足は若返らせることができる! まず、足寿命をチェックしてみましょう
「足には寿命があります」というのは、アメリカで「足病学」を学び、帰国後に3万足の足の診察経験をもつ足の専門医 菊池守先生。前回は菊池先生に「足の寿命」のチェック方法について伺いました。今回は「足を若返らせる体操」や歩けることが様々な病気や症状の予防になるという話題についてお聞きします。
足を若返らせる3つのスタスタ体操
「足が若返るには1.足首のやわらかさ、2.土踏まずのかたち(アーチ)、3.足裏の筋力の3つが重要。そこでこの3つを回復させる簡単な体操を考案しました。普段あまり運動しない人でも、体がかたくて悩んでいる人でも無理なくこなせます」
◆スタスタ体操1.足首の柔らかさを取り戻す=壁ドンふくらはぎのばし
アキレス腱はほうっておくと、どんどん硬くなってしまいます。そこで壁を使ったストレッチで柔軟性を取り戻し、関節可動域を広げましょう。
▲壁に向かってまっすぐ両手をつきます。両手のひじがちょうど伸びる程度の距離を保って。
▲左足を一歩下げます。つま先はまっすぐ前に向け、ヒザを曲げず、かかとを浮かさないのがポイント。
▲少しずつ壁に体重をかけ、右足のヒザをゆっくり曲げます。左右のつま先はまっっすぐに。もう片方の足も同じように行います。後ろに下げた足のヒザが曲がったり、かかとが浮いてしまうとアキレス腱は十分にのびません。足のつま先はまっすぐ前へ。
左足20秒、右足20秒を1セットとして、3セット(2分)を毎日行いましょう。
◆スタスタ体操2.土踏まずのかたちが改善する=足首サッサ
足のアーチを整えるためには、ヒザの裏側からかかとへ向かってのびる後脛骨筋をはじめ、複数の筋肉に働きかける必要があります。そこでこの体操で、足裏のアーチを形成する筋肉にアプローチ。足の裏で掃き掃除をするイメージでトライしてください。
椅子に浅めに腰をおろして、リラックスした状態を保ちます。足は肩幅程度に軽く開きます。
▲足の裏は完全に床につけた状態に。足首はなるべくまっすぐに。、少しつま先を外側に向けます。
▲かかとと小指を床につけたまま、足首を少し倒すようにして親指側を浮かせます。
▲そのまま小指でサッサと床を履くように、内側へこすります。ふくらはぎの内側の筋肉をしっかり使う感覚で。左足も同じように行います。ヒザを固定したまま、小指側を床から離さずに行うことが大切。
左足10回(10秒)、右足10回(10秒)を1セットとして、3セット(1分)を毎日行いましょう。
◆スタスタ体操3.足裏の筋力がアップする=足裏そらし
足の指や足裏の筋肉は自分でも気づかないうちに硬くなっているもの。この状態が続くと、アーチが崩れたり、冷えやむくみが起こったりしてしまいます。そこで足裏の筋肉(かかとから足指についている筋肉)を鍛え、足の機能を取り戻す体操を行いましょう。
浅めに椅子に座ります。足は肩幅ぐらいに開き、すべての足の指を床におろします。このとき、くるぶしはヒザより前にあるようにしてください。
▲すべての足の指を大きく反らせます。アーチを強く引き上げる感覚で。
▲足の指を反らしたときは、指の間はできるだけでいいので広げます。
▲足の指を大きく反らせた状態から、親指だけを床に下ろします。他の指はピンと反らし、アーチを引き上げたままにしておくのがポイント。
▲親指を下ろすときは、かかとが浮きそうになるのをぐっと耐え、アーチに力を込めます。できる限りで結構です。
▲アーチの力を抜かないまま残りの4本の指を床に下ろします。
▲最後に床をつかむようにアーチに力を入れ、すべての指の付け根(MTP関節)を曲げ、ぎゅっとつま先を持ち上げます。右足、左足を各5回行います。
左足5回(20秒)、右足5回(20秒)を1セットとして、3セット(2分)を毎日行いましょう。
菊池先生の最新著書には、この体操のさらに詳しい情報や、この体操がうまくできない人のためにもっと簡単にできる体操も紹介されています。
「歩く」ことは病気を予防する! 世界が注目する「中之条研究」
「中之条研究とは、群馬県にある中之条町で2000年から15年にわたって実施された“歩くことと病気の因果関係”をモニタリングした研究のこと。この調査結果は世界中に衝撃を与えました。
なんと歩くだけで、うつ病、心疾患、脳卒中、がん、動脈硬化、骨折、筋減少症、体力の低下、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高血糖、メタボリックシンドローム、肥満、認知症、寝たきりなどの、さまざまな病気や症状の予防になることがわかったのです。
結論からいえば、健康を維持、増進するためには1日平均8000歩以上歩くことが理想的。また、ただ歩くだけでなく、早歩きなど中強度の活動が20分以上含まれていれば、さらにさまざまな病気に対する予防効果が得られることがわかっています。
歩行は全身運動であり、物理的に体が鍛えられます。またさまざまな風景に触れることで脳の働きを活性化させ、発見や気づきによる刺激が精神のケアに役立ちます。つまり歩くことは心身の両面に働きかける効果があるのです。
いつから始めても遅くはありません。足の健康法を毎日の生活に意識して取り入れてください。また足について困ったときは、足に精通した医師の診断を受けることをおすすめします」
TOP画像/(c)Shutterstock.com
お話を伺ったのは… 下北沢病院 院長 菊池守先生
2000年、大阪大学医学部卒業。国内の医療機関に勤務した後、米国ジョージタウン大学創傷治癒センターに留学し、足病学に出会う。帰国後、佐賀大学医学部附属病院形成外科診療准教授を経て、日本初の足の総合病院「下北沢病院」院長に就任。日本形成外科学会認定・形成外科専門医。高齢化社会が進み、足の疾患が増えるなか、日本ではまだなじみの薄い足病学の普及に尽力する。これまでにトータル3万足を診察してきた経験に基づき、年齢に関係なくいつまでも自分の足で歩くための「足の若返りメソッド」を考案。「一般社団法人 足の番人」理事長。ウェブサイト「教えて、足病先生! 」の校長も務める。最新著書「100歳までスタスタ歩ける足のつくり方」(アスコム)が公表発売中。
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