「日本の新作ドラマ制作が止まっている今、再放送のものでは満足できない人たちが、韓国ドラマの面白さに気づき、その世界に引き込まれたんでしょうね」と韓流を知りつくした、韓流イベントのMCやテレビ、ラジオ番組でもお馴染みの韓国大衆文化ジャーナリストの古家正亨さんは語ります。
なかでも『愛の不時着』と並んで、Netflixでもランキングの上位にずっと位置しているのがパク・ソジュン主演の『梨泰院クラス』。パク・ソジュンの虜になって夢中で観てしまった人のために、彼の魅力をさらに味わえる3作を古家さんに紹介してもらいました。
時代劇での魅力と目ヂカラを確認してほしい『花郎』(2016)
パク・ソジュンの存在が、一気に日本で広がるきっかけになったのが、このドラマですね。彼の魅力は、現代劇にあると思う方も多いかもしれません。しかしパク・ソジュンにとって初の時代劇であるこの作品でも、その魅力は全開でした。
ZE:A出身のパク・ヒョンシク、SHINeeのミンホ、BTSのVというアイドル出身のイケメンたちが数多く出演しているこの作品。彼らのファンだからこのドラマを観て見たら、そこで初めてパク・ソジュンという存在を知り、その魅力にハマったという人も少なくないみたいですね。
命を落とした友人になり替わって暮らし、Araが演じている友人の妹・アロを、兄として守りたいと思いながらも、それが恋心になってしまう。複雑な感情を抱いて葛藤する、その想いを表現した彼の演技は、涙なしには見られません。
パク・ソジュンが高く評価されるのは、何かを背負いながらも、不器用に愛情を表現する、その表現力のためではないでしょうか。特に引き込まれるような目ヂカラのすごさは、このドラマでも堪能できます。
Licensed by KBS Media Ltd. ©2016 HWARANG SPC. All rights reserved.
U-NEXTにて配信中
『梨泰院クラス』に近い?『サム、マイウェイ〜恋の一発逆転!〜』(2017年)
プロの格闘家を夢見ながらも、ダニ駆除会社で働いているという、ちょっとダメ男なドンマンを演じているのがパク・ソジュンです。挫折した夢をあきらめきれないながらも、理想と現実の間を、時に不器用に、時に繊細に演じる演技は、目を見張るものがあります。
このドラマに、韓国ドラマの掟的な要素はほとんどなく、等身大の、どこにでもいそうな普通の男女が主人公である点は、もっとも『梨泰院クラス』に近いかもしれません。
キャラ設定的には、ドラマっぽい要素はあるものの、それを本当にいそうな、リアルな人物として演じているところにパク・ソジュンのすごみを改めて感じてしまいますね。
Licensed by KBS Media Ltd. ©2017 KBS. All rights reserved.
U-NEXTにて独占配信中
御曹司のナルシズムの極み。『キム秘書はいったい、なぜ?』(2018年)
『サム、マイウェイ〜恋の一発逆転!〜』とは対照的に、いかにも韓国ドラマ的設定が展開するこの作品です。パク・ソジュンが演じるのは、ナルシストなエリート御曹司。それなのに彼が演じると、嫌味を感じさせないところがすごい。とにかくセリフも含めて、ナルシズムの極みが展開します。
1つ1つのセリフを胸キュンへと昇華させる彼の存在感には、圧倒されること間違いなしです。それまで演じることの多かった好青年ではなく、ちょっと尖った役柄をさせても抜群であることを実証しました。秘書との恋という設定もまた、女性視聴者の心をつかむ要素になっているかもしれません。
Licensed by KBS Media Ltd. ©2016 HWARANG SPC. All rights reserved.
U-NEXTにて独占配信中
なぜか観るものを強く引き込んでしまうパク・ソジュンの魅力。現代のソウルで苦境から勝ち上がっていく『梨泰院クラス』に近い『サム・マイウェイ』だけでなく、御曹司を演じた、『キム秘書はいったい、なぜ?』でも時代劇の『花郎』でもぜひ感じてみてください。
構成/新田由紀子
古家正亨/ふるや まさゆき
ラジオDJ/テレビVJ/MC、韓国大衆文化ジャーナリスト。大学の客員教授の顔も持つ。韓流ドラマ、K・POP、食をはじめ、韓国のさまざまな文化や魅力を20年余に渡って日本で紹介し続けている。レギュラー番組は『古家正亨のPOP★A』(NHKラジオR1 毎週水曜日21時5分~)他多数。2020年4月にスタートしたYouTube『ふるやのへや!』も好評。Twitter:@furuyamasayuki0