30代後半・40代の妊活、知っておくべき「子どもを産むちから」
女性が子どもを産むうえで、『年齢』は切っても切り離せない大事な指標となってきます。しかし、妊娠と年齢の関係について、「比較的高齢になると子どもを産みづらい」というような漠然とした認識をもっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は高齢での出産がなぜ困難なのか、30代後半・40代から妊活を始める場合、何に気をつけるべきか、についてみていきましょう。
◆必ずしも「年齢=子どもの産みやすさ」ではない!
現在、女性のライフスタイルが多様化したことで30代後半・40代で妊活を始める人が急増しています。実際に芸能人の方の中にも30代後半・40代で妊娠・出産された方もたくさんいらっしゃいますよね。
比較的高齢で妊娠・出産する人が増えている一方で、年齢を重ねるごとに妊娠がむずかしくなってくることも事実です。
年齢を重ねるごとに妊娠が難しくなる理由としては、「卵子の数は減り続け、質も老化していく」という点があります。卵子はもともと胎児のときから体の中に備わっており、それ以上に新しくつくられることはなく、どんどん減っていくものなのです。
しかし、生まれ持った卵子の数や卵子が減るスピード、質が老化していくスピードには個人差があります。そのため、比較的高齢でも妊娠・出産に成功される方がいたり、比較的若い年齢の時点で不妊症に悩まされる人がいたりするのです。
年齢は妊娠しやすさのおおよその目安とはなりますが、個人差があることを覚えておきましょう。
◆30代後半・40代から妊活を始める場合、どのようなリスクがあるの?
30代後半・40代になると妊娠しにくいだけでなく、出産の際にもリスクが伴います。代表的なものは以下の通りです。
・生まれてくる子どもの染色体異常
・妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病
・妊婦死亡率が上がる
・流産・早産
・胎児発育不全
30代後半、40代での出産はさまざまな面で、20代での妊娠に比べ、リスクが高いことがおわかりいただけると思います。
◆30代後半になったら、自分の「子どもを産むちから」をチェックしよう!
ここまでは、30代後半・40代の女性は子どもを産むことができるのか、なぜ高齢での妊娠・出産が難しいのかについてみていきましたが、ここからは実際に30代後半・40代から妊活を始められる方に向けて、特に何をやっておきたいかについてみていきましょう。
1. タイムリミットを意識する
30代後半や40代から妊活を始める場合、まず意識しておきたいのは子どもを産める「タイムリミット」です。タイムリミットを知るためにはご自身の閉経までの期間や、自分の卵子の数を把握しておくことが大切です。自分の子どもを産むタイムリミットを知っておくことで、計画的に妊活を行うことができますよ。
2. 婦人病に注意!
また、ご自身の「子どもを産むちから(妊孕力)」を知ることもとても大切です。いざ妊活を始めようと思っても、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科の病気にかかっていた場合、そちらの治療から始めなければなりません。先ほどのタイムリミットの話にも続きますが、計画的に妊活をすすめるためにも、妊活を始める前からご自身に婦人科の病気はないか検査されておくことをおすすめします。
3. 持病がないかチェック!
婦人科の病気の他にも、甲状腺疾患、糖尿病、高血圧のような慢性疾患についても注意が必要です。先ほど、高齢出産のリスクについてみていきましたが、これらの疾患は妊娠後の経過や生まれてくる子どもの健康に影響を及ぼす可能性があります。妊娠前に適切な治療を行うためにも、妊活をはじめる際には医療機関で診察を受けることをおすすめします。
「数年間自然妊娠にトライしてみたけど、実は不妊症だった…」と気づく方も少なくはありません。このような状況はタイムリミット・ご自身の子どもを産むちからを知っておくことで防ぐことが出来ます。
いつか子どもを産みたい! とお考えの方は妊活を始める前からご自身のからだについて知っておくことをおすすめします。
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医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。