毎日が非日常! ウルル=カタジュタに行くまで死ねない!?
このコラムは「死ぬまでに見ておきたい地球」を見に行くというのがテーマ。もちろん、今まで紹介してきた場所のいずれもが、それに匹敵することは間違いありません。
これまでの記事▶︎山下マヌー旅コラム
しかしながら、今回紹介するウルルこそ、「行かずに死ねない」「いつかは行きたい」場所にふさわしいかもしれません。しかも日本から比較的簡単に行くことができ、そのうえ時差もほとんどないという、絶景到達まで体に負担をかけずにアプローチできる嬉しい場所でもあるのです。
▲手の上のウルル。お約束中のお約束カット
ウルルと聞いてピンとこない人もいるかもしれません。ウルルとは、オーストラリア先住民の言葉で、以前までエアーズロックと呼ばれていた場所のことをいいます。ではなぜ、先住民の言葉で呼ぶようになったのか? その理由は、彼らの聖地であったこの場所を長年占領していた人から、先住民の手へと返還されたから。
▲2019年10月26日に立ち入り禁止と書かれた看板
返還されたことをきっかけに、変わったことはほかにもあります。なかでも、ウルルが永久登山禁止となったことは、ニュースで知った方も多いのではないでしょうか。
▲近辺にも結構な長さの柵が設けられ、立入禁止になっています
なぜ禁止になったのか? 先ほどもお話したように、先住民の人々にとってウルルは聖地であり、そこを観光客に登られるというのは、「日本人にとってはお寺や神社に土足のままドカドカと上がられるような行為と同じ」と、そう現地のレンジャーが解説してくれました。もっとも、登らなくてもここにしかない絶景や、ここでしか体験できないことがたくさんあります。
▲登山禁止になる前にあった看板
◆キャメルライド
たとえばキャメルライド。あたり一面の赤い大地を、ラクダに乗ってトレイルしていきます。いろいろな時間帯にツアーが出ていますが、オススメはサンセットのツアー。沈んでゆく太陽が周辺の大地とウルルを染めていく光景をラクダの上から眺めるという、まったく超非日常感動時間が訪れます。
◆フィールドオブライト
夕暮れ時の魅力的なアクティビティのもうひとつが、フィールドオブライト。イギリスのアーティスト ブルースマンロー氏が手掛けた、大地を埋め尽くす何万もの数のLEDのイルミネーションは圧巻。周囲に人工的な明かりがないこの場所だからこそ成立している作品もまた、超日常的光景。
2019年11月、フィールドオブライトの会場近くでおこなわれたのが、シドニーオーケストラの“オペラ・オーストラリアガラ・コンサート”。そもそもオペラを鑑賞すること自体、非日常でもありますが、それをまさかの砂漠の真ん中、星空の下で鑑賞するという、非日常的体験。
チケットは販売と同時に売り切れという人気ぶりで、会場ももちろん満席。来年も開催されるというので、興味のある方はチケットの申込みをお早めに!
※2020年は12/11-13に開催予定。詳細はこちら
◆これも体験したい! サンセットアクティビティ
サンセットのアクティビティからさらにもうひとつ。スパークリングを飲みながら夕日が照らすウルルを鑑賞する体験です。赤土の砂漠の上でシャンパングラスを傾けつつ、夕日に染まっていくウルルを眺めるという、そんなプチリッチなサンセットタイムを過ごせます。
太陽が沈んでも、非日常を与えてくれるウルル。あたり一面は、人工的な光がないので、夜は真っ暗になります。真っ暗になるということは、星が美しいということ。空に輝く満点の星を見に行く、ナイトスカイツアーに参加しないという理由はありません。
どうです、この満天の星っぷり! 南半球でしか見ることのできない星座、サザンクロスを見ること自体が非日常。とはいえ、あまりに星が多すぎて何度説明されても、どれがそれなのかをよくわかっていない自分です。当然ですが、こちら南半球は北半球とは星の現れる季節方が真逆。夏にオリオン座が現れます。
◆サンライズ
サンライズの時間もまた、非日常の感動が待っています。南半球の大地から登る朝日が砂漠とウルルを照らし、刻々と周りの色が変化していく様は、海から昇る朝日を見ることの多い日本人にとっては見慣れない(見たことのない)圧巻の朝焼け。ウルルに来たら絶対見に行くべきです。
こちらは定番のサンライズビュースポット。ツアー客が大勢押しかける場所なので、バスから降りたら、なるべく早めに展望台へと向かい、撮影の為のベスポジを抑えてください。
そしてこちらは穴場のサンライズビュースポット。先に紹介した、フィールドオブライツを見下ろす丘の上から登る朝日を待ちます。
闇の中に浮かぶライトが空が明るくなるに連れ消えていき、なんとも幻想的な光景を浮かび上がらせます。夜の闇から白白と明けていく空、大地を埋めるライトと登ってくる朝日… 感動的光景が次々押し寄せてきます。
◆空から見るウルルとカタジュタ
旅の最後はヘリに乗って、ウルルとカタジュタの両方を空から見に行きます。
空から見るとこんな感じで、ただただ大地が広がっていて、本当に周りにはなんにもありません。
大地の中にドカン! とまるで誰かが置いていったかのようなウルル。
そして風の谷のナウシカのモデルとなったといわれるカタジュタ。
地球が育ってきたそのままの姿を目に焼け付けたら、そろそろ日本に帰ります。
◆ウルル滞在中に食べるもの
砂漠の真ん中、しかも「海からも町からも遠いこの場所で一体何が食べられるというのですか!?」と、不安になりますか?
大丈夫。魚料理も肉料理もちゃんと&美味しくいただけるし、ビールだってワインだって飲めます。
興味があれば先住民の人たちの料理のお勉強や試食もできますよ。※この先住民ブッシュフード体験ツアー、ウルルナイトスカイツアー、サンライズとフィールドオブライトへは日本語ツアーがおこなわれています。ツアーの詳細は→ AAT Kings
このように次々と非日常の光景が展開される、ウルル=カタジュタ国立公園。オーストラリア大陸のほぼ中心に位置するここは、世界文化遺産に指定されています。と聞いて「自然遺産ではなく、何故文化遺産?」と、疑問に感じましたか?
その理由は「先住民の人々が今もなお昔と変わらないスタイルで暮らし、それを伝え、証拠として残っている」ことが文化的価値あるものとして認められたから。
◆先住民の暮らし
では先住民たちのスタイルとはいったいどんなものなのでしょう? それは、「自分たちのできることを粛々とやる」。
それがこの厳しい環境の中で生きていく知恵だといいます。よそから持ってくるのではなく、周りにあるものだけを使う先住民のスタイルは、「ナチュラルビューティー=自然美」とも呼ばれ、だからこのあたりには外来種はほとんどいないんです。
植物やスパイスを薬草や食物にする彼らにとって、「大地は巨大な貯蔵庫」。周囲の大地に無駄なものなどないのだと教えてくれます。
環境と自然と一体になる「ナチュラルビューティー=自然美」という彼らのライフスタイルは、今の時代にこそ必要なのだと思い、帰国後自分なりにナチュラルビューティーな生き方を目指している自分です。
◆世界遺産に泊まる
ウルルの宿泊施設はいろいろ。最高級のLongitude 131(一泊3,200ドル!)からOutback Pioneer Lodge(一泊38ドル)と8施設。予算と一緒に行く相手で選び分けてください。詳細はこちら。
取材協力:オーストラリア政府観光局
山下マヌー Manoue Yamashita
雑誌編集者を経て旅行コラムニスト/作家に。渡航回数350回超、最新刊『 山下マヌーのランキンハワイ最新版』で著作は62冊に。
Travel columnist&writer after a magazine editor.
Over 350 times to foreign travel, and over 60 books of the copyright so that work.