元旦の祝い酒、ならぬ邪気払い漢方! 「お屠蘇」
お正月、元旦の祝い酒といえば「お屠蘇」(おとそ)。ちょっと薬っぽい味で苦手、という人も多いかもしれません。それもそのはず、お屠蘇はもともと中国生まれの、歴史ある漢方薬なんです。
中国、三国時代の名医が作った「屠蘇酒」
漢方薬「屠蘇散」は、中国で3〜4世紀ごろに作られた生薬(薬草など)の組み合わせで、もともとは感染予防のために作られた処方。この屠蘇散を前夜から酒に浸したものが「お屠蘇」になります。現代で飲まれているお屠蘇とは生薬の内容が異なりますが、「邪気を屠(ほふ)り(=邪気を払い)、魂を蘇らせるところから「屠蘇」と名付けられたもので、「元旦に飲むと年中の災厄を避け、福寿を招く」と伝えられています。
実はお正月に嬉しい効能が沢山! 祝い酒というより「お正月に飲むべき漢方」
そんなお屠蘇に入っている生薬は、お正月の不調予防に役立つものばかり!
代表的な「屠蘇散」の生薬と効能は下記のとおり。(※組み合わせは異なる場合があります)
【肉桂】(ニッキ)寒さによる胃痛・風邪の初期症状・神経痛に
【山椒】食欲不振・消化不良・胸のつかえ・腹部の冷えに
【白朮】むくみ・尿量減少・食欲不振に
【桔梗】のどの痛み・咳・痰・吹き出物に
【防風】風邪の初期症状・関節痛に
【丁子】(クローブ)胃の不調・食欲不振・冷えに
【陳皮】消化不良・吐き気・咳止め・風邪予防に
沢山飲むものではありませんが祝い酒で邪気を発散して、不調を寄せ付けない健康な一年を祈願しましょう!
大木さと子
国際中医薬膳師・漢方アドバイザー。国立北京中医薬学大学日本校卒。普段はメーカー勤務、よく食べよく飲むアラサーOL。ふだんメシをアップするInstagramにて、薬膳の情報も発信中。