私は一体何をしに香港に来ているのだ!?
週末に弾丸で香港に視察(遊び?)に行ってきました!
香港は東京から4時間ということもあり、私も結構何度も足を運んでいるし、旅好きのなでしこの皆さんもリピーターの人も多いかもしれない。
香港は、エネルギッシュでエキサイティングだけど小さい街。
ほぼ、毎回見てまわる所も限られ、ショッピングと美味しい中華を味わうこと以外、実は意外にやることは限られるかもしれない。
まずは、ショッピング。
「地道に貯めたお金を握りしめ、ショッピングモールを漁り、ブランドショップに駆け込む」なんていうのももう、やらないし、そもそも家は服やシューズバッグで溢れかえっている。
ショッピングモールなんていうのもブランド揃えは大体同じだし、広いだけでウィンドウショッピングだけでもかなり疲れる。
女人街とかマーケットはザワザワしていて活気あって楽しいけれど、これこそ断捨離の奥義としては“買ってはならぬ要らぬもの”の宝庫!。その時は安さもあり、可愛い〜と手にした置物やステーショナリー…意外に帰ってから使わないものが多かったりで、リピーター的には、年月を重ねるごとに“行ってもいいけど、無駄買いはあかーん”エリア指定に!
そして、グルメ。
以前男子のグルメチームと視察に回ったことがあるけれど、男子の底力たるやすごい! コーヒーショップ、グルメバーガー、流行りのスイーツに飲茶。日に何軒も巡り…いやいや無理っす(汗) いくら食いしん坊の私でも胃がキューキューになってしまった。
それに糖質、脂質、女子はどこにいてもカラダのバランスを考えねばならない。いくらグルメの旅とはいっても加減を知らない旅はできぬのだ!
となると、ショッピングやグルメだけじゃ、やっぱり何かもの足りない。旅先で何をして、何を感じて、何を収穫とするか。
これって大事な問題じゃ、ありません!? と言うことで改めて自問自答します。
「私は一体何をしに香港に来ているのだ?」
消費家クロシマ流 “香港の楽しみ方”
■1:ブティックホテルAttitude on Granvilleに泊まる
やっぱりホテルチェックは今のトレンド。このごろ「ブティックホテル」とか「デザインホテル」といわれるホテルに泊まってみるようにしている。
値段もラクジュアリー系より安かったり、結構面白い繁華街の中にあったり、さまざま。ホテルは(結局)寝るだけだけなので、お金をかけるかかけないか、悩みどころ。でもやっぱり今は面白い所を探したい。
今回は香港の友達Venusが教えてくれたAttitude on Granvilleホテルに泊まってみることに。
▲尖沙咀のど真ん中!(それもナイキのお店の真上)
▲華やかなブロックを使った個性的なエントランス。
▲中に入ってみるとポップなグラフィックがいっぱい。
レセプション脇にはこんなラウンジスペース。中国から来た若い女子が二人ソファでずっとスマートフォンをいじってる。(今っぽいね)
お部屋の中はというと…
ポップなウォールアートだけど、そんなにうるさくないクリーンな部屋。
お風呂場のタイルがとても可愛い! そして、床まで繋がっていてダブルでさらに可愛い! タイルコンビネーションも絶妙。
これはアタリだね。外の喧騒も一切聞こえない。(不思議。。どこ行っちゃったんだろう? あの大量の人や車が醸す音は??)
ひとまずは無事にチェックイン完了(やったー)
さて、ひとまず、周辺をぶらつこう。
香港の良いところ。それはLost in translation。
大量の人に紛れ、速度の速いエスカレーターに巻き込まれそうになり、そしてこの大量の湿気にまみれる。
方向感を失ったかのようなとまどいと、時空をワープしたような錯覚。
古くもあり、新しくもある。クラシックでもあり、イノベーティブでもある。混沌と整然。そして、ジャンクと伝統。
そんなミックスマッチのど真ん中にいると、自分がまさにLost in translation。
そうだ、思い出した。そんな無力感を味わいたくて私は香港に来るのだった。
■2:電車に揺られて約1時間。香港の郊外で「田舎時間」を楽しむ
今回は友達のVenusに「なんか今まで行ったことのないところに行きたい」というリクエストをずっとしていたら、「じゃぁ今回は私の家の方まであそびにきて」という。
ということで、尖沙咀(チムシャーツイ)から電車を乗り継ぎ約50分。太和駅での待ち合わせとなった。
ここまで来ると車で走るその道も、日本の田舎道のように緑も多く、空は広い。
ちょっと曇った空からは時々日差しがのぞく。そして、畑には小さな桃の木が整然と植えられている。そう、香港は実は山が多く、都会のほうは少ない平地に人は身を寄せ合うように高いビルを建てて住んでいる。
でも、今は若い人も都会から離れ、電車で1時間くらいかけたところに住む人が増えているという。「都会はうるさいし、せわしないし」と、Venusと旦那さんも引越し組。一軒家を持つ身だ。
彼女たちが私を連れて行ってくれたのは、願い事が叶う木があるという林村という村。お寺の横にあるのはくだんの神木、『許願樹』、英語名はその名の通りWishing Tree。
遠くの木に引っかかっている赤いものが見えますか? これが皆が書いた願い事の紙。(偽物のプラスチックのオレンジの実に紐で願い事の紙をつないで、それを木に投げて引っ掛けるのだ)
まずはオバちゃんの言うとおり、願い事を紙に書く。日本でいう絵馬みたいなもので、結構大きくてボリュームがある。
木に引っ掛けられないと願いも叶わない。。ちょっと、なんか難しそう…。
と、そういうお悩みの人用に結びつけられる場所も用意されていたのでそっちへキチンと結びつける(やっぱり願いはキチンときいてもらわんと)。
お寺の近くにあるほっこりとしたプレハブの食べ物屋さん。そこでVenusが勧めてくれた。
「甘い豆腐ですよ、たべてみませんか?」
これは、甘い豆腐? 杏仁豆腐か?
「違うんです。豆腐は普通の豆腐。でも甘いシロップをかけて食べます」
たしかに見た目もそんな感じ。あまいシロップと生姜の粉。
一口食べてみると、あれ。
あまりに普通の豆腐で味が淡白。びっくりする。でも、その次の瞬間、甘いシロップと生姜のピリッとした辛味が舌をつく。
そしてちょっとあったかくて、ほっこりする。「日本人が食べると普通の豆腐に甘いシロップだからびっくりするんです」とVenus。
でも美味しい。甘みも上品、胃に優しい味。
「そうなんです、病気の時とかに良い滋養」たしかに、田舎の空気と田舎の時間とほっこりした甘さ。
こんな香港もちょっと新しい。
■3:日本酒、陶芸… 香港で超一流の日本の文化に触れる
このところ香港に行くと必ず立ち寄るPMQ。
場所は、尖沙咀(チムシャーツイ)とは反対の香港島ランカイフォンの奥にある。
もともとは警察宿舎だったところをリノベーションし、ライフスタイル系のクリエイターを中心にお店やらアトリエがたくさん入っている面白い施設。アートイベントやマルシェもよく行われている。
中も廊下があって、部屋が並んで本当に学校に来たみたいな懐かしさ。古い感じを活かしていて、中庭に面したオープンスペースが開放感をもたらしている。
そんなPMQにも日本ブームが。1階に大きな日本酒ショップができていた。
すごい量の日本酒。そして陳列もキチンと一つ一つ美しくディスプレイ。落とした間接照明で日本酒やら今流行りの日本のウイスキーがところ狭しと並ぶ。
お隣の部屋にはガラスの器、陶器のおちょこ、漆器の片口。日本酒に関するものならなんでも揃ったお店。
すごい日本推しだ!
他のフロアも一つ一つショップを見ていく。お洋服屋さんもあるが、インテリア雑貨屋さん、刃物だけを扱った店、そしてジュエラー。
ここでは新しい香港のクリエイションの波を感じられる(週末には日本酒イベントとかもあるらしい)。
と、上の階でまた一つ引き込まれる店が。
素敵な陶器のお店だった。と…よく見ると。
全て日本の若い新進作家さんのものばかり! 日本でもなかなか会えないような素敵な作品がずらり並ぶ。こんな遠く離れたところで日本の文化にまた出会う。それも超ど級の本物だ。
「益子、九谷、萩…いろんな窯元を訪ねたり、展覧会に母と行って集めて来るのです」素敵なオーナーの女性が話してくれた。日本人より日本の文化を愛する人。「日本でもお店をやりたいの」
どうしても目に止まって離れない、小さなガラスの一輪挿し。ぽっこりしたいびつなフォルム。ちょっと不揃いなザボンのようなぼこぼこ感。
ガラスなのにシュンとしていなくて、冷たさよりも柔らかさが勝っている、その一輪挿しにヒトメボレ。
日本の作家さんなのに、香港で彼の作品を買う。
これも一期一会かな。日本でもきっとこの作品にはめったに出会えないだろうし。
香港に来て日本文化を改めて感じる。そんな旅でもある。
✔︎PMQ
■4:やっぱりグルメ。でもちょっと冒険! テイクアウト店「祥興記上海生煎包 樂道」へ
最終日、美味しいレストランにはたくさん行ったけれど、消費家クロシマにはひとつ心残りがあった。
それは下北沢にあるレストラン、「サーモンアンドトラウト」の森枝シェフが教えてくれた、による“美味しい香港のオススメ”に行けていなかったこと。
えい、まだ早い時間だけれど行ってみよう(だって飛行機乗り遅れちゃうもの)! 教えてもらった名前と彼のくれたお店の写真を頼りに、ググって見る。
お、ホテルからも近い。このままトランクと共に行ってみよう!
クネクネ細い道を行き、最後はありえないような(こわっ)小さな小道を抜けていくと…。
あったー!!!
って立ち食いかい!
かのシェフおすすめの祥興記さんは小さな包子屋さん「祥興記上海生煎包 樂道」。
それも店はテイクアウト専門であった。メニューの一番初めの包子4個入りを頼む(きっと一番目のメニューが看板商品と信じているのだ私は)。
とにかく買ってよく見渡すと、外側に簡単なカウンター(と呼べるのか?)がついている。ここで食べよう!
しかし、私もこんな事までできるようになるなんて、ひとり旅もなかなか板についてきた。
席(とは言ってもたったままですが)が確保し、かぶりつく。
ほんのり焦げた底面がパリっとしていて、ハフハフ噛むと中から肉汁が“ドパーっ”と出て来る!
すごい味が濃い。集中している感じ。なんと、すごく美味しいではないか。
しかし、2個目にかぶりついた途端、肉汁攻撃が顔を襲う。
ぎゃー。
慌ててナプキンをもらいにいく。
窓越しにはお姉さんたちが楽しそうに談笑しながら、生地をこねて餡を入れていく姿が。手前の大鍋で蒸し焼きするところまでバッチリ。
朝早くからペロリと4つ完食!(よく見たらミシュラン店ではないかー)
やっぱり香港は美味しいし、きっとディープな香港はもっと美味しい。これからはもっとディープを求めてみよう。
普段なら何気なくできること、そつなくこなせることが、旅だと実はちょっとずつ大変だったりする。
何気なく普段通りにできない自分。違和感と疎外感をちょっと感じる自分。そんな不慣れでちっぽけな自分を再発見する。
それが好きで私の旅は続くのだ。
【編集後記】
なんとなく現金がないのがちょっと不安になって、道端のATMで引き出した、800香港ドル(約10,000円です)。
なんだかんだで今の香港はほとんどカード決済。ほとんど使わずに残ってしまった。空港でお土産のお菓子を買って少し使ったけど、まだまだ600香港ドルは手もとに。
「お財布にとっておいて、次回の軍資金に」これがまた、次の香港への旅へと私をいざなうのだった。
初出:しごとなでしこ
黒島美紀子 MKシンディケイツ代表
消費家・商業マーケティングコンサルタント
アパレル、セレクトショップ・百貨店を経て独立起業して早や10年余。数々のお買い物の実践と失敗を繰り返し、ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察。また、世界各地の商業スペースやブランドをチェック、消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶ。