本来ならスムーズに排泄される便が腸管内に止まることで、腹痛や腹部膨満感、食欲不振、吐き気など様々な症状を引き起こします。
女性は男性よりも2倍も便秘になりやすいとされており、慢性的な便秘に悩んでいる人は多いのでは?
そこで今回は、便秘を引き起こす食べ物と便秘解消に効果的な水分摂取方法を詳しく解説します。
【目次】
・【便秘 原因】なりやすい食事、食べ物って?
・【便秘 原因】水分をとったほうがいいと聞くけど、具体的に量はどれくらい?
【便秘 原因】なりやすい食事、食べ物って?
便秘は、主に水分不足や大腸の蠕動(ぜんどう)運動低下によって引き起こされます。
私たちが口にした飲食物は、胃や十二指腸、小腸で細かく消化された状態で大腸に送り込まれます。大腸に送り込まれた消化物はドロドロとした液状ですが、大腸の粘膜にはこのような消化物から水分を吸収する働きがあります。このため、消化物は大腸の中を直腸・肛門方向に移動していくにしたがって水分を失い、最終的には固形の便になるのです。
しかし、体内の水分が十分でない場合には、大腸で吸収される水分量が増えるため、便は固くなります。その結果、大腸内をスムーズに移動できず、痔の悪化などを引き起こすため便秘になりやすくなるのです。
また、大腸内で作られる便は、大腸が収縮を繰り返す「蠕動運動」を行うことで直腸・肛門方向に送り出されていきます。このため、大腸の運動が低下すると大腸内の便が正常に排出されずに便秘を引き起こすことがあります。大腸の運動は、交感神経・副交感神経からなる自律神経によって司られており、これらのバランスが乱れると大腸の運動が低下して便秘になりやすくなります。
世の中には様々な便秘対策・便秘解消法がありますが、その多くは便秘の状態を改善することに重きが置かれているのが現状です。しかし、便秘対策では第一に便秘になりづらい身体や習慣を作ることが大切です。
そのためにも便秘の原因となりうる次のような食べ物の過剰摂取は控えるようにしましょう。
便秘の原因となりうる食べ物
肉類
肉類は腸内の調子を整え、スムーズな便通を促す善玉菌を攻撃する悪玉菌を増やしてしまう作用があります。肉類に含まれる脂質は便通を促す作用がありますが、過剰に摂取すると腸内環境が乱れて便秘になりやすくなります。
不溶性食物繊維
食物繊維と言えば、便秘改善効果のある栄養素の代表格とのイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、食物繊維には水溶性と不溶性があり、イモ類やキノコ類、豆類などに含まれる不溶性食物繊維はかえって便秘を悪化させてしまうことがあります。
不溶性食物繊維はその名の通り、水に溶けない性質のため大腸内で便のカサを増す作用があります。通常であれば、便の量が増えることで大腸が刺激されてスムーズな便通へとつながるのですが、水分不足などで便が硬い人はさらに硬く大きくなった便が大腸内に止まり、強固な便秘を引き起こしてしまうことがあります。
食物繊維を摂る時は、海藻類や野菜類、果物などに含まれる便を柔らかくする効果を持つ水溶性食物繊維を摂るようにしましょう。
【便秘 原因】水分をとったほうがいいと聞くけど、具体的に量はどれくらい?
便秘にはいくつかの原因がありますが、便秘を予防・改善するにはそれらの原因をひとつずつ改善していく必要があります。
1日に1.5~2Lを目安に
なかでも、水分摂取は、便秘の主な原因である水分不足を解消するだけでなく、消化管に刺激を与えて大腸の運動を促す効果も期待できます。水分不足による便秘を防ぐには、一日に1.5~2Lほどの水分を摂るようにしましょう。また、起床時などは良く冷えたコップ一杯分の水や牛乳を一気に飲んで、大腸に刺激を与えるのもおススメです。
水分の種類はお好みで構いませんが、牛乳やヨーグルト飲料、抹茶、炭酸飲料、カフェインの含まれたコーヒーなどは便秘解消に有用と考えられていますので、便秘に悩んだときはぜひ試してみてください。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。