ピルと妊活は好相性? 服用中止後すぐ妊娠できる?
PMSを緩和させたり、生理周期を整えたり、避妊のために使用されたり、様々な目的で使われている低用量ピル。
避妊に高い効果を発揮するイメージが強いことから、「ピルを飲み続けていると妊娠しにくくなる」というようなイメージを持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はピルが妊娠に影響するのかについてみていきましょう。
◆ピルの服用歴は妊娠しやすさに影響しない
結論から言うと、ピルの服用歴によって妊娠のしやすさに影響が出るということはありません。
低用量ピルはホルモンの分泌量を調節することで排卵を抑制する薬です。排卵を抑制し着床しにくい状態を作ることで、高い避妊効果を得ますが、ピルの服用を中止すれば避妊の効果はなくなります。
長年ピルを飲んでいた方が服用を中止した場合、からだは徐々にピルを飲んでいない状態に戻っていきます。妊娠しやすいか・妊娠しにくいかは、ピルの服用歴とは別問題なのです。
◆ピルを辞めたらすぐに妊娠する?
ピルの服用歴が妊娠に影響を与えないことについては説明してきましたが、からだがピルを飲んでいない時の状態に戻るまでにはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
一般的に、ピル(低容量)の服用を中止したら、すぐに排卵が再開します。加えて、服用を中止した次の排卵日に妊娠しても、胎児への影響はないとされています。期間には個人差があり、実際に「ピルの服用を中止してからすぐに妊娠した」という方や「服用を中止してから半年でやっと排卵が来た」という方もいらっしゃいます。
また、服用を中止した直後は生理周期や排卵日にズレが生じることがあります。服用を中止した時点から毎日の基礎体温と毎月の生理周期を記録することで、排卵日を予測し、正しいタイミングをとって妊活に取り組まれることをおすすめします。
◆ピルの服用を止めたのに妊娠しない… 原因は?
先ほど説明した通り、ピルの服用を中止した後すぐに妊娠される方もいらっしゃる一方で、なかなか妊娠しない方もいらっしゃいます。
なかなか妊娠しない方の場合は、ピル服用の有無にかかわらず、もともと妊娠しにくい体質の可能性や、婦人科の病気にかかっている可能性も考えられます。
例えば、子宮筋腫や子宮内膜症・無排卵性月経などが上記にあたります。ご自身のからだについては、ピル服用前に検査されている方もいらっしゃるかと思いますが、妊活を始める際には今一度産婦人科にて検査を行ってみることをおすすめします。
◆ピル服用が妊活に与える好影響
最後に、ピルを服用することで、妊活に好影響をあたえるケースをご紹介します。近年、避妊のためだけでなく、その後の妊娠のためにピルを服用しておくケースも増えてきています。
生理不順を整える
ピルを服用する効果として「周期を整える」ことがあげられます。
ピルを服用している期間は排卵が抑制されますが、生理周期を正しくすることで、服用を止めた場合にきちんと排卵させるための準備としても低用量ピルは効果的です。
子宮内膜症の予防
場合によっては不妊症や卵巣がんの原因となってしまう子宮内膜症は、低用量ピルによって予防・治療できることもあります。低用量ピルには、子宮内膜の増殖を抑えるという働きがあるため、子宮内膜症の予防や治療に効果があるとされています。
妊活を始める時に子宮内膜症になっていた場合、具体的な妊活に取り組む前に子宮内膜症の治療に取り組まなければなりません。いつか赤ちゃんを産むためにも、ピルはすぐにはじめられる子宮内膜症対策のひとつなのです。
2人目以降の妊娠にも活用出来る
1人目の出産後、何年か置いてから次の妊娠を考えている場合にも、低用量ピルは効果的です。ピルを飲むことで排卵を止め、卵巣を休ませる効果が期待されます。
しかし、ピルを飲んだからといって、卵巣年齢が若くなるわけではなく、また妊娠率が格段に上がるということでもありません。その認識を持ちつつ、得られる効果を最大限活用していきましょう。
妊活にとってプラスの影響ももたらす低用量ピル。「避妊のために飲むもの」という固定概念を捨て、ご自身のからだの悩みに合わせた活用も検討してみても良いかもしれませんね。
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医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。