バーゲンで30%オフの商品を見てもいくらお得なのかわからない、割り勘するときにいくらかパッと計算できない、なんてことありませんか?
何となく、数字に苦手意識を抱く女性は多いもの。でも、ビジネスで数字は切っても切れない関係。いつまでも「わかんない」「苦手」なんて言っていられません。そんなあなたに朗報! あなたのアタマが数字と仲良くなるウマい方法があります。
今回は、「法則っぽく」数字を使うことのススメについて解説します。
「法則っぽく」数字を使うことのススメ
数字の使い方には「表」と「裏」がある。
本当に数字に強い人とは、「表」だけではなく「裏」の使い方が上手な人。前回はそんなことをお伝えしました。今回から具体的に「裏」の使い方について解説していくことにします。
「なんであのヒトは仕事ができるんだろう?」「なんかあのヒトの言うことってカッコいいし説得力あるのよね」なんて思える人が身近にいませんか。ひょっとするとその人は数字の「裏」の使い方を知っているのかもしれません。
さっそくですが、この連載で「プレゼンは、3-1-3」というテーマをご紹介したことを覚えているでしょうか。念のため復習しますと、「プレゼンは、簡潔にわかりやすく!」というビジネスフレーズを、私は企業研修やセミナーなどの場では次のように変換して参加者に伝えています。
「プレゼンは、3-1-3」
伝えていることはとてもシンプル。どんなプレゼンも必ず、3分間で、1つのことを、最大3つの要素で説明するように設計しなさいということでした。もちろん伝えていることは「簡潔にわかりやすく」ということに他なりません。
ところが、この数字を入れた言い回しで伝えた方が、実際は頷いたりメモをとったりする人が圧倒的に多い。つまりしっかり伝わるのです。
いったいなぜなのか、その理由をここからもう少し深堀りしていきたいと思います。
あなたは「メラビアンの法則」をご存知でしょうか。コミュニケーションのポイントを解説する際にとてもよく使われますが、念のため説明します。
人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかを説明する経験則であり、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合と言われます。そしてこの割合から「7-38-55のルール」とも言われています。
お気づきかもしれませんが、ポイントは最後の「7-38-55のルール」という表現です。メラビアンの法則を学術的な観点で正確に説明できる人はなかなかいませんが、「7-38-55のルール」という“法則”はとても記憶に残りやすいし、人に説明もしやすい。要するに申し上げたいことは、次の1行に集約できます。
数字を使って「法則っぽく」伝えると印象に残る
そしてここで重要なことは、「7」「38」「55」といった数字はあくまで脇役に過ぎないという事実です。主役はあくまで「メラビアンの法則」であり、理解すべき概念もまたあくまで「メラビアンの法則」です。
その内容を具体的でわかりやすく伝えるために(本来は使う必要がないにもかかわらず)あえて数字をちょっとだけ使うことでいいことが起こる。
私なりの解釈ですが、「表」の概念が「メラビアンの法則」、「裏」の概念が「7-38-55のルール」となります。
今回はその「裏」の数字の使い方のひとつとして、「法則っぽく」伝えることを提案しました。あなたの仕事において、「法則っぽく」伝えられそうなことはないでしょうか。
売上のいい日とそうでない日の傾向。物事が決まる会議とそうでない会議の傾向。考えていくと、誰もが頷くような法則が見つかるかもしれません。そしてそれを具体的な数字で伝えてみてください。“正しいっぽい”内容として伝わることでしょう。
実はこの“正しいっぽい”というのは意外に大事なことです。
極論、正しいかどうかなんて実は誰にもわかりません。だからこそ、あなたの伝える内容が“正しいっぽい”かどうかが勝負なのです。実際、「プレゼンは、3-1-3」も「7-38-55のルール」も“正しいっぽい”ですよね?(笑)
裏方がいい仕事をする。結果、表舞台に出ているものが輝く。何事にも通じる真理ではないでしょうか。
次回もさらに数字の「裏」の使い方について解説してきますのでお楽しみに。
深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/人材教育コンサルタント
BMコンサルティング株式会社代表取締役/多摩大学非常勤講師/理学修士(数学)
ビジネスパーソンの思考力や数字力を鍛える「ビジネス数学」を提唱し人財育成に従事。著作多数。
文化放送「The News Masters TOKYO」ニュースマスター
ラジオ『深沢真太郎のビジネス数学カフェ』パーソナリティ
パールハーバープロダクション所属(文化人タレント)
国内初のビジネス数学検定1級AAA認定者
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