名刺の「し」はなぜ“刺す”なの? 名刺の由来をチェック!
ビジネスシーンではまず名刺交換を行いますね。名前を書いた紙を渡していることを思えば、名紙(めいし)の方がしっくりくる気も… なぜ名刺という言うのでしょうか。
◆名刺は中国発祥
古くは中国の唐の時代に、訪問したけれど、不在だった際に、訪問したことを知らせるため、名前を書いた木や竹の札を、戸口や戸口に置かれた箱に刺しておいてきたことが名刺の始まりと言われています。まだ紙はなかったんですね。
この戸口に挟んでいた木や竹の札が「刺し」と呼ばれていたそう。この名前を書いた「刺し」が「名刺」となって日本に渡ってきました。
◆ヨーロッパでは上流階級のアイテムに
ヨーロッパでは、16世紀頃のドイツで、先方を訪問した際に不在だった場合においてきたメッセージカードが名刺の始まりと言われています。その後、18世紀になると社交界で使われるようになりました。お洒落なデザインや写真入りの名刺も作られたそう。
ヨーロッパの名刺ブームはアメリカにも渡り、富裕層がステイタスのひとつとして使い始めたようです。アメリカでは自己紹介ツールというより、自分や会社の宣伝ツールとして名刺が用いられるそうですよ。
◆日本の幕末に名刺あり
日本では中国と同じように先方が不在時に訪問を知らせるために和紙に墨で名前を書いた名刺を置いてきていました。
その後、西洋から印刷技術が入ってくるともに、幕末には来日する外国人が増えたことで、応接などの際に家紋を入れた名刺を渡すようになったそう。その後、明治時代になり、鹿鳴館に象徴される社交界の場でも必需品として名刺が用いられたそうですよ。
いかがでしたか?
そもそもは不在票のような役割を果たしていた名刺がビジネスマンの必須アイテムになるとは。アジアでもヨーロッパでも同じような変遷をたどっているのも面白いですね。
幕末の海外交流をきっかけとして現在の名刺交換が始まっているかと思うと、ちょっと大袈裟ですが、歴史的重みを感じますね。
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鶴田初芽
都内在住のOLライター。日本語教師の母からの厳しい指導や幼少期より読書好きだったことが影響し、現在マナー、教育、ライフスタイルなどの執筆に携わっています。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!