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BEAUTY

2017.12.07

「楽チンブラ」がこんなにも流行した理由とは?

ノンワイヤーブラをはじめ、今「楽チンブラ」が主流になってきています。その理由とは? 今話題の下着を作る『NAO LINGERIE(ナオランジェリー)』デザイナー栗原菜緒さんにお話をうかがいます。

体にふれるものはストレスのないものを選びたい
下着のトレンドも「ヘルシー志向」へ

14歳でランジェリーの美しさに魅せられ、下着販売や海外留学を経て、3年前にランジェリーデザイナーとして『NAO LINGERIE(ナオランジェリー)』を立ち上げた栗原菜緒さん。

今、話題の下着を作る栗原菜緒さんに、日本の下着事情や下着のトレンドについてうかがいます。


■日本女性の着こなしの原点は「着物」

ーー日本のブラジャーの歴史を教えてください。

栗原:日本のブラジャーは戦後、西洋から入ってきたものがはじまりとされています。着物から洋服へ日本人のライフスタイルに変化が起こり、西洋人のように美しく洋服を着るために、ブラジャーが必要になりました。この頃に「洋服を美しく着こなす=西洋人のシルエットを求める」という概念が日本女性に定着しはじめたといえますね。

ただ、頭にいれておきたいことは、日本女性の着こなしの原点は着物にあるということです。着物はボディラインのメリハリや凹凸が目立たないものが美しいとされ、布やタオルを体に巻いて着ることは今でも変わらない常識ですよね。

華奢な日本人に比べて西洋人の体は、バスト、ウエスト、ヒップにかけて、ボン、キュッ、ボンと表現されるようなメリハリのある体型の方が多いです。当時の日本女性は、西洋人に近いシルエットを、ブラジャーを使って補おうとしたのだと思います。

■大きく見せることよりも、付けていて楽チンであることが大事

――日本女性の着こなしの「当たり前」が大きくシフトしたということですか?

栗原:そうですね。この流れがきっかけとなり「おっぱいは大きい方がいい」「谷間のできるおっぱいがキレイ」という概念がうまれたと理解しています。美意識の幅が広がった一方で、女性のコンプレックスの対象がおっぱいになるケースも増えたと思います。女性が胸を大きくみせることに必死になったのです。

みなさんも「谷間」とか「くびれ」などの文字が並ぶ商品を目にしたり、手にとったことがあると思います。このタイプのブラジャーを付けてみると、胸のトップが高くなったり、胸が中心に寄ったなどの経験をされた方も多いと思います。「大きくみせる」という部分を追求した仕様ともいえますね。

そんな中、下着の新しいトレンドとなったのが、ノンストレスなブラジャーと呼ばれるワイヤーがないものやタンクトップにパットのみがついているタイプです。今、「付けていて楽チン」なブラジャーを選ぶ方が多くなってきています。

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■さらなるライフスタイルの変化が、「楽チンブラ」を生み出した

ーーなぜ、楽チンなブラジャーが流行り始めたと思いますか?

栗原:みなさん、あまり意識されたことがないと思いますが、おっぱいの範囲は、脇の下までのことをさします。しかし、大きく見せるブラジャーは、ボリュームを出すことや谷間をつくるために、本来のおっぱいの形よりも内側にワイヤーが入っているものが多いのです。胸を入れ込むものが主な形として独特の発展をしてきたと思います。脂肪がないところに脂肪を集めて、お肉をもっていくために強い補正がかかっているんです。

固いワイヤーや厚めのパッドが入ったブラジャーをつけると、外した後がくっきり残っていた!なんて経験をされたことはありませんか? 肌に跡がつくほど締め付けているのは、体に負担がかかっている証拠です。私も補正下着の販売のアルバイト経験があるのですが、接客中は補正下着を着用していました。かかんだり立ち上がったり、腕を上げ下げしているうちに、柔らかい脂肪は筋肉と一緒に動いてしまい、補正下着で整えた胸が持続されない。締め付けられるうえに、ずれていく感覚があって、着心地が悪くなる一方でした。

このような経験をされた方は実は多いと思います。そこから、胸を締め付ける必要があるのか?というブラジャーに対する固定概念への疑問が生まれ、さらに現代のトレンド“ヘルシー志向”に影響されてその疑問が大きくなったと思います。

今や老若男女を問わず、ヘルシー志向な方が増えていますよね。自然素材の食べ物や飲み物にくわえ、ヨガやランニングなどアクティブな趣味を楽しむ方も増えました。戦後からまたさらに大きなライフスタイルの変化がおこり、体にふれる下着もストレスのないものを選びたいという流れができたのだと思います。

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■女性の胸の下垂は28歳ごろから。

――ノンワイヤーブラジャーのメリット、デメリットはありますか?

栗原:ノンワイヤーブラジャーは苦しくない、締め付けがない=体に負担がかかっていないところがメリットです。しかし、年を重ねる毎に体型は変わっていきます。あまり気にしなさ過ぎると体型の変化も著しくなってしまいます。とくに女性の胸の下垂は、個人差はありますが、28歳頃からはじまると言われています。その変化を下着で少しはサポートすることはできると思うのですが、ノンワイヤータイプのブラジャーでは、サポートするという面では物足りないと思います。

私のサロンにいらっしゃるお客様にも、締め付けられるブラジャーに違和感を感じて、楽なノンワイヤーを好むようになったら、胸の下垂が気になり始めたんです、と相談に来られるケースがよくあります。なので、ノンワイヤーだけを着用し続けることはオススメできないですね。

次回は、自分に合ったブラジャーを見つける方法について語っていただきます。お楽しみ!

PROFILE:外務省から下着業界へ転身したランジェリーデザイナー栗原菜緒、33歳。3年前、デザイナー兼経営者として自身のブランドNAO LINGERIE(ナオランジェリー)を立ち上げ、下着業界に新規参入を果たした。締めつけないのに美しい機能性とデザイン性を合わせ持つ下着が業界の注目を集め、今では全国の大手百貨店から毎月のように出店依頼が殺到するほどの人気。

▶︎NAO LINGERIE

文/木村真悠子

初出:しごとなでしこ

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