性交時のその痛み、もしかして「処女膜強靭症」?
赤ちゃんを授かりたいと妊活を進めていても、その根本的なステップとなる性交時の挿入に強い痛みを感じたり、挿入そのものができなかったりして、大きな不安や悩みを抱えてはいませんか?
性交時の痛み・挿入ができない女性は70%にも及ぶと言われているため、これってもしかして『処女膜強靭症』? と心配になってしまいますよね。
ここでは、妊活のために必要な性交ができない・痛みがあるという悩みを持つ女性に向けて、セルフチェックの方法やクリニックで受けられる検査・治療法をお伝えしていきます。
◆処女膜強靭症とは? 原因や症状、セルフチェックの方法
妊活のため・パートナーとの絆・愛情を深めるための性交ができないと悩んではいても、まわりには恥ずかしくてなかなか相談しづらく、ひとりで不安を抱え込んでしまっている女性は少なくないはず。
自身が処女膜強靭症なのかを判断・確認するため、原因やセルフチェックの方法、気になる症状について参考にしてみましょう。
処女膜強靭症とは? 気になる症状について
女性にとって、決してめずらしくはない処女膜強靭症とは、
・処女膜が通常よりも厚くなっている
・性交疼痛症の原因のひとつ
と言われていて、初めて性交をした際に、男性器の挿入に強い痛みを感じ、結果的に性交ができない状態のことを言います。
女性にとっての性交は、それなりの経験・回数を重ねるたびに、痛みが緩和・気にならなくなる傾向にあると言われています。
ですが、それでも毎回の性交のたびに痛みを感じる場合は、処女膜強靭症の可能性が考えられ、セルフでのケア・クリニックでの治療や検査などが必要になることもあります。
処女膜強靭症の原因は何?
処女膜強靭症は、処女膜が通常よりも厚いことが大きな原因となり、その他にも性交時の痛みを怖く感じている、ストレスがあるなど、メンタル面が不安定になっていることで、余計にカラダがこわばり、膣が力み過ぎて起こるともいわれています。
女性の処女膜は一般的に、ちょっとのきっかけでも破綻しやすいデリケートな組織となっているのですが、妊活・性交以外では大きな支障を与える心配がないので、気付きにくい疾患といえます。
これって処女膜強靭症? セルフチェックの方法について
ここで、自身が処女膜強靭症なのかどうかを判断・確認するセルフチェック法について参考にしてみましょう。
・性行為のたびに強い痛みを感じる
・性交時に挿入ができない
・膣内に指を入れただけでも痛みを感じる
・膣の内部が濡れにくい、うるおいが不足していると感じる
・性交後に大量の不正出血がある
このチェックポイントに当てはまる場合は、処女膜強靭症である可能性が考えられるため、早めのセルフケア・クリニックでの検査や治療を検討してみましょう。
ただ、処女膜強靭症の症状に当てはまるチェックポイントがあったとしても、セルフチェックでは判断が難しいケースもあるため、自分本位での判断・決めつけはタブーですよ。
◆処女膜強靭症の対策をクリニックで|検査・治療方法とは?
産婦人科や美容クリニックなどでは、処女膜強靭症の次のような検査・診断・治療を受けることができます。
処女膜強靭症の検査と診断
クリニックで受けられる処女膜強靭症の検査・診断は、膣鏡を利用した肉眼的な観察がメインとなり、このステップで問題がなかった場合は、セルフでもできる性交痛のケアなどをドクターからアドバイスをもらえたり、性交時の不安を和らげるカウンセリングなどを受けたりすることができます。
処女膜強靭症の治療方法とは
膣鏡を使っての検査で、通常よりも処女膜が厚かったり、性交痛の原因があると判断されたりした場合は、切開手術・切除手術などが検討されます。
処女膜強靭症の切開・切除手術は、一般的に以下のように言われています。
・10分~30分程度で終了する
・当日または翌日からシャワーがOK
・長期の通院の必要がない
このように女性にかかる心身への負担はそこまで大きくはないと言えるでしょう。
また、性交痛はメンタル面の過度な不安が原因となることもあるため、手術後に再度カウンセリングを受けると、手術とカウンセリングの両面で、性交に関する痛み・恐怖を克服することができます。
◆つらい性交痛とサヨナラして安心の妊活を歩むセルフケア
つらい性交痛の克服には、次のようなセルフケアを習慣にしていくと、心身ともにより良い変化が期待できるかもしれません。
正しい膣のセルフケアを行う
性交時の疼痛が処女膜の問題で無く、膣炎や心理的なものを背景にした場合も多くあります。
まずは膣専用のソープやクリームなどで定期的に正しいお手入れをして、膣内のうるおいを保ち、挿入時の痛みを緩和できるようにしましょう。
パートナーにも相談する
処女膜強靭症・性交痛は、女性には決してめずらしくはない疾患のひとつ。
安心・安全、健やかな妊活を歩むためにも、パートナーに相談し、今までのふたりの性交のあり方を見直し、前戯に時間をかけてもらいながら、膣内部のうるおいを増やす意識を持ってみましょう。
~おわりに~
処女膜強靭症は、女性にとってめずらしい疾患ではなく、セルフケア・クリニックでの治療によって、早めにコンプレックス・不安・痛みのトラブルを解決することができます。
パートナーとの妊活をスムーズに歩んでいくことはもちろん、自身のカラダを見つめ直すためにも、セルフチェックとクリニックへの相談を並行して進めてくださいね。
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医師 杉山力一
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。