・彼氏も
具体的には、どんな態度を事なかれ主義と呼ぶのでしょう。身近な例で見てみましょう。
1:見て見ぬふりをする上司
上司が事なかれ主義タイプの場合は、対人関係や仕事におけるトラブルなどが起きても、見て見ぬふりをすることが多いようです。職場内で人間関係がギクシャクしているのを感じているのに知らないふり、また仕事上でのミスも見てみぬふり。細かく指示を出して、後々失敗した時に責任を問われるようなことになるのを避けるため「前例にならって~」「既存のやり方で~」という言い回しをするのが特徴です。
2:誰にでもいい顔をして、一貫性のないリーダー
事なかれ主義の人は平和主義でもありますから、基本的に相手の意見を尊重して迎合しがちです。そのため自分から積極的に意見をしたり行動を起こしたりすることなく、周りの意見に合わせるので、相手に流されやすい傾向があります。よく言えば協調性のある人とも言えますが一貫性がなく、実は自分の意見を持っているのに周りの視線を気にしてあえて言わないなど小心者の一面も見え隠れします。
3:問題を先送りして、自分で決断しない彼氏
彼氏とのすれ違いや食い違いは恋人同士にはよくあること。事なかれ主義タイプの彼氏は「些細なことだから」と、いさかいを避けたがり面倒なことを先延ばしにしがちです。また衝突を恐れて、なかなか本音を語りたがらないので自分で決断しないで「適当に」「なんでもいい」なんて言葉が多いかもしれません。
“事なかれ”になる原因や心理とは?
事なかれ主義になってしまう人は、もともとそうした傾向はあるかもしれませんが、環境による部分も少なからずあるようです。
1:小心者で自信がない
自分に自信がない人は目の前にある問題と向き合うことを避けたがります。自分で解決することは難しい、また解決できなかった場合、自分が損をするのではないか、周りから嫌われるのでは、といった不安ばかりが先だって問題に目を向けたがりません。また人の顔色を窺って、あまり自分の意見を言わずとにかく何でも穏便に物事を済ませようとします。
2:常に受け身で、当事者意識が薄い
事なかれ主義の人は自分から積極的に人や物事に対してアクションを起こすことがほとんどありません。自分から進んで提案したり、自分の意見を述べて目立ったりするのを嫌がりますから、誰かが決めてくれたことを横並びで進めることを好む傾向があります。組織の中では、自分が当事者でない場合でも、1つのチームとして問題を受け止め解決策を考えるという姿勢も大事です。
3:空気を読んで、人と揉めるのを回避する
何事もなく平穏無事を願う事なかれ主義の人は、ある意味危機回避暴力に長けているともいえます。その場の空気を読んで、揉めないように誰と足並みを揃えれば丸く収まるかを常に観察しているともいえます。平和主義で変化を好まない、安定を重視するという面が見られますが、反面、チャレンジ精神に欠けるところもあります。
「事なかれ主義」が良くない理由
事なかれ主義でいることは、問題点やトラブルが表立って起きにくいので安定しているように見えますが、それは旧態依然のままであるとも言えます。今は平穏であっても、問題を先送りしているだけなので、いずれ大きな問題になってしまう可能性が大です。また、新しいことにチャレンジしようという積極性もなくなりがちで、仕事の面では成長の可能性が損なわれる危険性もあります。
仕事や人間関係において、波風が立たないようにする事なかれ主義になってしまうのは、傷つくことへの恐れや自信のなさ、誰かがやってくれるだろうという他人任せの心理などの理由があります。でも「面倒だから」「煩わしいから」という理由で何も言わない、聞かない、見なかったことにする、という態度は自分自身の解決する力や経験値も身に付きません。
「事なかれ主義」を防ぐ方法とは?
1:失敗してもマイナスにとらえない
事なかれ主義は、失敗を怖れることからくるものです。失敗すると会社からの評価が下がるのではないか、同僚からバカにされるのではないか、といった恐怖感から生まれるものです。ですから、失敗しても挑戦することを高く評価する雰囲気を大切にしてみましょう。
2:安心して発言できる環境を心がける
上司からの強い叱責や足の引っ張り合いなどで人間関係が険悪になることを恐れる人は、知らないうちに事なかれ主義になりがちです。また、トラブルやミスを報告することは誰もが避けて通りたいものですが、たとえマイナスの事案であっても隠蔽すれば問題の解決にはなりませんし、さらに深刻化するだけです。マイナスの発信であっても安心して発言できるような人間関係や環境を構築しておくのも1つの方法です。
3:言葉で伝えることを怖がらない
事なかれ主義の人は「黙っていれば平和」という考えをしがちです。相手の意見を否定しなければ険悪にならない、相手に同調していればトラブルが起きないというのが当たり前になっていくと、どんどん事なかれ主義が強化されてしまいます。仕事上でも友人・恋人関係でも、言葉で伝えないと気持ちも情報も伝わりません。正しく伝わらないとスムーズなコミュニケーションもなくなり一人ひとりの積極性を抑圧してしまいますから、怖がらないで言葉で伝えることを意識しましょう。
最後に
事なかれ主義とは、物事に波風が立たないようにすることです。事なかれ主義が起こる原因は、自信がないため問題が解決できない、自分がダメージを受けるのが恐ろしいといったところにあります。健全な人間関係を築いていくためにも、まずは何事も自分の問題であるという意識を持って、少しずつ自分のあり方に向き合ってみるのもいいかもしれません
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