「秋の七草」があることを知っていますか?
写真は「桔梗」。
春の七草は「七草がゆ」を食べてお正月料理で疲れた胃を癒し、一年の無病息災を願う習慣として知られています。でも。秋にも七草があることをご存知でしょうか?
由来は、万葉集に収められている和歌
写真は「萩の花」。
秋の七草の由来は、日本最古の和歌集「万葉集」に収められている山上憶良(やまのうえおくら)の和歌から来ています。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」」
「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」
の2首で1組となる歌で、最初の歌は「秋の野に咲いている花を指折り数えてみれば7種類の花がある」、2番目の歌は「萩の花、尾花、葛(くず)の花、撫子(なでしこ)の花、女郎花(おみなえし)、また藤袴(ふじばかま)、朝貌(あさがお)の花である」と歌っています。「尾花」はススキ、「朝貌」は桔梗(ききょう)のことを指しているとされています。
秋の七草は「観賞」し、目から感受する養生
写真は「藤袴(ふじばかま)」。
秋の七草のうちいくつかは、漢方薬でも生薬として使用されているものが含まれますが、秋の七草は観賞するもの。
秋は合唱コンクールや運動会、発表会など何かの集大成を披露するタイミング。植物がそうであるように、漢方でも、春に芽吹き、夏に育ったものを秋に収穫するといった考え方があります。芸術の集大成や植物の実りや花の盛りを、五感で感受することは秋の養生にも繋がります。様々な「気」をもらうことが、心だけでなく体も元気にしてくれますよ。
植物観賞、芸術観賞、もちろん実りの秋も、目一杯楽しんで元気な秋を過ごしましょう♪
大木さと子
国際中医薬膳師・漢方アドバイザー。日本中医学院(旧・国立北京中医薬学大学日本校)卒。普段はメーカー勤務、よく食べよく飲むOL。ふだんメシをアップするinstagramにて、薬膳の情報も発信中。