話題の「Magazinn Kyoto」へ
私の仕事は、人の生活において、「次を見据えた新しい試み」を探し続けることでもある。(ちょっとカッコつけてますが…)
ということで京都に来てみた。
去年の9月くらいに何かの機会に知ってすごく気になっていた「Magazinn Kyoto(マガザンキョウト)」。
そこは
✔︎歴史と文化の街、京都にあるらしい
✔︎ホステル(宿泊施設?)らしい
✔︎泊まれるのは1日1組のみらしい
✔︎町家を改造しているらしい
✔︎テーマは“雑誌がリアルになったら”らしい
✔︎色々素敵なものも売ってるらしい
そんな基本情報だけで、Air bnbで予約。いざ、興味津々で現場に向かう。
着いたのは、二条城の先の車一台しか通れない住宅街(町家街?)。
この辺りはホステルとかゲストハウスもたくさんある。庶民的な“リアル京都”。
そこに小さく現れた、コンテンポラリーなスペース。
ここが、今回の目当ての場所「Magazinn Kyoto」だ。
いきなり入り口の引き戸に書いてあるメッセージは…
「京都で現代アートを買う」
ほほう。
こんな歴史の街なのに、あえての「現代」を買うのか。
歴史あってこその今、だからいいのかな、そのミックスマッチが。
小さな二階建の町家の引き戸を開けると、土間の奥には大きな現代アート。思わず目をみはる。
京都出身の20代女性の作品だそうだが、たまたま2月から4月はアートが特集テーマ。
そりゃそうだ「雑誌」の家なのだから、時々の特集があるのは当然か。
(特集はファニチャーとかサブカルチャーとか色々あるそうだ)
とは言え、雑誌は雑誌でもカルチャー雑誌だな。ここは。
だって、あちらこちらに“常設”アートがあるんだもの。
ここは、スペシャルな「コト体験ができる場所」
壁には様々なメッセージが。じっくり読むとまた、楽しい。
アートディレクターでここのオーナーである岩崎さん曰く、
「壁が誌面です」。
ここに大事な情報が詰まってるというのだ。
“Life is editorial”
生活は“自分で編集できる”、いや
生活は“自分で編集する”もんだぞ、とこのメッセージにぐっと背中を押され身が引き締まる。
上がりかまちにはアラジンの石油ストーブ、そして置かれたやかんからは湯気がしゅんしゅんと立っている。棚にはたくさんの本…そしてひっそりとした二階の畳の寝床。ここにあるものはまさにちょっと前の日本の日常だ。
その、日常の風景の中にアート作品が絶妙に溶け込んでいる。
まさに「住む」という普通の経験が、ここではアート体験への出だしの一歩。
アートに触れようという気張りも要らないから、「なんか変な体験」をまずは味わってみる。
オーナーであり、ナビゲーターの岩崎さん。
彼は20時までこの空間に居てくれます。訥々と彼はこのホテルに対する情熱を語ってくれた。彼と対話する時間が一番のクライマックスかも! 素敵な方でした。
人の生活や興味はこのところすこしずつ、即物的なことを離れ、観念的なことへ移っている気がする。マテリアルを忘れるわけじゃないけど、徐々にマテリアルからメンタルへ。
これがヒトの進化か?
そんな進化論をまさに肯定するような、とびきり目と頭の体操になる「コト体験ができる場所」。
それがMagazinn Kyotoだな。
静かな光とアートに囲まれていても、やってくるのはいつもの“ふつうな”朝。まー難しいことはさておき、まずは経験。
【追記】
とはいえ消費家クロシマ。物質的な消費ももちろんします。
“blind date with a book” 本とのブラインドデート。
マガザンキョウトで売っているモノの一つです。
袋に入っていて中身がわからない本たち。外に書いてあるキーワードでひらめいたモノを購入する、おみくじみたいな本の買い方。
もちろん購入。
「美しさを」を選んでみた。
中から出て来たのは、なんと三島由紀夫の「金閣寺」。
京都でキョウトを引いた! やっぱり何かつながってる気がした。
ちょうど読みたかったミシマだし。こういうのもドキドキして楽しい!
#もちろんテレビとかないからね
#歯ブラシとか寝巻きも持って行ってね
初出:しごとなでしこ
黒島美紀子 MKシンディケイツ代表
消費家・商業マーケティングコンサルタント
アパレル、セレクトショップ・百貨店を経て独立起業して早や10年余。
数々のお買い物の実践と失敗を繰り返し、ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察。
また、世界各地の商業スペースやブランドをチェック、
消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶ。