エディター・岡村佳代が出会った、あんな人やこんな人…
先日、パリで開催されたハイブランドのイベントを取材してきました。大勢のゲストが集うグローバルな催しでしたが、その大舞台に司会的な感じで登壇したのが淑子さま。彼女はトライリンガルなので抜擢されたのだと思うけれど、彼女を知るわれわれからは「大丈夫なのか!?」と心配の声が噴出。そう、やんごとないお育ちのためか、グイグイ前へ出るタイプではなく、ささやくような蚊が鳴くボイス。これは荷が重いのではないだろうか?

▲淑子さま(仮名)年齢不詳/外資系ハイブランドの偉い人
Oggi世代も憧れるハイブランドで、かなり上の役職につくキャリア女性。噂では華族の末裔というやんごとなきお育ちで、言葉もしぐさもおしとやか。一度もカラーをしたことがないという、艶やかな黒髪が印象的。
人間観察File.18|引き寄せの神・ケニー
まるで子供の学芸会を見守るように彼女の第一声を待っていると…。「ボンジュー!」 それはもう、聞いたことのないハリのあるしっかりとした声。フランス語なので何を言っているのかわからないけれど、満面の笑みで抑揚を利かせ、ときには「ため」をつくって視線を遠くへやったりと、それはまるで俳優の受賞スピーチ。長く生きてきましたけれど、まるでチャンネルをかえるように、こんなに鮮やかに人格を切り替える人を初めて見て、少しだけ怖かった私。いや、でもあれだけの人を前に、本当に立派にやりきった! 大和撫子の仕事魂を見ました。
聞けば淑子さま、学生時代は劇団に所属し俳優を志していたことがあるとか。
「舞台に上がるとつい何かを演じなくてはいけないと思ってしまうのよ」と微笑む淑子さま。この日演じていたのはなんだったのか? 以来、彼女はオフィスがある場所から「半蔵門のブルーリボン賞」と呼ばれています。
2025年Oggi6月号「クセあり人間観察ファイル」より
文/岡村佳代 イラスト/平松昭子
再構成/Oggi.jp編集部
おかむら・かよ
おエディターでもあり、文筆家でもあり、ウォッチジャーナリスト。豊かな人脈を生かして、クセあり人間採集というミッションに取り組む。
Oggi編集部
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