疲れた胃と心を癒す「だし」。だし生活を身につけて健康に!
こんにちは、だし愛好家でありライターの梅津有希子(うめつゆきこ)です。
会社の同僚や家族など、大勢の人たちが集まって食べて飲む機会も多いこの季節。忘年会や新年会が続き、胃が疲れ気味という人もたくさんいると思います。そんなとき、わたしが頼りにしているのがおだしです。
うま味たっぷりのおだしが大好きなわたしは、日々のおうちごはんにだしを使っています。基本はかつおだしと昆布だし、干し椎茸だしの3種類。たまに煮干しだしとあごだし、ホタテ貝柱だしも使います。
こういうと、「すごい料理上級者」と思われるでしょうか? いえ、わたしは料理がまったく得意ではありません(笑)。だしさえあれば、料理がぐっと簡単においしくなるため、毎日だしに頼りきりなのです。
だしのきいた料理を口にするとほっとしますよね。そして、かつおだしをとるときに立ち上る香りは、「いい香り〜…!」と毎度幸せな気持ちになります。何度経験してもまったく飽きません。
◆だしのとり方
だしのとり方はいたって簡単。わたしは、かつおだしをコーヒードリッパーでとっています。だし専用のコーヒードリッパーにペーパーフィルターをセットし、かつお節の小分けパックを1袋(4g入りのもの)をバサッと投入。熱湯150〜180cc注げば香り高いかつおだしがあっという間に引けちゃいます。1人分のみそ汁やスープ、鍋のだしが少なくなってきたときなどにぴったりです。
一度にたくさんとりたいときは、次の方法で。鍋に1Lのお湯を沸かし、沸騰したら火を止めてかつお節を30g投入。沈んだらザルで漉してできあがり。ザルには、キッチンペーパーをのせることもありますが、そのままザルで漉すことも多いです。網から落ちた粉状のかつお節が底にたまりますが、食べられるものですし全然気にしません。みそや醤油を入れたら見えなくなりますし(笑)。
ついでにいうと、かつお節もギューギューにしぼります。だって、まだ水分がたっぷり含まれていて、もったいないではないですか。プロの料理人や料理研究家の方々は「えぐみが出るので絶対にしぼってはダメ」という方も多いですが、わたしはプロじゃないのでしぼります。
「今日はお客さんが来るので、澄んだお吸い物を作る」といったときはしぼらないほうがよいですが、そもそもわが家にお客さんが来ることはほとんどないため(笑)、毎度最後の一滴までしぼりきるというだし生活です。
◆旅行先でもだし探しに没頭
だし愛好家としてだしの魅力を発信する活動をしていることもあり、だしのきいた料理を探すのがライフワークと化しています。先日行った沖縄では、現地のカフェで朝ごはんに、おにぎりと熱々の「かちゅー湯」をいただきました。
かちゅー湯とは、漢字で書くと「鰹湯」。そう、つまりかつお節×お湯のこと。お椀にたっぷりのかつお節とおみそを入れて、熱湯を注ぐだけ。
沖縄で古くから飲まれているそうで、カフェの店員さんも、「風邪や二日酔いのときによく飲みます。飲んだ日の翌朝は、かちゅー湯から始まります」と笑いながら話していました。かつお節の消費量が日本一で、さらにお酒好きな人が多い沖縄ならではのアイデアだなあ… と感じました。
◆だしって意外と簡単なんです!
だしのとり方に話を戻すと、昆布だしは、麦茶ポットに昆布20gと水1Lを入れ、冷蔵庫で一晩から二晩おくだけ。牛乳のように冷蔵庫内での定位置を決め、量が減ってきたら他の保存容器に移し、麦茶ポットを洗ってまた1L作る、というサイクルを欠かさず繰り返しています。
昆布だしを切らすことはありません。水のように、どんな料理にも使っています。昆布のうま味が加わるので、汁物も麺類も煮物も鍋も、どんな料理も確実においしくなりますよ。
煮干しだしとあごだしも、保存容器に煮干しまたは焼きあごと水1Lを入れて一晩おくだけ。分量は煮干しの大きさにもよっても異なるため、パッケージに書いてある通りにやってみてください。
干し椎茸とホタテ貝柱だしは、ジャムの空き瓶に入れて水を上まで注ぐだけ。これも一晩。干し椎茸は2〜3個。貝柱は5〜6個が目安です。どのだしも、味が濃いなと感じたら、料理するときに水で薄めればいいんです。わたしのだし生活は、それくらいざっくりとした感じです。
◆だしは健康をサポートする!
1月、心配なのが正月太りですよね。実家に帰省し、「食べては寝て、を繰り返すのがお正月の恒例行事」という人も多いはず…(わたしです・笑)。実は、こんなときもだしは強い味方なのです。
だしの魅力とおいしさを広める「だし活プロジェクト」を立ち上げたかつお節メーカーのヤマキによると、かつおだしを食前に摂取することで食後の血糖値上昇を抑制できることが明らかになったそうです。参考記事はコチラ!
熱々のかつおだしはそのまま飲んでもおいしいので、わたしはドリッパーかつおだしに塩か醤油を少々入れて、朝、コーヒー代わりに飲むこともよくあります。寒い冬の朝は、すりおろし生姜を入れるのもおすすめ。すぐにポカポカになりますよ。
わたしは生姜1個を一度にすりおろし、ラップに平らに敷いて長方形の状態で冷凍し、使いたい時にバキバキ折って使っています。チューブのすりおろし生姜だと、さらに手軽ですね。
日頃から血糖値の上昇を抑えることで、糖尿病の予防、ひいては健康維持につながります。さらに、わたし個人の実感として、毎日だし生活をしていると、明らかに味覚が変わりました。
こってりしたものや濃い味の料理をまったく好まなくなり、「うま味のきいた味」が大好きになりました。一般的には「薄味」といわれる味なのかもしれませんが、わたしは薄いと感じることはありません。だしのうま味がしっかりきいているので、しみじみおいしいなあ… と感じます。
今はまだ血圧も正常なので、食生活で減塩を意識していることはありませんが、塩分摂取量はほんとうに減ったなあ… と、ごはんを作るたびに実感します。
わたしはいま43歳ですが、この年齢からうま味をきかせて塩分を抑えた食生活が身につくと、健康のことを考えても将来的にも絶対いいはずなので、精神的にも安心感がありますね。
飲み会続きで疲れ気味の胃にやさしく、心までホッとする、おだし。「難しそう」「面倒そう」と思っていたらもったいない! だしさえあれば、毎日のごはんがぐっと簡単に、もっとおいしくなりますよ。
〈疲れた胃をいたわるだしレシピ3選〉
ぜひ、試してみてくださいね♪
【ヤマキ】
TOP画像/(c)Shutterstock.com
梅津 有希子(うめつ ゆきこ)
だし愛好家・ライター。北海道出身。「だしをひくのって難しそう」「面倒」という思い込みがあり、長年顆粒だしとだしパックを愛用。ある日、母親が作るだしのきいた料理のおいしさに衝撃を受け、「自分でだしをとれるようになりたい」と一念発起。だしのプロや料理人への取材を重ね、「挫折しないだしのとり方」を追求。「コーヒードリッパーかつおだし」や「麦茶ポット昆布だし」など、簡単で失敗のないだしのとり方にたどり着き、今ではだし生活を満喫する日々を送っている。著書に『だし生活、はじめました。』『もっとおいしい、だし生活。』(祥伝社)、『終電ごはん』(幻冬舎)などがある。