地明真希さんってどんな人?
今回ご紹介するのは、パン職人・地明真希さん。
土曜日朝9時、栃木県日光市ののどかな住宅街にできる、一際目立つ行列。その行列の先にあるのが、地明さんの食パン専門店「利(とし)」。
北海道産の小麦粉や沖縄の塩など、厳選された素材から作られたパンは、“もっちり”かつ“きめ細やか”な味わいで、「芸術のパン」と称えられるほど。
毎週土曜日のみの営業ながら、「小麦本来の味が楽しめる」「至福の味」とお客さんの舌をうならせ、200斤以上の食パン、手作りのサンドイッチはわずか1時間で完売するほどの人気ぶり。
そんな地明さんですが、実はもともと幼稚園の先生をしていたのだそう。パン作りはあくまで趣味でしたが、地明さんの作るパンが大好きだった土木職人の父の死を機に、34歳でパン職人の道を志すことに。
そして、3年間独学で食パンの研究を続け、オープンさせたお店は、父の名前から一文字とった「利」。
いまでは、女手一つで中学生の息子を育てながら、食パンの仕入れから製造・販売まで一人でこなしています。
地明真希さんの「7つのルール」
さて、そんな地明さんが「いつもしている7つのこと」=「セブンルール」とは…
■1.耳まで美味しく
地明さんが作る食パンの角にできる白い線。これは、「ホワイトライン」と呼ばれ、発酵や焼き加減が完璧でないと綺麗に出ないのだそう。さらに、一般的な食パンと比べ、焼き色が薄いことが特徴。まさに、耳までおいしく食べられる食パンなんです!
■2.焼きたては売らない
地明さんのこだわりは、なんと、焼きあがりから12時間以上経ったパンしか売らないこと。焼きたてのパンを冷まし周りを固め、中の水分を封じ込めるという一手間によって、もちもちの食感が…♡ 焼きたてがおいしいのは当たり前だから冷めたときにおいしいことにこだわっているのだそう。これなら県外から買いにきたお客さんも十分に味わえますね!
■3.機械をピカピカにする
徹夜でパンを焼き上げたあと、地明さんが必ずすることは、機械を磨くこと。「機械やものを大切にしないと、いい仕事はできない」という父の言葉を心構えに、感謝を込めて磨いているという。
■4.箸置きのセットは息子にやらせる
地明さんは、自宅でご飯を食べるとき、箸置きをセットするのを息子にやってもらっているのだそう。食事をする前に箸置きとお箸を置くことで、自然に「いただきます」「ごちそうさま」という言葉が出てくるのだとか。
■5.仕入れの帰りは祖母におやつを届ける
地明さんが仕入れの帰りに必ずすること、それは、母の経営する美容室に顔を出すこと。そして、母の家に来る祖母と話すことで、仕事に追われてギスギスしている自分が一瞬ほどけるのだとか。家族を大切にするところもとても素敵ですよね!
■6.食べる人全員と言葉を交わす
週1回、お店に立つときに地明さんがこだわっていることは、お客さん一人ひとりに声をかけること。「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」だけでは終わらせたくないのだそう。
■7.「利」を誰にも渡さない
「利」を一代で終わらせると決めている地明さん。その背景には、地明さんの強い思いが。「お父さんと同じ職人になったよ。ここまで頑張っているよ。」という父への思いや自分の葛藤があって「利」があるので、一生自分だけのもので終わらせたいという。
地明さんの地道な研究や人柄とお父様への思いの詰まった、パン。一代で終わってしまうというのは寂しい感じもしますが、お店をどれだけ大切にされているかが伝わってきました!
文/かわはらりな
次回の「7ルール」の放送は、5月22日(火)よる11時~11時30分です。春のパン祭り第2弾の次回は、クラフトビールとパンを提供する、夜のパン屋さん・小林由美さんをご紹介!
しごとなでしこでは、番組を振り返り、仕事をする女性たちへのヒントを見つけていきます! ぜひチェックしてみてくださいね♡
初出:しごとなでしこ
パン職人 地明真希
栃木県出身 39歳。地元で幼稚園の先生をしながら、趣味でパン作りをしていたが、土木職人だった父の死を機に、34歳でパン職人の道を志す。
3年間独学で食パンの研究を続け、2013年5月に食パン専門店「利」をオープン。
「芸術のパン」とまで称えられる味は様々なメディアに取り上げられ、土曜日限定の営業ながら行列のできる有名店に。日光にある店舗には、栃木県のみならず、県外からもファンが押し寄せる。
中学生の息子を持つ一児の母。