【目次】
・「質実剛健」の意味や由来は?
・質実剛健の正しい使い方は? 3つの例文をご紹介
・質実剛健の類義語とは?
・質実剛健の対義語は?
・質実剛健の書き間違いに注意!
「質実剛健」の意味や由来は?
質実剛健の言葉の意味
「質実剛健」の意味は、飾り気がなく真面目で、肉体的にも精神的にも清らかで強くたくましいことです。「質実」は飾り気がない、真面目であること、「剛健」は強くたくましく、しっかりしていることを表します。
質実剛健の言葉の由来
「質実剛健」のルーツは、明治時代に遡ります。明治維新を経て日本は、それまで鎖国によって知ることができなかった欧米諸国の情勢について知るようになります。そこで初めて自分たちが海外の国々に遅れていることに気がつくのです。
1908年、明治政府は欧米諸国に追いつくために様々な分野で改革を行いました。そんな中、国民に勤倹節約と国家を発展させるために国体尊重を徹底する目的で明治天皇によって発布されたのが「戊辰詔書(ぼしんしょうしょ)」です。
詔書には以下のことが記されていました。
「国民は忠実に仕事に励み、勤勉に倹約をして生計を立て、自ら質実を重んじ自らを励み勉め続けなければならない」
「誠実であること」を意味する「質実」に「剛健」を組み合わせ、後に「質実剛健」という四字熟語が生まれたと言われています。
質実剛健を英語で表現すると?
「質実剛健」を英訳すると、次のような表現になります。
Spartan(勇敢な、厳格な)
Humility and courage(謙虚で強い精神力)
earnest and strong(真面目でたくましい)
unaffected and sincere(気取らず誠実な)
with fortitude and vigor(不屈の精神を持ち活力がある)
質実剛健の正しい使い方は? 3つの例文をご紹介
例文1「彼の母校は質実剛健の気風を伝統とする男子校だ」「わが校では質実剛健の校訓の元、自発的な学生を育てます」
座右の銘や校訓によく使われるように、質朴でありながら健全な心身のある様子を表します。ただし、理想像や目標として「質実剛健でありたい」とするのはよいのですが、自ら「質実剛健です」という使い方はしません。
例文2「彼の質実剛健な気質は実に信頼が持てる」「質実剛健な男性は魅力的だ」「誰からも信頼される理由は、その質実剛健さにある」
真面目・誠実と同じように、「質実剛健」も人柄への褒め言葉として用いられる表現です。素朴で真面目であり、心身ともにたくましい、という意味で使われるので、悪い意味で使われることはありません。
例文3「無口で趣味もないが、質実剛健ひとすじの真面目な人間だ」
心身の強さとたくましさとしなやかさを併せ持つ、どちらかと言えば男性へのほめ言葉として使われることが多いです。女性に対して「質実剛健」を使う場合は、真面目・実直といった意味に加え、硬派・物怖じしない・勇気あるといったニュアンスを含むことがあります。
質実剛健の類義語とは?
剛健質朴(ごうけんしつぼく)
飾り気がなく素直で、心も体も力強く頼もしいこと
剛毅木訥(ごうきぼくとつ)
意志がしっかりしていて、飾り気がないとさま。
志操堅固(しそうけんご)
志や考え方、主義などを守り、何があっても変えないこと。
簡古素朴(かんこそぼく)
余分な装飾がなく、昔ながらのありのままの様子
聡明剛毅(そうめいごうき)
道理に深く通じ、心が強く屈しないこと。
質実剛健の対義語は?
奢侈文弱(しゃしぶんじゃく)
ぜいたくを尽くし、学問や芸術ばかりにふけって、心身が弱々しいこと。
華美柔弱(かびにゅうじゃく)
はなやかすぎて、逆に気力や体質が弱々しいこと
巧言令色(こうげんれいしょく)
うわべだけ取り繕い、口先だけで中身が伴わないこと
ふがいない
情けないくらいにだらしがない
意気地がない
だらしがない、困難に耐え抜き頑張りぬく力がない
質実剛健の書き間違いに注意!
「質実剛健」の「剛」を「強」と書き間違えないようにしましょう。「強健」は「からだが強くて丈夫であること」を意味しますが、「ごうけん」ではなく「きょうけん」と読みます。非常に似ていますが異なります。
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