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WORK

2018.10.15

【セクハラ】を乗り越えてきたキャスター長野智子さんが読み解く「セクハラ×仕事」

なんと読者の82%が「セクハラを受けた経験あり」と回答。セクハラを乗り越えてきたキャスター長野智子さんが「セクハラ×仕事」を読み解きます。

セクハラはなぜ起こり、なぜ続いてきたのか? その背景と対処法とは? セクハラと切っても切れないキーワードを識者が読み解きます。セクハラを乗り越えてきたキャスター長野智子さんが語る「セクハラ×仕事」。

セクハラ×仕事

女性がキャリアを積むには、セクハラを受け入れるしかなかったの?

答えてくれた人|キャスター 長野智子さん

キャスター 長野智子さん

上智大学外国語学部を経て、フジテレビに入社。1990年からフリー。『サンデーステーション』(テレビ朝日系)のメインキャスターのほか、ニュースサイト「ハフポスト」日本版編集主幹も務める。

「セクハラが社会問題になったのは女性が働くことがあたりまえになったから。少しずつ時代は動いています」

私がアナウンサーになったのは男女雇用機会均等法が成立した1985年。新卒で入社したフジテレビでは、それまで契約社員だった女性アナウンサーを、初めて正社員として採用しました。とはいえ女性が働く環境が整っているとはいえず、泊まり勤務も徹夜もしました。過去の女性たちが勝ち取ってくれた権利をムダにしないよう、女性も男性と同じように働けることを示すのに必死だったんです。私たち女性も男性並みに仕事をすることが正しいと思っていました。

もちろん、セクハラもありました。胸が小さい大きいなど、身体的なことを言われたり、「おはよう」と言いながら二の腕を触られるのは日常茶飯事。私も本番中に共演者の男性からお尻を触られたり、後ろから胸を摑まれたりしたこともあります。だけど、当時は「ふざけないでくださいよ」と笑ってやりすごすのが精いっぱい。いちいち不快だと報告すれば、「女はめんどうくさい」と言われ、仕事を外されるなどの影響があるかもしれない、と忘れるようにしていました。

#MeToo

そんな環境も「#MeToo」のムーブメントをきっかけに変わりつつあります。ハリウッドから始まったものですが、SNSの普及で日本にも広がり、「言っていいんだ」「我慢しなくていいんだ」という空気が生まれました。

そんな中、民法キー局の女性記者と財務省事務次官のセクハラ騒動が起こります。それまではセクハラ関連の訴訟があっても大きなニュースになることはなかったのですが、報道現場で起きたことでマスコミが大きく取り上げ、社会問題となりました。

これは、女性が働くのがあたりまえになったからこそ起きたことだともいえます。セクハラされたことを発言するのもままならなかった30年前と比べると進歩したなと思います。それでもまだまだ、女性が働きながらセクハラと対峙していくのは難しい部分があります。

いちばん大切なのはひとりで抱え込まないこと。間違ってもセクハラしてくる男性と直接対決をしてはいけません。「そんなつもりじゃなかった」と言い訳して逃げられるかもしれないし、報復されて仕事がしにくくなる可能性も。社内、それが無理なら社外の信頼できる人に相談して、客観的な対処をしてもらうことが第一です。

この30年で状況が変わったように、声を上げ続ければ、少しずつ、社会は変わっていくはずです。女性が長く気持ちよく働くためには、できるところからきちんと対抗していくことが大事だと思います。

セクハラ×女性の雇用年表

1970年代 アメリカで「セクシュアル・ハラスメント」という言葉がつくられる
1986 日本で男女雇用機会均等法施行
1989 日本で初めて、セクハラ裁判が注目される
1997 改正男女雇用機会均等法にセクハラ関連の規定が盛り込まれる

2017 ハリウッドから#MeTooムーブメントが広がる
2018 日本で財務省事務次官セクハラ騒動

日本でセクハラが社会問題と認識されたのは1989年。1997年の改正男女雇用機会均等法では、セクハラ防止のための事業主の配慮義務が規定された。「昨年、#MeToo運動が広がり、日本でもセクハラに対する意識が高まりました」

Oggi9月号「セクハラって結局何?」より
画像/Shutterstock 取材・文/井上佐保子(田中さん分) 構成/酒井亜希子・佐々木 恵・赤木さと子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部

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