突然ですが、忙しい合間を縫ってこの記事を読んでくれている人へ質問します。「あなたは今、がんばりすぎていませんか」。
もうひとつお聞きします。「その仕事、命よりも大切ですか?」
現在、大きな社会問題となっている『過労死』は、残念ながら他人事ではない世の中になってしまいました。長時間労働やサービス残業、パワハラなどに苦しみながらも声を上げられずに、ただ毎日必死に頑張り続ける人はどれほど多いことでしょう。ご自身のことはもちろん、家族の中に頑張りすぎてしまっている大切な人はいないでしょうか。
『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』(汐街コナ著/ゆうきゆう監修・執筆協力、あさ出版)という本が出版され、いま話題となっています。自分の働き方について、少しでも疑問を抱いているすべての人に、読まれるべき内容の本です。今回はあなたやご家族が体と心を壊してしまう前に手に取っていただけることを願い、そのマンガを一部掲載します。
いま苦しみの渦中にいる人は「辞めればいい」の判断ができなくなる
2016年10月に「昔、その気もないのにうっかり自殺しかけました」と題する、過労自殺についてのマンガがTwitterに投稿されました。この内容を読んだ人が「これ私のことだ」「リアルすぎて泣ける」と共感し、30万リツイート、26万いいね、とみるみるうちに大反響を呼びました。
「どうしようもないほどに辛くなったならば、会社なんて辞めればいい」というシンプルな判断力さえ失ってしまう、うつの症状の恐ろしさと、「うつ状態から抜けられなくなるのは、誰にも起こり得ることだ」ということを伝えるこのマンガは一冊の本となり、現役精神科医師の監修も加え大幅加筆されて出版されました。
『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』プロローグ
働く人が少しずつ追い込まれていくのには、人それぞれの様々な理由があります。マンガの著者・汐街さんは、初めにこんな投稿をしました。
人気のない地下鉄の駅でふと気づいた
「今一歩踏み出せば
明日は会社に
行かなくていい」
駅で電車に飛び込むという衝動にかられ、そして気付くのです。「私…今、何考えたんだろう…」と。ブラック企業に勤め、長時間労働の続いた著者は、溜まりゆく疲労と“がんばりすぎていた時間の積み重ね”から、まるで自分のことではないように、ぱっとその存在を消してしまおうかと考えてしまうほどになっていました。そして、こう続きます。
『「自分はまだ大丈夫」と思ううちに、判断をしないと判断そのものができなくなるのです』と、警告する汐街さんですが、もし今後このような暗闇から抜け出せないような状況に陥ったときに忘れないでいてほしいこととして「世界は、本当は広いんです」ということを記しています。
『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』代わりのいない、自分だけの人生を生きて欲しい
本書には、「働き方を見直す」きっかけになるような問いかけや、この世にふたりといないあなただけの人生をもっと大切にすべきということ、そして行動する勇気を持てずにいる人に向けてのエールなどが、詰まっています。
本書に掲載された「ハンドル」を読んでみましょう。
次に「判断力があっても辞められない理由」も読んでみてください。
「自分の命と人生を最優先に考える」。このことは、何においてもそうだと言えるでしょう。悩んでも悩んでも答えの出ないときに、この言葉を思い出すことができれば最悪の事態を防ぐことができそうです。命より大切な仕事など、ありません。
「俺がやらねば誰「か」やる」「替えのきかないもの」もぜひ目を通してください。
働くすべての人の心に刺さる、という意味合いでいくと、この本は仕事を請け負っている人だけではなく、仕事を依頼している人であったり、誰かの上司だったり、労働環境を管理する側の人にも知って欲しい内容がたくさん書いてあるのです。
毎日の仕事をこなすうちに心が沈み、本来の輝きを失っているような人はいませんか? 「もしかして私…」、そして「あの人まさか…」と思う人が身近にいるならば、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。
(文/中田蜜柑)
※『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』(汐街コナ著/ゆうきゆう監修・執筆協力、あさ出版)
初出:しごとなでしこ