日本の皆さんはお正月気分なんてどこへやら、すっかりいつもの日常を取り戻しているかと思いますが、香港の新年(旧正月)は2月中旬です! 街でも飾り付けがされ、行き交う人々もなんだかソワソワ。
「どんなことをするのかな?」と疑問がいっぱい。
そこで今回は旧正月の様子を3回にわたってご紹介していきます!
旧正月は赤と金に染まる香港
そもそも旧正月とは、簡単にいうと日本が使っている西暦とは時期が異なるお正月。中華文化圏用のカレンダー(旧暦)により日程が決まっていますが、2018年の元旦は2月16日です。この新年初日は春節とも言われ、元旦から3日間はお休み(※2018年は日曜を挟み4日間)
香港の人たちは家族や親戚に会いに行きます。まずはこの時期にされる飾り付けの意味を調べてみました!
■1.とりあえず赤、赤、赤!
やはり香港や中国のイメージといえばみなさんも赤を思い浮かべませんか?
旧正月にもなぜ飾りや服に赤を用いるかというと、そのルーツは故事にあるんです。
盤古(ばんこ)時代に、山に住んでいた年獣(ニェンショウ)という怪物が、新年になると下界に来て、人や子ども、動物を食べたり、危害を加えたりしていました。そのため新年になるのを恐れた人々は、赤い服を着て、赤い垂れ幕を準備。さらに火を焚いながら、太鼓と爆竹の大きな音を出したところ、怪物は赤い色と大きな音に驚き逃げ帰ったのです。
このことから、新年は赤い服を着て、大きな音の出る爆竹で迎えることが習慣化しました。
■2.爆竹
いわずもがな、爆竹の音を怪獣が恐れて逃げたことから、新年に欠かせない装飾品です。個人的にはなぜどこにでも爆竹の装飾品があるのか不思議だったのでスッキリしました(笑)。それくらい、旧正月の飾り付けとして定番の物です。
■3.提灯
これもまた、怪獣を追い払う役目として飾られたのが始まり。玄関に飾ることで悪鬼を追い払うという意味合いが。
▲香港の多くのマンションでは玄関やロビーに飾り付けがされるのが通常。このように爆竹+提灯、など縁起物を多数飾り付けます。
■4.キンカン/みかん
会社、家、学校、銀行などに鉢植えが置かれ、こちらも必ずといっていいほど見かける装飾。キンカンは広東語で「金桔」と表記し、「桔」の発音が「吉」と同じ「ガッ」という発音なので、縁起が良いとされています。
キンカンの実は「金」に見立てられ、大きい実をつけるものが「大吉(ダイガッ)」で、みかんや夏みかんなどの大きな実を用意するところも(ホテル、高級レストランなどはその傾向にあります)。実と実の間に「利是(ライシー)」と呼ばれるお年玉袋を飾り付け、おめでたい気分を盛り上げます。
▲とあるホテルの入り口。こちらは通常のキンカンよりも大きい実の物を飾っていました!
■5.花を飾る
中華文化圏では、家の中に花を飾ると、「お花が満開になるように、お金に満ちあふれる」と考えられています。実を結ぶ物は子孫繁栄、香りは幸運を運ぶのだとか。
でもこちら、2018年現在もマンションなどには花がしっかり飾られていますが、若い世代の香港人に聞くと「お花は古い世代の人が買ってくるイメージ」だそう。「香港の縁起物はとにかくお金を意味する物が多いよ!」とは地元の友人談。
普段は造花などのフェイクを多用していて、動物園の動物が置物だったりする香港ですが(実話、笑)、キンカンや家に飾るお花ばかりは、本物にこだわります。
▲中央の桃の花は、日本と同じで春の訪れを意味しますが、香港では愛の花とも呼ばれています。良縁を求める女子が買い求めるとか!? 周りを取り囲む菊に、日本人の私としては仏花を連想してしまいドキッとしましたが、香港では「富貴菊」という名前で、お金持ちを意味する「フークヮイコッ」という発音と同じであり、とても縁起がいいのです。
次回は旧正月の習慣についてご紹介します!
ではまた、再見(ヂョイギン)♥
初出:しごとなでしこ
スーれいな 香港在住エディター
モード系、コンサバ系のファッション誌の編集を経て、フリーエディターとして活躍中。国際結婚を機に香港に移住し、現地で地元フリーペーパーに執筆や、日本の女性誌のライター、翻訳を行う。只今、ノマド海外ライフを送りながら、二歳の娘の育児に奮闘する日々。