「女性の健康週間」です! まずは「乳がん」をチェック!
今週金曜日から、女性の健康週間がスタートします。厚生労働省では、毎年3月1日から3月8日までを「女性の健康週間」と定め、女性の健康づくりを展開。この1週間、各自治体ごとに、女性自らが自身の健康に目を向け、見直せるような、支援やイベントが開催されます。
東京都では、女性特有の病気である「子宮頸がん」「乳がん」の予防啓発が行われます。当サイトでも、今回と次回の2週に分けて、それぞれどのような病気なのか、どんな検診方法なのかを解説していきます。
今回は、「乳がん」についてチェックしていきましょう。
■乳がんってどんな病気? がんといっても多様多種
乳がんとは、ひと言でいえば、乳房の乳腺にできる悪性腫瘍のことです。がんで亡くなる割合が多い日本。がん、さらには「悪性」と聞くととても怖いイメージが沸いてしまいますよね。
しかし、がんといっても、種類やステージによって治療法も進行具合もまったく変わります。乳がんは、早期に発見できれば約9割が治るといわれており、がんのなかでは比較的回復率の高いがんといえます。
乳がんの進行度は様々で、大きく10段階のステージに分けられます。初期のがんですと、適切な治療を行えば再発や転移の可能性は殆どないと考えられます。
一方でステージが上がり、多方へ転移している場合などには、そのまま手術することはできず、薬物療法や放射線治療など様々な手段を用いて治療することとなります。
がんを完治させるためには、「早期発見」が何よりもカギとなります。対象となる方は、しっかりと検診を受けるようにしましょう。
■乳がんは40代後半がピーク! 近年患者数は増加傾向に…
乳がんの患者数は、30代後半から増加し、40代後半から50代前半にピークに達します。また、年々患者数は増加しています。
半世紀ほど前には50人に1人の割合で罹るといわれていましたが、現在では14人に1人の割合と、罹る可能性が確実に高まっているのです。
この要因は様々あげられますが、中でも指摘されいているのが、食生活の欧米化です。近年、高タンパク、高カロリーの食事が多くなったことが原因で、初潮が早く、閉経が遅くなり、月経の経験数が増加します。月経の際に発せられるエストロゲンというホルモンが、がん細胞を増殖させる要因となっているため、ホルモンが出る機会の増加に比例して、乳がんの患者数が増加してきているといわれています。
このように、近年患者数が増加傾向にある乳がんですが、国内の検診状況は芳しくありません。アメリカやイギリスなどでは受診率が8割近くに上る一方で、日本の受診率は約4割にとどまっているのが現状です。
■国でも推奨! 乳がん検診は定期的に受けましょう
乳がん検診は、厚労省より「40歳以上の女性は2年に1度検診を」と推奨されており、各自治体で補助金などの制度も充実しています。対象年齢の方や、ご家族(母親、姉妹)に乳がんの経験のある方は、受診するようにしましょう。
検診は、問診の他に、「マンモグラフィー検査」と「超音波検査」の2種類があります。それぞれどのような検査なのかご紹介します。
《マンモグラフィー検査》
マンモグラフィー検査とは、乳房専用のX線撮影を指します。乳房を板で挟むことで薄く伸ばして撮影します。この検査によって触診では確認できないしこりを見つけることができ、早期の段階で腫瘍を発見することが期待されます。一方、若い女性の方はがんの判別が困難、わずかですが被爆の可能性がある、といった欠点もあります。
《超音波検査》
乳房にジェルを塗り、センサーを当て、モニターに乳房の断層面の画像を映してしこりを確認します。この検査では、マンモでは分かりづらい若い女性のしこりの発見が期待できる一方、その場限りの確認となるため、見直すなどのことができないことが欠点として挙げられます。
■普段の生活で自分のバストをセルフチェック!
国で40代から推奨されている一方で、30代でも発症の可能性はあります。ではなるべく若いうちから受ければいいの? というと、一概にお勧めはできません。若い方ですと、マンモグラフィー検査の有用性が低かったり、検査自体が身体的にも負担を及ぼしたりするためです。
そのため、まだ対象の年齢にならない方は、まずは自宅でセルフチェックしてみることをお勧めします。
《「見て」セルフチェック!》
▼観察方法
・腕を高く上げる
・腕を腰に当てる
・乳房や乳首を絞るようにする
▼確認ポイント
・乳房の変形や左右差が無いか
・異常な分泌物や出血がないか
・ただれやひきつれが無いか
《「触って」セルフチェック》
▼観察方法
・指の腹を乳房に押し付けるように、10円玉サイズで「の」の字を描く
・乳房の周辺ものの字を描く
▼確認ポイント
・しこりが無いか
・くぼみが無い
冒頭で、乳がんは比較的生存率の高いがんである、と話しましたが、それでも深刻な病気であることには変わりありません。発見が遅れると、他のところへ転移する可能性もあります。
まずは必ず検診に行くこと、そして、少しでも違和感を感じたら年齢にかかわらず一度診てもらうことをお勧めします。
次回は子宮頸がんについてお話します。
つづく
医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。