「パンダ」の語義、49年でこんなに変わった!
2018年1月12日に、10年ぶりに発売された「広辞苑」の改訂版(第7版)。
上野動物園で2017年6月12日に生まれた「シャンシャン」でブームを巻き起こしている「パンダ」の語義も、1969年に発売された第二版から登場し、実はその都度語義が変わっているんです!
ここで、「パンダ」の語義がどのように改訂されているのか、その変遷をチェックしてみましょう!
■「パンダ」二版で初出!
パンダ【panda】(もとネパール土語)食肉目の獣。体の大きさはクマ位で黒色と白色の染め分けになり、尾が短い大パンダ(別称ジャイアントパンダ・イロワケグマ)と、大きさアナグマ位で、赤褐色、四肢が黒く、尾が長く、暗色の輪状斑がある小パンダとに区別。共にチベット付近の高山にすむ珍獣で竹を主食とする。狭義には後者のみを指す。猫熊。
→大パンダと小パンダと言われ、しかも狭義には「小パンダ」がメインになっています。
■二版補訂版では…
パンダ【panda】(もとネパール土語)食肉目の珍獣。(1)大パンダ。形態はクマに類似し体重150キログラム前後。毛色は白黒の明確な染め分けで、中国四川省・甘粛省付近の高山地帯の原始竹林に棲息、笹や竹の葉を主食。ジャイアント-パンダ。中国名、大熊猫。(2)小パンダ。大きさアナグマ位で、褐色。尾は長い房状をなし、輪状斑がある。分布地域は大パンダより広く、中国東南部からアッサム・ヒマラヤ東部にまで及ぶ。レッサーパンダ。
→ここで大パンダと小パンダが、2つに分かれました。小パンダのなかには、レッサー・パンダという言葉も!
■三版
パンダ【panda】(もとネパール土語)食肉目の獣。(1)大パンダ。形態はクマに類似し体重150キログラム前後。毛色は白黒に明確に分かれ、中国四川省・甘粛省付近の高山地帯の原始竹林に棲息、笹や竹の葉を主食。ジャイアント-パンダ。中国名、大熊猫。(2)小パンダ。大きさはアナグマくらいで、赤褐色。尾は長い房状をなし、輪状斑がある。分布地域は大パンダより広く、中国東南部からアッサム・ヒマラヤ東部にまで及ぶ。レッサーパンダ。
→二版補訂版では「珍獣」になっていたパンダが、ふたたび「獣」に。
■四版から
パンダ【panda】ジャイアント-パンダとアライグマ科のレッサー-パンダの総称
→ジャイアント-パンダとレッサー-パンダが、独立した項目になりました。
■六版では
パンダ【panda】ジャイアント-パンダとレッサー-パンダの総称。普通、ジャイアント-パンダを指す。
→「パンダ」が狭義には「ジャイアント-パンダ」を指すようになりました。
■今回の七版では…!?
パンダ【panda】(ネパール語で「竹を食うもの」の意)かつて近縁と考えられたジャイアント-パンダとレッサー-パンダの総称。普通、ジャイアント-パンダを指す。
えっ、パンダって、ネパール語だったの…初耳!!
この49年の間に、大パンダと小パンダに分かれたり、獣や珍獣やらと言われたり…時代とともにパンダの語義も、いろいろと移り変わってきたのですね。
約1万の言葉が追加! 「お姫様抱っこ」「自撮り」「ちゃらい」「上から目線」…この中で新たに追加された言葉はどれ?
その他にも、今回の改訂で、時代とともに意味が広がった言葉の語釈が追加されました。
たとえば、「炎上」という言葉に、「インターネット上で、記事などに対して非難や中傷が多数届くこと。」という語義が追加されています。
今回は、日本語として定着した語、または定着すると考えられる言葉として、新たに約1万の言葉が追加されました。
さて、「お姫様抱っこ」「自撮り」「ちゃらい」「上から目線」…この中で新しく追加された言葉はどれかわかりますか?
正解は……
“全て”なんです!!
その他にも、「朝ドラ」「価格帯」「加齢臭」「コインパーキング」「アプリ」「キーマカレー」「クリアファイル」「スマホ」「リマインド」「消費者庁」「LGBT」「ブラック企業」「新型インフルエンザ」などの言葉も今回追加されました。
逆に「いままで採用されていなかったの!?」と意外に感じる言葉もありませんか?
情報提供元/広辞苑
(編集部注:LGBTに関しては説明に謝りがあるとの指摘があり、岩波書店は修正を検討しているとの報道があります/2018年1月23日現在)
初出:しごとなでしこ