Oggi世代の女性と話していると、最近話題にのぼるのが「都市にこだわらない働き方」。生まれ育った地元に戻って働きたい、地方でしかできない仕事をしたい、パートナーの転勤で…きっかけはいろいろですが、都会の刺激とは違う「豊かさ」を感じているのは、取材した女性、皆の共通点、でした!
地方で働くきっかけは【転職】
岡山県庁 内藤伶奈さん
「結婚を機に夫の地元へ。東京でのキャリアも活きています」
福島県出身の内藤さん。新卒で総務省に入省後、25歳のとき出向先の岡山県庁で現在の夫と出会った内藤さん。
「最初から結婚を意識していたので『いずれは岡山に住む』と考えていました。2年で任期が終わって東京に戻った1年後に結婚を決め、退職。転職先は岡山県庁に狙いを定めました。勤務経験もあったし、国や地方の行政に携わっていた前職のキャリアを活かせるので迷いはなかったです。その後岡山に移住し、3か月間は試験勉強に集中しました。受かるかどうかヒヤヒヤでしたが無事に合格、移住した翌年の4月に入庁しました。大きく変わったのは勤務時間。東京では仕事はおもしろいしやりがいもあったけれど、毎日終電帰りがあたりまえで人間らしい生活とは言えませんでした(苦笑)。今は定時に帰れるし、自分のペースで働けるゆとりが生まれました。でも、やりがいが減ったわけではありません。異動のたびに業務がガラッと変わるので幅広い知識が身につくし、住民の暮らしに直結した業務なので手ごたえも十分ですよ」
内藤さんは都内から岡山県へ拠点を移動!
【東京】総務省 →【岡山】岡山県庁
東京の満員電車がストレスだったが、徒歩通勤になりイライラも軽減したそう。
内藤さんの【都会と地方の働き方比較】
精神的ゆとり、体力的な余裕が2→5になるなど、仕事の充実度以外の項目で数値がUP。特に残業が減ったことに満足している。
▲夫は岡山県内の市役所に勤務。お互い県庁へ出向していたのが出会いのきっかけに。
▲広報・防災業務などを経て、入庁4年目の現在は道路管理部門を担当。配属が変わるたび、関連する法律などを勉強している。
地方で働くきっかけは【起業】
パソナ東北創生 代表取締役社長 戸塚絵梨子さん
「ボランティアで出合った『第二の故郷』に戻って東京都は違う働き方を実践中!」
戸塚さんは社会人2年目、東京で人材派遣の法人営業を担当していたときに東日本大震災を経験。翌年にはボランティア休暇をとり岩手県釜石市で9か月活動した。
「東京で生まれ育った私にとって釜石との出合いは衝撃的でした。釜石では仕事と生活が密着していて、自分の仕事がだれに届くのか相手の顔が見えるんです。東京に戻った後も『釜石で出会った人と、そんな働き方をしたい』という思いが募りました。会社からも背中を押してもらい、釜石と都会をつなぐ社内ベンチャーを立ち上げたのが3年前。自分が起業するなんて夢にも思いませんでしたが、ボランティアではできない継続的な事業も展開でき、充実しています」
戸塚さんは【東京から岩手】へ
【東京】パソナ →【岩手】パソナ東北創生
戸塚さんの【都会と地方の働き方比較】
「地方で働く」こと自体は全項目満点。ただし同時に社長という立場になりスタッフや責任も増えたため、ゆとりはやや少なめ。
▲釜石と都市をつなぐ研修ツーリズム事業、釜石の地域資源を生かして起業する人材を育成するローカルベンチャー事業などを運営。写真はツアー中のオリエンテーションの様子。
プロに学ぶ「地方で働くということ」
教えていたいただいたのは・・・
認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター 副事務局長 嵩(かさみ)和雄さん
1972年生まれ。東京都出身。東洋大学大学院、阿蘇地域振興デザインセンターを経て、2001年熊本県小国町へ移住。都市農村交流事業などに携わる。2009年に東京に戻り、現職。
「以前は『悠々自適な田舎暮らし』を求めて移住する熟年世代が多かったですが、2011年の東日本大震災直後はファミリー層、ここ数年は20~30代の相談者が急激に増加。都会で働くライフスタイルを見直す若い世代が増えるとともに、地方で働くことが選択肢のひとつになりました。現在は地方の各自治体による受け入れ態勢も整いつつあるので、まずは『この街で働いてみたい』とイメージすることから始めてみては?」
地方で働くことへの関心が年々高まっています!
地方で仕事を探すための3STEP
【STEP1】移住・転職イベントに行ってみる
まずは情報収集。たとえば「ふるさと回帰支援センター」には45道府県の相談窓口が設置され、毎日のように就職相談会が開かれている。先輩移住者などの生の声を聞いて、移住したいエリアを選定。
【STEP2】ハローワークで求人をチェック
地方の求人情報数は、企業が無料で求人を掲載できるハローワークが圧倒的。「熊本仕事いいねっと」「高知求人ネット」など、自治体が独自に運営するサイトもあるのでチェック。
【STEP3】応募後、実際に現地を訪問する
書類選考後、スカイプでの面接に対応する企業も増加中。しかし直接その企業を見ないとわからないことはあるもの。実際に会社を訪れ、社内の雰囲気や条件を確認するのがオススメ。
Oggi3月号「もう『都市』にこだわなくていいのかも!? 地方で働くということ」より
構成/佐々木 恵・酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部