普段の入浴法を見直してみよう!「間違いだらけの入浴法」
寒い日は、ゆっくりお風呂に入りたいもの。リラックスできて、疲れも取れていきますよね。でも、その入浴法が間違いだったら…!?
今回、東京都市大学人間科学部教授、医師、博士(医学)、温泉療法専門医の早坂信哉先生に「間違いだらけの入浴法」を教えてもらいました。
◆42℃を超えるお湯は危険
42℃を超えるお湯に浸かると交感神経の働きが活発になり、興奮状態となることで血圧が上昇します。また、血液の粘度が上がるため、血栓ができやすくなるなどヒートショックを起こしてしまう危険性も。
40℃程度のぬるめの温度は副交感神経が刺激され、血圧が下がり、心身ともにリラックスさせる効果があります。
◆長風呂は危険
40℃の温度で10分を超える入浴は体温が上がりすぎ、冬でも浴室熱中症になる危険があります。
◆ダイエットのために「お風呂で汗をかく」は意味がない
熱いお風呂に浸かって汗をだらだらと流すと、かなりのダイエット効果があるように思うかもしれません。しかし、運動のときは自分の脂肪を燃焼させて体を動かし、結果として体温が上がり汗をかくのに対し、お風呂の場合、脂肪を燃焼させているわけではなく、お湯から熱を受け取って体温が上がり汗をかきます。運動とは汗の出る仕組みが違うため、お風呂で汗をかいてもダイエット効果はあまりありません。
◆半身浴は意味がない! 全身浴で「むくみ」解消
全身浴の方が体が温まり、血流が良くなるため、冷えの改善に効果的。また、お湯の量が多く深ければ、その分水圧が強くなることから、全身浴は下半身により大きい水圧がかかるため、足のむくみの解消などにも大きな効果があります。肩こりなどの痛みにも、半身浴より全身浴の方が効果的という研究結果も。
※心臓や肺に疾患がある人には、水圧がかからず体温が上がりすぎない半身浴がオススメ
◆一番風呂は肌によくない
日本の水道水はミネラルが少なく薄い「軟水」のため、特に一番風呂はミネラル分が少なく薄く、水道水には基準で決められた一定の塩素が含まれています。また、人間の体には細胞や血液といった体液中にたんぱく質や様々なミネラル分などの成分が含まれており、その割合は日本の水道水と比べるとずっと濃くなっているのです。
体の内側とお風呂のお湯のミネラルの濃度の違いや、含まれる塩素が皮膚にぴりぴり感や違和感といった刺激をもたらすと考えられています。解決策として挙げられるのは、入浴剤やレモン果汁をお風呂に入れること。
入浴リスクを防ぐためには…「ミネラル入りむぎ茶」
体内から水分が失われていることに気づくことができずに発症する「かくれ脱水」。このままお風呂に浸かると、体内の水分が不足しているため血液がドロドロになり、入浴で上昇した体内の熱を放出できないため、「浴室熱中症」を引き起こすリスクがあります。
また、冬の入浴事故は他にも、浴室と浴室外での気温差が大きく急激な温度変化によって血圧が大きく変動することで起こる「ヒートショック」があります。
「浴室熱中症」と、「ヒートショック」は最悪の場合死に至る危険性を含むため、冬場の入浴には注意が必要。この浴室熱中症とヒートショックにより交通事故死の約3倍にあたる19,000人が年間亡くなっています。
早坂先生が対策として推奨しているのは、ミネラル入りむぎ茶で水分、ミネラル補給すること。その理由として、ミネラル入りのむぎ茶は無糖で、カロリーやカフェインもゼロのため毎日健康的に飲用できることが挙げられます。
さらに血流改善効果や血圧低下作用などの効果が研究で報告されています。そのため、入浴前後やヒートショックに注意が必要な高血圧の方は習慣的に飲用すると◎。
筆者がやりがちな「冬の長風呂」。間違いだったのですね…。これを機に入浴法を見直してみるのが良さそう。また、かくれ脱水を防ぐために「ミネラル入りむぎ茶」を飲むこともお忘れなく!
教えてくれたのは…医師 早坂信哉先生
東京都市大学人間科学部教授、医師、博士(医学)、温泉療法専門医