「女性の健康週間」です! 子宮頸がんについて正しく知りましょう!
毎年3月1日〜3月8日は女性の健康週間です。東京都では、女性特有の病気である「子宮頸がん」「乳がん」の予防啓発が行われています。各自治体ごとにも、女性の健康づくりについてイベントが開催されているので、チェックしてみてください。
前回は乳がんについてお伝えしましたが、今回は子宮頸がんについてお伝えします。
前回記事:【医師監修】女性の健康週間です! 乳がんのセルフチェックをしておこう
子宮頸がんは、妊娠や出産にも大きくかかわる病気です。まずはどんな病気か「知る」ことから始めましょう。
■子宮頸がんってどんな病気?
子宮がんは、婦人科のがんの中で最も多いとされており、子宮体がんと、子宮頸がんの2種類に分かれています。
子宮頸がんが発生する原因は、トパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染によるものとされています。このウイルスは、性交渉によって感染するものですが、感染してからがんになるまでの過程については解明されておらず、多くの女性が一度は感染するウイルスであるともいわれています。
子宮頸がんは、早期に発見すれば比較的治療しやすいがんです。しかし、進行すると、子宮を摘出するなど治療が難しくなることから、早期発見が極めて重要な病気といえます。
年齢別で見てみると、20代後半から40代後半まで横ばいに続いており、近年では、罹患率、死亡率ともに若年層で増加傾向にあります。この実態からも、成人してからは定期的に検査が必要である病気であることがわかります。
■がんの症状、兆候について
子宮頸がんは、初期のうちは全く自覚症状がありません。しかし、発症から時間が経過すると、普段の生活でも兆候が見られるかもしれません。
次の様な症状が確認される場合は、注意して様子を見るようにしてください。
《症状チェック!》
・月経中以外や性行為時の出血
・普段よりもおりものが多い
・生理の量が多い、生理が長引いている
■2年に1回がん検診を。費用はどれくらい? 検査は痛くない?
がんの兆候の有無にかかわらず、定期的に検診を受けるようにしましょう。日本では、20歳以上の女性は2年に1回、「細胞診検査」という子宮頸がん検診の受診が推奨されています。
この検査は、子宮の入り口を面の細胞をブラシなどの器具で軽くこすり取るものです。短時間ででき、痛みもあまりない検査で、ほとんどミス無く正確に診断することができます。
また、気になる費用ですが、自治体によって費用が変わります。自治体からの公費検診であれば無料~2,000円程度で受診できます。検診の際はご自身の自治体の制度について確認してみてくださいね。
■子宮頸がんは妊活への影響が深刻な病気です
子宮頸がんの治療法は、がんの進行具合によりますが、発見が遅いほど治療は難しくなり、治療後の妊娠にも大きな影響を与えてしまいます。
初期の段階で発見されれば、子宮頸部の異常な組織だけを取り除く手術(=円錐切除術)で対応が可能です。しかし、この手術によって、妊娠をしても早産や流産のリスクが高まるという指摘がされています。
また、更に進行が進むと、子宮を全摘出しなければならない可能性があります。そうなると、体外受精などの手段も検討しなければならず、負担が大きくかかる可能性があるのです。
■日本と他国での対応の差に懸念…まずは検診を定期的に!
欧米での子宮頸がん検診受診率は高く、アメリカでは80%以上の女性が検診を受けています。一方、日本では受診率は25%程度にとどまっているのが現状です。
また、世界のほとんどの先進国ではワクチン投与により、子宮頚がんはかなり予防される時代になっています。しかし、日本はワクチンの副作用の懸念があることから、投与が中止、延期になっているのです。有効性は世界で認められていますから、私たちも早期再開を願っております。
子宮頸がんは、妊娠に大きな影響を及ぼすにも関わらず、海外と比べて大きく出遅れているのが現状です。ワクチンの問題をすぐに解決することは困難ですが、定期的な検診での早期発見により、負担を軽減することはできます。
将来子どもが欲しいと思ったとき、授かる準備ができるよう、子宮の健康を守るためにも、定期的に検診を受けるようにしましょう。
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医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
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