EXIT・兼近大樹 オレって、やっぱりこじれてますか?
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お笑い芸人・EXITの兼近大樹さんが毎号「オレの普通の日常」を綴るOggiの人気連載「オレって、こじれてますか?」。
今回は、「じっくり話したい」という兼近さんの希望でラランド・サーヤさんとの対談が実現! 仕事、人づきあいなど、「真逆なふたり」のスタンスが浮き彫りに!? 友撮りしながらのにぎやかトークをどうぞ。
対談のお相手
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【サーヤ】
1995年生まれ、東京都出身。2014年、上智大学のお笑いサークルでニシダと漫才コンビを組む。M-1グランプリ2019、2020にてアマチュアながら2年連続で準決勝に進出。会社員のかたわら芸能活動を続け、2021年に個人事務所を設立し社長に就任。2022年からは、川谷絵音らとバンド『礼賛』としてライブ活動も行う。ラランド公式YouTube「ララチューン」はチャンネル登録者数100万人超え。
ラランド・サーヤさんと語る!〝真逆なふたり〟の特別対談
サーヤさん(以下敬称略):ちょ、ちょっと! スペシャル版のゲスト、私でいいんですか?
兼近さん(以下敬称略):じっくり話したことなかったし、ずっと気になってて。そもそも、なんで芸人になったの?
サーヤ:『ダウンタウンのごっつええ感じ』が好きで、中学のときから芸人になるって決めてました。中2の文化祭で漫才やって、大学でお笑いサークル入って、そこでニシダと組んだのが、2014年。
兼近:オレが芸人になった年だ!
サーヤ:大枠でいったら同期!
兼近:オレはこれしかできないから芸人になったけど、サーヤは子役もやってたし、なんでもできるでしょう。
サーヤ:やりたいことが全部やれる職業だからかな、芸人って。芸ごと全般やる人=芸人って思ってたから。
兼近:そうか。でも、芸人が芸以外のことするのは…みたいに言われた時期もあったよね。
サーヤ:最初のころは、そうでした。私は会社員との「二足のわらじ」って言われてたし。でもコロナ禍になって、いろんな働き方の形があっていいじゃん、みたいな空気になって。テレビに出始めたのがそのころで、ちょうどタイミングがよかったんです。
兼近:そのころオレらは「お笑い第7世代」と呼ばれて。
サーヤ:私たちは、それを踏み台にして「7・5世代」と呼ばれたり、その後「大学お笑い」で集められたり。そうやって雑に括られるのが本当にイヤで、よくブチ切れてました。
兼近:オレらは、そもそも何もできないんだし、どうせなら「第7世代」を利用して出てってやろうって、相方のりんたろー。さんが言い出したの。バラエティ番組をもって、歌も出して、キャーキャー言われて。
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サーヤ:あの勢いはすごかったですね。ガチアイドルだったもん、EXIT。
兼近:それまでキモいって言われてたのに、急にイケメン扱いされて、表舞台に出るようになって。こっちがびっくりだよ。りんたろー。さんは、歌や演技をやりたかったみたいだけど、オレは…。大人たちの戦略の中で決まっていったことが多かったかな、あのころは。
サーヤ:そのビジュで生まれてしまったから仕方ない。あれでファンになった人が何人いると思ってるんですか!
兼近:その後、やっぱり違うぞと気づいて、去っていった人たちも何人いたか…。
* * *
兼近:じゃあ、サーヤはここまで戦略どおり?
サーヤ:戦略なんて、ないですないです。芸能事務所に所属せずフリーでやってたのは、当時会社員だったので動ける時間に制限があったから。そして吉本は、NSC(吉本総合芸能学院)の入学金が高くて入れなくて。ただ、会社員をやっていたことで、人脈が築けたし、仕事やお金の流れがわかったことは、今に役立ってると思います。
兼近:そういうこと、オレはいまだに知らないからな。自分のギャラが高いのか安いのかもわからないし。
サーヤ:あとは、引き寄せの法則ですよ。言霊の力は強いから、やりたいことを言葉にしたら叶います。
兼近:出た! 激スピ! オレは神頼みはしないし、占いも信じない。オレはオレでやるって口にしたら、うまくいったもん。
サーヤ:スピリチュアルは、メンタルケアなんですよ。自分が納得する状態にもっていくために、ついでに神に祈るわけで、つまりそれくらい努力しているということ。M‒1で勝ち進んだときは九頭龍神社の写真を待ち受けにしてたし、あとはよくパロサントを焚いたり。兼近さんは、ルーティンもないんですか?
兼近:ミスったとき、風呂の中で叫ぶ。「あ〜やっちゃったー! くっそー」って。で、それを忘れないようにする。
サーヤ:それも、スピですよ。私はイヤなことがあったら、何がイヤなのか、何に悩んでるのか、メモ帳に書き出します。書いてみたら、意外とこんなもんか、ってなるものですよ。やりたいこと、考えてることも、手書きでぐちゃぐちゃっと書いて、よく見返します。兼近さんも、やりたいことありますよね?
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兼近:うーん。ライブだけは自分たちで考えるけど、それ以外、やりたいことがわからないの。会社からきた話はいったん聞いて、自分にしかできないことか、求められてるかどうか、考えて判断してるけどね。あとはほぼ直感で。でも、直感で判断したことを忘れちゃったりするから、あとからりんたろー。さんに「これ、大丈夫?」って言われたりもする。
サーヤ:私も、直感で決めることが多いです。企画書を見ただけで、「なんとなくコケそう」とか、わかるんですよね。最近では、企画書のフォントだけでも、「ちょっと違う」ってわかる。愛がある企画書は、フォントでわかります。
* * *
兼近:サーヤは今、社長でもあるわけでしょ。いろんな人の人生を背負うって、オレなら考えられない。気合い入ってるなぁって思ってたよ。年下の人たちの考えてることも最近はわからないし、どう接していいかも困ってしまう。
サーヤ:マネージャーやYouTubeチームは、学生のときからの仲間で、感覚は最初から合っていたし、年々通じ合うようになっているので、やりやすいんです。ただ、年下の人たちには、私もめっちゃ気を使ってます。私、ニシダ以外には、厳しく言えないんですよ。あいつは何言っても刺さらないから。
兼近:オレも、年下のスタッフには余計なことは話さないし、プライベートな質問もしない。だって、今どき何やってもハラスメントになっちゃうから。
サーヤ:仕事で注意したいことがあれば、優しくLINEで伝えるけど、響いてないなぁと思ったら、飲みに誘って、その流れで仕事の話をして、遠回しに言う。
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兼近:やっぱり、飲みなんだね。オレも20代前半まで、毎日のように飲んでたのよ。ボケも仕込んで、囚人みたいなボーダーのインナー着て、脱いだら裸にボーダー描いてた、みたいなことやって。
サーヤ:飲めないのかと思ってました。飲み会を牛耳ってたんですね!
兼近:いや、ウケなかったし、女性からはまったく対象外だった。
サーヤ:飲み会はいいけど、男女のわちゃわちゃや揉めごとがあると、最近は面倒くさくなっちゃって。恋愛とか、結婚とか、私はいいです。
兼近:サーヤの男性の好み、わかるよ。ミュージシャンとか、アーティストとか、自分軸で生きてる人、好きでしょ。
サーヤ:好き♡ センスで生きてますという人。それから、BEAMSみたいな顔の人(笑)。おしゃれで髭はやしてます、っていうタイプが好きなの。
兼近:年下は? 合いそうだけど。
サーヤ:よく言われるけど、私には支える力もないし、自信ないです。男の子を見て、「かわいい」ってこういう感じか、というのは最近少しわかってきましたけど。
兼近:恋愛中心の生き方のほうがどうかと思うから、それでいいんじゃない? オレもみんなの恋愛話には入っていけないもん…。
サーヤ:兼近さんみたいな人はいいけれど、飲みニケーションできるほうが、やっぱり仕事にも有利なことが多いんですよ。芸人でいえば、ネタを書かないほうが酒で外交してくれたら助かるんだけど、うちのニシダはまったく飲めない。それで、結局私が出ていくことになって、先輩芸人には積極的についていってました。よく番組で一緒になる吉本の芸人さんたちに連れ回してもらった時期もあったし、誕生会にも行ってたし。兼近さんは、芸能人の誕生会とか行ったりします?
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兼近:断ることが多いかな。唯一参加したのは、相方・りんたろー。さんの誕生会くらい。そこにモデルの人とかいるともう緊張しちゃうし、暗めのバーだったりしたら、さらに緊張する。
サーヤ:バーがダメなの?
兼近:暗いところがイヤなの。
サーヤ:ははは。
兼近:それに、行ったこともないところに「兼近が来てた」とか、やってもないのに「あんなことやってた」と、変なウワサを流されるのがイヤで。
サーヤ:あるある。でも、私の場合、伝わってくるウワサはほぼ事実だから…。飲み歩いてたとか、口開けて寝てた、とか。
兼近:なんだよ、本当なのかよ! 酒飲んでて、それでも売れてる芸人って、すごいと思うよ。実際は、家にこもってネタ書いてる人のほうが多い気がする。
サーヤ:私の場合は、飲まないと一日が締まらない気がして。でも、チャラい飲み会が続くと、何やってんだろうって思ってきちゃう。先日も、大きな誕生会があって、俳優やタレント、モデルたちがいっぱいいる中に、芸人同士で行ったもんだから、めっちゃ恥ずかしくなって。主役が酔う前に挨拶だけして、誕生日プレゼント渡して、すぐ出てきました。
兼近:ヒット&アウェー方式ね。オレもそれ使わせてもらおう。
サーヤ:2026年に事務所設立5周年を迎えるので、それに向けてパーティの企画を考えてるんですけど。30代でまずやりたいことといったら、それかな。
兼近:いつもはパーティ行かないけど、面白そうだから、顔出していい?
サーヤ:もちろん! 本当に呼びますよ。いちばんチャラいゾーンに入れて、DJでもやってもらおうかな。
兼近:本物のチャラ男たちの中には入っていけないので、それは…(汗)。あと、DJはできないので、松永っていうDJを連れていきます。
サーヤ・兼近:(笑)
[衣装・サーヤさん分]/ジャケット¥39,600・レースグローブ付きトップス¥12,100・ハーフパンツ¥23,100(neith.tokyo〈neith.〉) シャツ¥11,000(ソークッキー) 〝ジャストアヌーン〟のショーツ¥5,280・〝ブロンディ〟のスラックス¥5,940(アンティローザ) イヤリング・ネクタイ/スタイリスト私物
2025年Oggi3月号「EXIT・兼近大樹 オレって、やっぱりこじれてますか?」より
撮影/兼近大樹(EXIT)、サーヤ(ラランド)、Oggi編集部 スタイリスト/呉屋千紗季(サーヤさん分) ヘア&メイク/五十嵐将寿(兼近さん分) 構成/南 ゆかり
再構成/Oggi.jp編集部