働くママなら一度は聞いたことがある病気、『RSウイルス』。1歳までに70%、2歳までには100%感染するといわれており、乳幼児の入院する原因のトップを占めるほど重大な感染症です。感染した親御さんからは、「まさか我が子が入院するとは思わなかった」という声が。『RSウイルス』の十分な知識を持ち、重症化を防ぎましょう。
RSウイルスって?
毎年流行する風邪の原因となる一般的なウイルスの一種が『RSウイルス』。9月頃から徐々に流行し、12月がピークとなり、その後春まで長期間流行します。
乳幼児が最も感染しやすいウイルスで、『RSウイルス』に感染した乳幼児の25〜40%が、下気道炎(気管支炎、肺炎、細気気管支炎)などになり、0.5〜2%が重症化し入院するという結果も。先進国では、乳幼児が入院する原因の第1位と言われており、日本では年間2〜3万人の入院がある病気です。
RSウイルスの症状って?
『RSウイルス』の感染経路は二つ。ひとつは、感染者の鼻汁や痰などに含まれるウイルスを吸い込んでしまう経路、もうひとつは、ウイルスが付着した皮膚や衣服、おもちゃなどに触れて眼や鼻の粘膜から感染する経路です。
健康な乳幼児に感染すると、感染から4〜5日後に38〜39度程度の発熱、鼻水、咳などの普通の風邪と同じ症状が出て、8〜15日くらいで治ります。
しかし、生後6ヶ月未満の乳児や、早産で生まれた赤ちゃん、慢性的な持病を持っている赤ちゃん、先天性疾患のある赤ちゃんなどが感染すると、症状が重症化しやすく、肺炎や細気管支炎などの呼吸器感染症や、無呼吸を引き起こしてしまい、最悪の場合は死にいたることもあります。健康な成人や幼児期以降の子どもが感染すると、軽い鼻かぜ程度の症状で治ることから、親や兄弟が感染していることに気づかずに、赤ちゃんが感染してしまったケースが多いのです。2011年からは、『RSウイルス』を判断する検査が1歳未満の子どもに対しては保険で適用されるようになりました。鼻汁や咳以外に、苦しそうだったり、呼吸が浅く感じられたりする症状がみられる場合重症化する恐れがありますので、小児科で検査することをおすすめします。
どうしたら予防できるの?
『RSウイルス』は一度感染しても、免疫ができにくいため、何度でも感染します。また、ワクチンも開発が難しく、今現在でワクチンは存在しません。効果的な治療薬もないため、『RSウイルス』に感染したら、症状を抑える対処療法が中心になります。できるだけ感染しないように対策をとることが重要です。
『RSウイルス』はとても感染力が強く、テーブルやドアノブ、手すりなどに付着してから4〜7時間は感染力を持っていると言われています。保育園へ通っている兄姉から家庭内での感染の可能性が高まることから、下記のような対策を積極的に行ってください。
★家族の外出後や調理・食事の前、鼻をかんだ後などは、手をよく洗ってください。手洗いは石鹸で30秒間、指先から指の間までしっかりと洗います。
★『RSウイルス』が流行する冬の間は、乳幼児を人混みに近づけない。
★家庭内に風邪をひいている人がいる場合は、乳幼児に近づけず、乳幼児が触れるものをアルコール綿などでこまめに消毒する。
★風邪をひいている家族はマスクを着用し、唾液や鼻汁が飛び散らないように気をつける。
★タバコを吸う人を近づけない。子どもがタバコの煙を吸わない環境にする。
これらの対策はインフルエンザなどの予防にもなりますので、これからの時期はぜひ徹底してみてくださいね。
いかがでしたか?
『RSウイルス』は『インフルエンザ』や『おたふく』『水ぼうそう』などと同じウイルス性の病気ですが、学校法で定められていないため、登園を禁止されることはありません。そのため、感染が拡大しやすくなっています。産後間も無く保育園へお子さんを預けているママはもちろん、これから出産を控えているママ、生まれたての赤ちゃんをもつママは、感染をできるだけふせぎ、重症化させないよう注意してください。
情報提供:abbvie
初出:しごとなでしこ