こんにちは、産業医の加藤杏奈です。毎日お仕事に忙しい「しごとなでしこ」のみなさんが、健やかに&しなやかに働けるよう健康相談室を開設しています。
今回のテーマは病気や症状に関連する検索ワードNo.1の「頭痛」。会社の健康相談室にも、痛み止めをもらいに来たり、休みたいと来られる方が年間通して多く、その大半は女性です。
頭痛は日常でよく経験する症状のひとつなので、「頭痛くらい市販薬で大丈夫、休めば大丈夫」と軽視されがちですが、放っておくと仕事や日常生活に支障が出るくらい悪化したり、命に関わる病気が背後に隠れていたりすることもあります。また、頭痛の種類によって治療法や予防法も異なるので、自己判断で対処するのはかえって逆効果のときもあります。
この頭痛は何なのか、その対処法、そして意外な頭痛の原因などを、3回シリーズでお届けします。
▶第2回:頭痛で一番多い「緊張型頭痛」と女性に多い「片頭痛」について
▶第3回:頭痛を引き起こしている意外なその他の原因
頭痛の種類は3つのカテゴリーに分かれるって知っていますか?
頭痛は大きく3つのカテゴリーに分けられます。「日常的に起こる頭痛」と「慢性頭痛」と「脳の病気に伴う危険な頭痛」です。
1 日常的に起こる頭痛
風邪や二日酔いなどに伴った、一時的な頭痛。原因が改善されれば自然に軽快します。
2 慢性頭痛
頭痛の80%がこの慢性頭痛。「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」があります。頭痛自体が治療の対象となります。
3 脳の病気に伴う危険な頭痛
くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、髄膜炎、高血圧性脳症、外傷後の頭蓋内血腫など。頭痛全体のうちの10%が、命に関わる危険な頭痛です。以下のチェックリストであてはまるものがあれば、これらを疑って早急に病院を受診する必要があります。
<危険な頭痛のサイン! チェックリスト>
・突然の「バットで殴られたような」「今まで経験したことがない」激痛
・痛みがだんだん増してくるとき
・50歳以降の初めての頭痛
・高齢者やお酒を大量に飲む人
・交通事故や、格闘技、ラグビーなど激しいスポーツなどでの頭の外傷後の痛み
・手足のしびれがある、呂律が回らない、物が二重に見えるとき
・物忘れが目立つ、歩き方がおかしいなど、周りから見ていつもと様子が違うとき
・発熱があり、首が硬直しているとき
頭痛全体の80%を占めるのは、慢性頭痛です
慢性頭痛には3種類あり、痛みの種類、部位、メカニズムも違えば、治療法や対処法も変わってきます。まずは、頭痛の種類について違いをまとめました。
<片頭痛>
片側または両側にズキンズキンと拍動性のある痛み。
起こると数時間~数日続く。
吐き気。光や音に敏感になる。
体を動かして、頭の位置を変えると、痛みが増す。
20~40代の女性に多い。
<緊張型頭痛>
頭全体がぎゅーっと締め付けられるような重い痛み。
1ヶ月に1、2度。多い人は週に1回と周期的。
午後から夕方にかけて目の疲れや倦怠感とともに現れる。
肩こり、めまい。
体を動かしても変わらない、あるいは少しやわらぐ。運動はむしろ痛み軽減にGOOD。
働く世代の男女。
<群発頭痛>
片側の目がえぐられるような激しい痛み。
1、2ヶ月間、毎日決まった時間に数時間起こる。発作期間が年に数回起きる。
頭痛がある側の目の充血、鼻水、涙が出る。
痛みが強くてそじっとしていられない。
男性に多い。
次回は、頭痛の中で特に多い「緊張型頭痛」と「片頭痛」について詳しくお話しいたします。
▶第2回:頭痛で一番多い「緊張型頭痛」と女性に多い「片頭痛」について
▶第3回:頭痛を引き起こしている意外なその他の原因
初出:しごとなでしこ
加藤杏奈 産業医・労働衛生コンサルタント
産業医科大学医学部医学科卒業。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。専門は産業医学、予防医学、メンタルヘルス。産業衛生専門医。現在、某化粧品メーカーの産業医として勤務している。