バーゲンで30%オフの商品を見てもいくらお得なのかわからない、割り勘するときにいくらかパッと計算できない、なんてことありませんか?
何となく、数字に苦手意識を抱く女性は多いもの。でも、ビジネスで数字は切っても切れない関係。いつまでも「わかんない」「苦手」なんて言っていられません。そんなあなたに朗報! あなたのアタマが数字と仲良くなるウマい方法があります。
今回は、「後輩が動く数字を使った指導方法」について解説します。
スライドは、1グラフ・1オブジェクト・1メッセージまで
仕事がデキる人は、実は数字の「裏」の使い方が上手である。
私がこの連載でお伝えしていることです。今回も具体的な例をご紹介してまいりますが、今回はこれまでと少し違った切り口の題材で、「法則っぽい」ものを数字でつくることを提案します。
さっそくですが、あなたはパワーポイントなどで使うスライドのデザインをどのように設計しているでしょうか。プレゼンテーションのときなどに投影するものですから、当然ながら人が見ることを前提につくっているはずです。
かつて私が20代のビジネスパーソンだった頃に先輩から注意されたことがあるのですが、情報を詰め込み過ぎて何が言いたいのか、どこに注目すればよいのかサッパリわからないスライドをつくってしまっていました。
しかし先輩からの指導はいつも「もっとシンプルに」「もっと見やすく」「情報量が多すぎる」といった指摘ばかり。たしかにその通りなのですが、具体的にどんなスライドが理想なのかを説明してくれず、何度もつくり直してはダメ出しされることがありました。
そんな経験もあり、私はビジネスパーソンの研修などを通じて指導をする立場になった現在、言いたいことは「もっとシンプルに」「もっと見やすく」「情報量が多すぎる」であってもそのままの言葉で指摘はしないようにしています。こういうときこそ、数字を「裏」で使うことで研修参加者のアウトプットを変えるのです。
とはいってもそれはとても簡単なこと。具体的には以下のようなフレーズを伝えるだけです。
「スライドは、1グラフ・1オブジェクト・1メッセージまで」
使っていいのはグラフ1つ、オブジェクト(図形や文字や線など)1つ、伝えたいメッセージも1つまで絞らせます。
たとえば次のスライドをご覧ください。
私はよく数字・矢印・グラフの3点を組み合わせてプレゼン資料を作成するのですが、これもまさに1グラフ・1オブジェクト・1メッセージではないでしょうか。グラフは棒グラフ。オブジェクトは上昇を表現する矢印。メッセージは「営業利益率5%増」。
中学生でもおそらくこのスライドのメッセージは伝わることでしょう。
毎回同じことを申し上げますが、この例においても「1」という数字はあくまで脇役に過ぎません。
要するにつくるスライドのクオリティが高くなればそれでいいわけです。その目的のために少しだけ数字を脇役として使う。まさに「裏」で使うことで「表」の仕事の質が高まるのです。
かつての私の先輩も、おそらくこういうスライドにしなさいと言いたかったのでしょう。でも実際に「もっとシンプルに」「もっと見やすく」「情報量が多すぎる」ではうまくいかなった私がいます。
このスライドの話に限らず、あなたの職場でもこれと似たようなことが起こっていないでしょうか。
あなたが後輩にする仕事の指示は、本当にそれで伝わっているでしょうか。あなたにとっての「スライドは、1グラフ・1オブジェクト・1メッセージまで」はいったいどんな指示でしょうか。
この記事を読まれた方が、少しでも具体的な指示をするようになってもらえたら嬉しいです。
本当にしつこいですが(苦笑)、仕事がデキる人は数字の「裏」の使い方が上手なのです。
深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/人材教育コンサルタント
BMコンサルティング株式会社代表取締役/多摩大学非常勤講師/理学修士(数学)
ビジネスパーソンの思考力や数字力を鍛える「ビジネス数学」を提唱し人財育成に従事。著作多数。
文化放送「The News Masters TOKYO」ニュースマスター
ラジオ『深沢真太郎のビジネス数学カフェ』パーソナリティ
パールハーバープロダクション所属(文化人タレント)
国内初のビジネス数学検定1級AAA認定者
公式チャンネル「ビジネス数学TV」