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2019.10.15

サウナ・自転車が精子の質を下げる!? 日常に潜む「男性の妊活」NGとは…【医師監修】

意外な行動が精子に悪影響を与える…!? 行動婦人科系の悩みをテーマとした不妊治療の名医・杉山力一医師によるカラダの不調解決コラム。

「男性の妊活」精子の質を下げる意外な行動って?

前回「不妊、3割〜5割は男性側に原因が…「男性の妊活」精子の質を高める方法って?」で男性不妊の原因のなかでも最も多い「精子の質の低下」をとりあげ、改善策として禁煙や食生活の見直しなどをご紹介しました。しかし、精子の質を下げる原因は日常の何気ない行動にも潜んでいるようです。

今回は、【男性の妊活】第二弾として、無意識のうちに行っているかもしれない、精子にとってのNG行動をみていきましょう。

◆男性はいくつになっても子供を作れる?

(c)Shutterstock.com

精子の質について考えていくうえで、まずは妊活における男性側のタイムリミットについて知っておきましょう。

女性側に子供を産むタイムリミットがあることは知られていますが、男性側の場合はどうでしょうか。

卵子は生まれた時から数が決まっていて月経のたびに減り続けます。また、年齢と共に卵子の質も下がっていくと考えられています。一方で、精子はその元となる細胞の分裂によって精巣で常に増え続けています。このことから「男性は何歳になっても子供を作ることが出来る」といううわさを信じている人も少なくないのが現状です。

確かに、高齢になっても子供を作れる男性もいらっしゃいますが、35歳を過ぎると精子の質(運動率や量)が低下する男性や勃起不全に悩む男性の数も増加していきます。つまり、何歳になっても子供を作ることが出来るといううわさは正しいとは言えないのです。

そのため、男性も女性同様に赤ちゃんを産むためのからだづくりをしておくことが大切です。

前回、精子の運動率や量は改善できること、その改善方法は喫煙や飲酒など生活習慣の見直しにあることをお伝えしました。今回は喫煙や飲酒よりももっと何気ない日常に潜むNG行動について、紹介します。

◆サウナ・長風呂… 股間を温める行為はNG!

(c)Shutterstock.com

精子の質(運動率や量)を低下させる大きな原因の一つが「股間をあたためる」ということ。

精子は熱に弱く、陰嚢の温度が1℃でも上昇すると、精子の運動率は下がるといわれています。ここからは、股間をあたためていることによる、精子にとってのNG行動を具体的にみていきましょう。

1:サウナ

サウナに長時間入ることがは、精子・精液にとって悪影響を及ぼすという研究結果が発表されています。今までサウナをよく利用されていた方も、サウナを控えることで精子の質の改善に効果がある場合がありますので、妊活中はサウナの利用を控えることをおすすめします。

2:高い温度のお湯・または長時間の入浴

サウナと同様に、高い温度のお湯への入浴や長風呂も股間を温めることにつながります。妊活中は高熱高温・長時間の入浴を避けることをおすすめします。

3:ノートパソコンを膝に置いての作業

電車の中でノートパソコンを膝の上において作業… といったなんて経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか? しかし、実はこの何気ない行為もNG行動の1つなのです。ノートパソコンは底面が熱くなることから、1時間作業するだけでも2℃ほど精巣(睾丸)の周りを温めてしまいます。

移動中やスペースがない時、膝の上でパソコン作業を行いたい場合には、鞄や雑誌、台などの上にノートパソコンを置いて作業されると温めすぎを防止することができますよ。

◆下着・自転車… 股間を圧迫する行為もNG!

(c)Shutterstock.com

精子の質(運動率や量)を低下させるもう一つの大きな原因が「圧迫」です。股間を圧迫することで、精巣の血管が圧迫されてしまいます。

その影響で血流が悪くなると、活性酸素がたまって質の良い精子を傷つけてしまうとされているのです。では、具体的にどういった圧迫行動がNGなのかみていきましょう。

1:ぴったりとした下着を身に着ける

ボクサーパンツなどのぴったりとした下着をみにつけることも、股間の圧迫につながります。陰嚢部分が圧迫されてしまうと血流が滞るほかに、ムレから股間周りの体温が高くなることも懸念されており、精子の質に悪影響を及ぼすと考えられます。妊活中は通気性の良いゆったりとした下着を身に着けることがおすすめです。

2:長時間の自転車

長時間自転車に乗ると、サドルの圧迫によって血流が悪くなってしまいます。この結果、精子の量が減少したり、運動率が低下したりするだけでなく、ED(勃起不全)を引き起こす場合も考えられます。通勤などの都合で自転車に乗ることを避けられない場合は、股間を保護するようなサドルに変更する、腰を浮かせて股間を周りの血流を滞らせないよう工夫するなどの対策をおすすめします。

3:長時間のデスクワーク

長時間の自転車と同様に、同じ姿勢で長時間座り続けることで陰嚢が圧迫され、血流が悪くなってしまいます。これらは熱がこもる原因ともなりますので、1時間に1度を目安に立ち上がって、股間周りの血流を良くしましょう。

妊活のために食事や睡眠を意識している男性も、無意識のうちに精子にとってNGな行動をとっているかもしれません。日々の行動をふりかえって『高熱』『圧迫』を引き起こしていないかチェックしてみましょう。

妊活はパートナーと支えあうことが大切です。精子の質は男性の問題だからと考えず、女性も正しい知識を身に着け、パートナーと共有して、協力し合っていくことをおすすめします。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

医師 杉山力一

杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。

東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。

監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。

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