筋肉痛は、筋肉にダメージが加わることで引き起こされる痛み
通常は運動した翌日に発症することが多いですが、運動した数日後に遅れて現れることも少なくありません。日常生活や仕事などに支障を来たすような辛い痛みが続くことも少なくありません。
そこで今回は、筋肉痛の効果的な治し方について詳しく解説します。
【目次】
・【筋肉痛 治し方】そもそも筋肉痛はなぜ起こる?
・【筋肉痛 治し方】太ももの場合
・【筋肉痛 治し方】腹筋の場合
・【筋肉痛 治し方】効果的な食べ物ってあるの?
【筋肉痛 治し方】そもそも筋肉痛はなぜ起こる?
筋肉痛は無理な運動を行うことで、幼児から高齢者まで多くの年代の人が経験する症状です。一度も筋肉痛を経験したことがないという人はいないと言っても過言ではないほどありふれた症状の一つです。
発症頻度が非常に高い「筋肉痛」ですが、そもそもなぜ筋肉痛は引き起こされるのでしょうか?
私たちが脚や腕を動かすためには筋肉が必要です。筋肉は収縮を繰り返すことで運動を可能にしますが、この収縮を繰り返すときに筋肉が一時的に強く引き伸ばされるため、筋肉の線維に細かな断裂が生じます。
非常に些細なダメージであるため、通常の運動では痛みなどを感じることなく自然に回復しますが、筋肉を酷使することで些細なダメージが積み重なると、ダメージを受けた部位に炎症が起こって筋肉痛が引き起こされると考えられています。
筋肉痛の痛みが時間差で起こる理由
また、筋肉痛が運動直後に現れずにある程度時間を置いてから生じるのは、炎症によって生じる「痛み物質」の産生に一定の時間がかかるためとされています。普段からよく使う血流の豊富な筋肉は「痛み物質」の産生スピードが速く、運動後早い段階から筋肉痛が現れる傾向にあります。
一方、普段よく使っていない筋肉は血流も少ないため、「痛み物質」の産生に時間がかかり、筋肉痛の発症が遅れがちになります。一般的に、年齢を重ねるごとに筋肉痛が遅く現れると言われているのは、筋肉量の低下などによって血流が低下することが原因なのです。
【筋肉痛 治し方】太ももの場合
筋肉痛は筋肉への微小なダメージが積み重なることによって生じる症状です。このため、筋肉痛を解消するには、筋肉の炎症が落ち着いてダメージを受けた部位が修復されるのを待つしかありません。
一般的には発症後3~5日ほどの時間をかけて徐々に改善していきますが、つらくダルイ筋肉痛はできれば早く治したいもの。特に、歩くたびにきつい痛みを生じる太ももの筋肉痛は一刻も早く解消したいものです。
太ももの筋肉痛は、階段や坂道を下ったりした際に大腿四頭筋(太ももの前面にある筋肉)が引き伸ばされたり、スクワットやキック運動などによってハムストリング(太ももの後面にある筋肉)が強い力で引き伸ばされることが原因で引き起こされます。
このため、太ももの筋肉痛を解消するには、できるだけ太ももの筋肉に負担をかけないようエレベーターやエスカレーターを使用する、長時間の座位は避けてこまめに立ち上がるなどの対策が必要です。また、筋肉の線維修復を促すため、筋肉のマッサージや半身浴などによる血行改善も同時の行うと良いでしょう。
しかし、痛みがひどく熱感を伴うような場合には、アイスノンや氷枕などで患部を冷やす、足を上げて横になって太ももへの血流改善を促す、包帯などで患部を圧迫する、などの対処が必要になります。
【筋肉痛 治し方】腹筋の場合
腹筋も筋肉痛が起こりやすい部位の一つです。特別な腹筋運動を行わなくとも、私たちの日常生活では歩行や食事、会話、排便など様々な場面で腹筋が使われており、酷使されがちな筋肉の一つと言ってよいでしょう。
そんな腹筋の筋肉痛には、お腹に力をいれずにゆっくり起き上がる、背筋を伸ばして腹筋の負担を軽減する、大笑いをさける、など腹筋を安静にするための対策がおススメです。特に、腹筋への負担を軽減するには背筋を鍛えて姿勢を保つバランスを整えるようにしましょう。
また、太ももの筋肉痛と同様に、軽めのストレッチや半身浴などで筋肉の線維のダメージ修復を促すことも大切です。一方、痛みがひどい場合でも腹筋を冷やしてしまうと身体全体が冷えてしまい、消化管の機能にも影響を与えることがありますので控えた方が無難です。
【筋肉痛 治し方】効果的な食べ物ってあるの?
基本的に、筋肉痛を改善するには、筋肉のダメージが修復するまで筋肉への負担を軽減し、修復を促すような対策を講じながら時間が経つのを待つしかありません。
しかし、筋肉が修復するには筋肉を形成する栄養素が不可欠であり、著しく偏った食事などで十分な栄養素が摂れていない場合には回復が遅れることがあります。
筋肉痛の回復を早めるには、筋肉のもととなるたんぱく質をしっかり摂ることが大切です。近年では身体に有用なアミノ酸が配合された「プロテイン」も手軽に入手することができますので、このようなサプリメントを使用してみるのもいでしょう。
また、青魚などに多く含まれるDHA、EPAなどのオメガ脂肪酸は筋肉に生じた炎症を鎮める効果があるとの報告もあります。痛みが強い場合にはオメガ脂肪酸を意識的に多く摂るのもおススメです。
なにより忘れてはならないのが、十分な水分補給
運動後は多量の発汗による脱水症状を引き起こしやすくなりますが、全身の血行が悪化することで筋肉の修復に時間がかかることになりますので、こまめな水分補給を心がけるようにしましょう。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。