幻想的な雪と氷の世界で繰り広げられる人間の離れワザから目が離せない!
新競技「スキーモ」って知ってる…!? 冬季大会ならではの注目ポイントや注目の選手&チームなど、「ミラノ・コルティナ2026冬季五輪」について、スポーツキャスターの荻原次晴さんに伺いました。
オリンピックについて教えてくれるのは…

スポーツキャスター 荻原次晴さん
おぎわら・つぎはる/1969年生まれ。双子の兄・健司さんとともにノルディック複合選手として活躍し、’94年からワールドカップに参戦。’98年長野冬季五輪で入賞。引退後はスポーツキャスターとしてメディアに多数出演。2017年には兄とともに日本オリンピック委員会特別貢献賞を受賞した。
冬季大会ならではの注目ポイントは…?
Oggi編集部(以下Oggi):2月6日から22日まで、イタリアで冬季オリンピックが開かれますね。
荻原さん(以下敬称略):ミラノ・コルティナ五輪ですね! ファッションの街ミラノとイタリア有数のスキーリゾート、コルティナ・ダンペッツォを舞台に、93か国・3500人以上の選手が8競技・116種目を競い合います。イタリアでの冬季五輪開催は、2006年のトリノ大会以来20年ぶり。ヨーロッパはウィンタースポーツの本場ですから、現地も相当盛り上がるでしょうね。
Oggi:荻原さんご自身も、冬季五輪に出場されていますよね。
荻原:1998年の長野大会に、スキージャンプとクロスカントリースキーからなる〝ノルディック複合〟で出場しました。もともとは、「同じ競技をしていた双子の兄・健司と間違えられたくない」というごく個人的なモチベーションから出場を目指したんですが(笑)、クロスカントリーで兄とデッドヒートを繰り広げ、個人で6位入賞という結果を残すことができました。
Oggi:そんな荻原さんが考える冬のオリンピックの魅力とは?
荻原:ひとことで言えば、〝雪と氷の世界で織りなす人間の美しさ〟。ウィンタースポーツって、人と人が激しくぶつかり合う競技が少ないぶん、自然と対峙する静けさや幻想的な世界が際立つんです。クルクル回転したり、空を飛んだり、ものすごいスピードで氷上を駆け抜けたり。夢のような動きを目にすることができるのが魅力。さらに、天気や雪の状態に合わせて道具を替えるのも冬季ならでは。たとえばクロスカントリースキーの選手は常時スキー板を5〜10台用意していて、現地の気温や湿度、雪質によって、板選びからワックス塗りまで細かな調整を行います。こうした工程を裏で支える専門家チームとの連携も、勝負を左右する重要なカギとなるんです。
Oggi:そもそも冬季オリンピックは、いつ始まったんですか?
荻原:まず夏季オリンピックが1896年にスタートし、1908年からはフィギュアスケートやアイスホッケーなど、一部の冬季種目が室内競技場で行われていました。冬季大会が単独で始まったのは1924年、フランスのシャモニー大会から。その後、長い間夏季大会と同年開催でしたが、テレビ放映やスポンサーなどビジネス的な理由もあり、’94年からは夏季・冬季が交互に2年おきの開催に。
Oggi:そんな理由も!
荻原:ちなみに、近年は温暖化による雪不足の影響で、ヨーロッパでもスキーの大会が中止になるケースが増えています。気候の変化に合わせて、今後は開催地が分散されるなど、また異なるスタイルに変わっていくかもしれませんね。
重圧がかかる中で活躍できる選手の条件は?
Oggi:今回の五輪で注目すべき選手を教えてください!
荻原:フィギュアスケートやスピードスケートなど、日本が伝統的に力を発揮してきた競技は今季も見逃せません。まずフィギュアでは、鍵山優真選手、佐藤 駿選手、坂本花織選手など、勢いのある選手がそろっています。スピードスケートの髙木美帆選手や、スキージャンプで前回の北京大会王者・小林陵侑選手はもちろん、今季勢いに乗っている丸山 希選手もメダルが期待されています。それから我らがノルディック複合の渡部暁斗選手。オリンピックでは3大会連続でメダルを獲得するなど、メンタルがタフで大勝負に強い選手です。今季での引退を発表しているので、最後の一花を咲かせてほしいですね。
Oggi:やっぱり、メンタルの強さが重要なんですね。
荻原:「平和の祭典」とされるオリンピックは、ほかの国際大会よりも〝国を背負う〟重圧がのしかかる舞台です。会場で五輪のロゴマークを見て、足がすくんでしまう選手もいるほど。僕も長野大会でスキージャンプ台のスタート地点から日の丸の海を目にした瞬間、「とんでもないところに来てしまった」と体が震え上がったのを覚えています。どの選手も、プレッシャーを力に変えて大舞台で実力を発揮できるようエールを送りたいですね。選手たちの挑戦から、Oggi読者のみなさんも勇気をもらえるはず。ぜひ一緒に観戦を楽しみましょう!
荻原さん注目の選手&チームは?
1.カーリング 女子日本代表(フォルティウス)

平昌、北京と2大会連続でメダルを獲得したチーム〝ロコ・ソラーレ〟に代わり、12年ぶりの出場。「カーリングは選手のメンタルが結果に直結する競技。ゴーグルやヘルメットをつけないので、選手の表情や会話まで楽しめます。スキップ(司令塔)の吉村紗也香選手がチームをどう導くかにも注目!」(荻原さん・以下同)
2.スノーボード 荻原大翔選手

「スピンマスター」の異名をもつ20歳。両親の影響で3歳からスノーボードを始め、12歳でプロ入り。2025年1月、6回転半トリック〝BS2340メロン〟を世界で初めて成功させ、ギネス記録を樹立。同年12月のワールドカップでも優勝し、存在感を確かなものに。「7回転にも意欲的で、初の五輪ではビッグエア、スロープスタイルの2種目で金メダルを狙うとか。同じ苗字という縁もあり、つい応援に力が入ります!」

3.スキージャンプ 丸山 希選手

2025年11月から今年3月まで開催中の今季ワールドカップで、着実に存在感を高めている27歳。風に強い安定したジャンプが武器で、大舞台でも崩れにくいタイプ。「前回の北京大会では、直前の大ケガで惜しくも出場を逃しましたが、’25年12月時点で今季W杯総合ランキング首位でした。調子を維持して、初五輪で4年分のリベンジを果たしてほしい!」

安定感抜群のジャンプ!
注目の新競技「スキーモ」ってどんなスポーツ?
元会社員のスキーモ選手に聞きました!

上田絢加選手
うえだ・あやか/1993年生まれ。学生時代からランニングに親しみ、サントリー入社後、知人の誘いでスキーモを始める。スキーモ日本代表。’25年4月、日本選手権スプリント優勝。世界選手権15位。
主にヨーロッパで親しまれている山岳スキー競技です
「今回の冬季五輪で正式種目に新たに採用されたのが、スキーモ(正式名称:Ski Mountaineering)。スキー板にクライミングスキン(シール)と呼ばれる滑り止めをつけて山を登ったり、途中で板を外して担いだり、再び履いて一気に滑り降りたり… 道具を瞬時に付け替えながら、雪山の急斜面を縦横無尽に進み、タイムを競うスポーツです。もともとは、ヨーロッパ山岳地帯の国境警備隊のトレーニングだったとか。道具が軽く、雪山を自由に駆け巡ることができるのが、何よりの魅力です。
私もかつては、読者のみなさんと同じように働く会社員だったのですが、スキーモが五輪競技に決まったのを機に29歳で退職。雪のある環境を求めて群馬県に拠点を移し、今は競技に専念しています。選手としてのスタートは遅かったのですが、目標を達成するための取捨選択や、ビジョンを言葉にして伝える力、スポンサーとの向き合い方などは、会社員時代の営業や広報での経験が生きていると感じています。
世界選手権など1年がかりで行われた選考で、日本は残念ながら五輪出場枠を獲得できず、今回は出場が叶いませんでした。心が折れそうになるときもありますが、日々小さな目標を立てて、それを達成できた自分をほめることで、次の一歩につなげています。4年後にもスキーモが正式種目になれば、もちろん目指したいと思っているので、まずはミラノ・コルティナ五輪で、みなさんもぜひスキーモに注目してください!」
スキー板を背負って山を登ったり

スキー板に滑り止めを着脱したり

『登る・担ぐ・滑る』の一連の動きを楽しめるスキーモ。「道具の着脱を行うトランジットでは速さと正確さが命。〝雪上のF1〟と呼ばれ、ここで順位が入れ替わることもあり、一瞬たりとも気が抜けません!」
大自然の中にスキーで入っていくのが最大の魅力です!

オリンピックで採用されている種目は…
スプリント…スキーモの基本技術を凝縮した個人レース。標高差70mほどの斜面をスキー板で登り、板を担いで走り、最後は一気に滑降する。約3分で決着するスピード感が魅力。
ミックスリレー…男女ひとりずつのペアで、スプリントのコースを約2倍に拡大したコースを2回ずつつなぐ。競技時間は約30〜40分。個々の実力に加え、安定感とチームの戦略が勝敗を分ける。
ほかにもこんな種目が!
1.5~2時間程度の雪山コースを登り降りする〝インディビジュアル〟、標高差500〜700mの登りだけを競う〝バーティカル〟などが。
2026年Oggi3月号「Oggi大学」より
イラスト/八重樫王明 取材・文/中村茉莉花 構成/酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部
●掲載している情報は2026年1月13日現在のものです。
Oggi編集部
「Oggi」は1992年(平成4年)8月、「グローバルキャリアのライフスタイル・ファッション誌」として小学館より創刊。現在は、ファッション・美容からビジネス&ライフスタイルテーマまで、ワーキングウーマンの役に立つあらゆるトピックを扱う。ファッションのテイストはシンプルなアイテムをベースにした、仕事の場にふさわしい知性と品格のあるスタイルが提案が得意。WEBメディアでも、アラサー世代のキャリアアップや仕事での自己実現、おしゃれ、美容、知識、健康、結婚と幅広いテーマを取材し、「今日(=Oggi)」をよりおしゃれに美しく輝くための、リアルで質の高いコンテンツを発信中。
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