土浦がサイクリストの聖地に!?「Play atre」がすごい
東京からトコトコ電車に揺られ、うとうとすること、1時間半。
「はーるばる、来たぜ〜、◯◯〜!」
え? どこへ?
そうです。土浦です。
千葉県の上、茨城県にある大きな大きな湖、霞ヶ浦。その(ほぼ)ほとりにある街が土浦。まだ、船が輸送手段だった江戸の昔、水陸交通の要でもあった地。
今でも常磐線に乗れば(ほら、私みたいに)、1時間半。首都圏のベッドタウンとしても利用されている街なのです。
ある日私に届いた一通の招待状。土浦駅上に新しい施設のご案内とか。
それも素敵な名前!「Play atre」。なんか名前だけでも素敵そう!こりゃお邪魔してみるしかありません。
駅のコンコースから、それは素敵なバナーが立ち並び、気分も上がる。なんかこれは本気モード入ってるー。
美しくリニューアルした土浦駅は驚くほどきれいになっていた。そして、コンコースを出た我々の前にその全容が…。
すごい!
こんな素敵なサイクルショップ、東京にもないよ!
外国にいるような気分。これが駅ビル???
洗練されていてかつ、スポーツショップらしいちょっと粗野でクールな内装。倉庫のような高い天井の統一されたインテリア。その中にサイクルショップをメインに、これまた自転車ムード満載のタリーズ、そして日々の生活のためのドラッグやコンビニなどが並んでいる。
サイクリストは自分の自転車を解体して大きなバッグに入れて運ぶことも。そのためにここ、「PLAY atre」では自転車を組み立てる場所も作り、工具の貸し出しサービスも行なっているのだった。
さすが!
そして目玉はもちろん、併設されている自転車ショップ「ル・サイク」。
この眼を見張るような自転車の数、カズ、かず。そしてアパレルからヘルメット、その他サイクリングに必要なグッズがセレクトショップさながら所狭しとディスプレイ。
「あ、あの部品忘れた!」とか「ちょっと組み立ての手が足りない!」そんなサイクリストの悩みにすぐスタッフが応えてくれるのだった。
なんと不思議な魔力だろう。
ここに居ると、今までサイクリングなんてやったことのない私まで、霞ヶ浦を颯爽と走っている自分が想像できてしまう。
や、やってみたい。
いやいや、ちょっとまったー!
「え、あのー私、本格的に自転車乗ったことないんですけど…(ママチャリ以外)」
出迎えてくれたナガトミさんがすぐさま答える。
「大丈夫ですよ。そういうビギナーのためにここでは各種のバイクがレンタルできるんです。それも細かいグッズまで貸し出しして、初めて乗る人をバックアップしてます!」
そうか、それなら安心して、トライできるじゃないか。
隣にいたノゾミちゃんが、ここで衝撃の告白を。
「私、サイクリストの聖地、しまなみ海道を走ったことありますよー」
な、なんと! 先を越されているではないかー。
「お尻がもう痛くてズルムケそうになるんですよ、だからパンツのパッドは絶対必須!」
ぎゃー、お尻の皮がズルムケ?
「そうなんですよ、僕もお尻の皮がむけて最後痛くて大変でした。。。」とナガトミさん。
そのためにパッドのついたサイクルパンツやあとは低反発のウレタンをサドルに巻き付けたりするのはとても大事なんだそうだ。。
恐怖が消費家を襲う。。。
かなり、後にひけている私に感づいたのかナガトミさんは「大丈夫です、今の自転車のほとんどは電動モーターもついているんです」
な、なんと! 電動モーターなんて邪道に聞こえるものがこんなプロ仕様の自転車にもついているのね。
「道中どういう状態になるかわかりませんからね。それにクロシマさんみたいに途中で挫折したりする不安もありますし」
…いや、私が挫折するかわからんじゃないか! まだやったこともないんだからっ。
でもたしかに。。。考え方が進んでいるんだね。
しかし、見渡す限りのおシャレ自転車。街の自転車屋とはやっぱり一味も二味も違う。奥の壁面には世界各国のメーカー自慢のバイクも大事にディスプレイされている。
うわ、、どれも何十万円もする高級車。。。汗
ツヤツヤとした色とりどりのボディとグラフィック力のロゴデザイン、、自転車って改めて見ると本当に美しいな。
ほら、よく見ると5万〜6万円台のやつもたくさんある(もっとお得なのもあるみたいです)。これならちょっとコート買うのを控えれば、全然買えるじゃないか!
と、走ったこともないのに思わず消費に走りそうな消費家クロシマ。
あかん、あかん。自制自制…。
待ち合わせはこのサイクリングマップの前で。メンバーが揃うまで、ここで充電しながら、色々ルート作戦を練られます。
地下には周辺の住民も通勤用に使える、巨大な自転車置き場も併設。なんとシャワールームの設備もある!
「Play atre」の中にある青い線。これは一体なに!?
ところでさっきから目の端に入ってくる青い線。むっちゃ気になるのです。
それも。コンビニやタリーズの中まで入り込んでる。。。
「これはバイカー用の動線なんですよ!」ナガトミさんが教えてくれた。
えーっ、コンビニの中も通っていいの!?
「もちろんです。お買い物もあるでしょうし、タリーズには自転車を掛けておくポールもありますよ!」
どこまでもサイクリストフレンドリーな施設だ。
青い線は「Play atre」を出て車道まで続いている。その理由は…
そしてサイクリング初心者にさらに朗報! この青い線、「Play atre」を出てもずっと続いている。歩道も、そして車道まで。
「この青い線はここ、土浦駅から『つくば霞ヶ浦りんりんロード』までずっと繋がっています。辿っていけば、迷うことなく連れてってくれるのです!」
すごい、本当にどこまでもサイクリストフレンドリー。
ただ、この土浦駅ビルが、ここまでバイカーのための施設に大変身を遂げたのには理由がある。
やはり、少子高齢化、土浦のような街も人口がだんだん少なくなり、なのに競合の路線が出来たりで。駅前のスーパーがなくなり、ますます利用客も減り。
駅ビルにあったファッションゾーンも、このデジタルでなんでも買える世の中、利用客も減る。
こういった負のスパイラルからの起死回生プランがこの、「サイクリストの聖地になろう!」だったのだ。
ママチャリじゃないバイクも、いきなり買わずにレンタルならトライしやすい。
美しい霞ヶ浦の風景、途中の名所旧跡めぐり。そして何十キロも走って自分に鞭を打つ、その達成感。たくさん汗を掻いた後の美味しいビールと美味しい地元のご飯。
たしかにこれはデジタルでは味わえない。自ら味わい、身体と心に刻まれていく「本当の体験」。
「PLAY atre」は、既存のアトレ・アトレヴィとは全く異なる、新しいコンセプトのもと開発されたアトレの新ブランドなのだ。
それもどこの地域も抱える問題に直面しながらできた新しい「コト発信」「体験の提供」の場だ。
でも、こんな変貌を遂げてみたら、あらあら、年齢も性別も関わらず、どこからともなく人がぞくぞくと集まってきたのだった。それも自転車に乗らない人まで、ただただ、気持ち良い空間を味わいに。
ちなみにこれが施設全般の料金など。
でも自転車とか良くわからない読者のみなさん、ご安心ください! 1階のル・サイクに来ていただければ、優しいスタッフさんがレンタルの方法や見たことのないバイクでも乗り方まで全部教えてくださいます。
ところで、、招待状をよく見ると、大きくこんな文字が書かれている。
“第1弾 OPEN!”
そうなんです、なんとあと数ヶ月でPLAY atre 土浦の中に地産地消型のレストランができるんだとか!
そして数年後には上層階に自転車と一緒に泊まれるホテルも計画されている! こりゃ、土浦がしまなみ海道とかのような、サイクリストのためのベーススポットになって行くのも時間の問題だ。ということで、なんでもトライしたがる好奇心の塊、女子3人組。
ホテルのオープンまでは待てないので、レストランができるタイミングでのサイクリングトライが決意。
霞ヶ浦1周!、、、いや1周は180キロ、、、かなりハードル高め?(何日かかるわけ?)
ショートコースの90キロ、、、いや、これも?(どーなの? やったことないからイメージがわかないのだった)
お尻の皮がずるむけない程度にぜひトライしたいと思う消費家。
そんな(多少腰が引け気味の)私に、ナガトミさんの最後の一声!
「大丈夫です、辛いと思ったらそのままくるっと戻ってきてください! そのために道にずっと矢印と電動モーターがあるんだから!」
た、たしかに。。。行きますよ。。こんな素敵な風景を見られるんだから。
素敵な「コト体験の場」に大変身した土浦に。
#今日は消費の予約はしたけど消費はしてないな
#ハマったら自転車買いそうでちょっと怖い
#いやいや先ずはレンタルでトライです
初出:しごとなでしこ
黒島美紀子 MKシンディケイツ代表
消費家・商業マーケティングコンサルタント
アパレル、セレクトショップ・百貨店を経て独立起業して早や10年余。数々のお買い物の実践と失敗を繰り返し、ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察。また、世界各地の商業スペースやブランドをチェック、消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶ。