もっと「働く」がラクになる! 適職を見つけるヒント
あなたは今、自分の仕事が〝フィットしてる〟と言えますか? もしそうじゃないなら、選んだ仕事と場所がマッチしていない可能性も…。まずはここで紹介しているワークを試してみて!
教えていただいたのは…
【マイナビエージェント キャリアアドバイザー・十七久実さん】
とな・くみ/’15年に大学卒業後、旅行会社に新卒入社。法人営業を6年間担当した後、’21年より現職。自らの転職経験を活かし、20代後半~30代前半の女性の転職支援を得意とする。
【『CAREER FIT 仕事のモヤモヤが晴れる適職の思考法』著者 石倉秀明さん】
いしくら・ひであき/大学中退後、リクルートHRマーケティングに入社。その後リブセンス、DeNA、キャスターを経て、山田進太郎D&I財団COOに就任。著書に『THE FORMAT』(サンマーク出版)など。
適職は「強み」×「場所」の掛け合わせで見つかる
読者から寄せられる「このままでいいのかな」といったキャリアにまつわる漠然とした悩み。〝適職〟探しのプロに話をうかがうと…。
「悩みが漠然としているのは、〝キャリア〟という言葉が何を指すのか、イメージできていないから。働くからには、〝収入や職位を上昇させていくこと〟=キャリア〝アップ〟を目指さなければと思い込んでいる人も多く、キャリアの歩み方が画一的にイメージされている気がします。
でも、どんなキャリアを歩むか、何をもってキャリア〝アップ〟〝ダウン〟とするのかは人それぞれ。バリバリ出世していくのが向いている人はいいとしても、必ずしも出世を望まない人にとっては、そうした世の中のイメージに引きずられ、上を目指すのは苦しいものです。
まずはキャリアアップの固定観念を取り払い、自分に適した場所やポジションで働くこと、つまり、キャリアを〝アップ〟ではなく〝フィット〟させることが重要だと考えます」(石倉さん)
「特に女性は、結婚や出産などライフステージの変化によって、働き方や人生の優先順位も変わるもの。何を重視して働くのか、自分自身と向き合うことが大切です」(十七さん)
「もうひとつ重要なのは、『強み』と『場所』の掛け合わせでキャリアを考えること。たとえば事務職の人が『新しいスキルを身につけたい』とプログラミングスクールに通ったとしても、それを活かす場所がなければ意味がありません。
逆に、営業職がたくさんいる会社では営業成績がふつうくらいでも、あまり営業が得意な人がいない会社に転職したらトップセールスになることも。強みは環境によって変わるからこそ、それを活かす場所を探すことが大切になってくるのです。
ちなみに、強みは必ずしも〝やりたいこと〟〝好きなこと〟でなくても大丈夫。仕事で自己実現をするのはもちろん素敵なことですが、〝好きなことが不向き〟な場合は悲劇ですよね。
『やりたいことが見つからない』と焦り、やたらと資格を取ったり、転職を繰り返したりするよりは、自分の〝できること〟〝得意なこと〟で結果を出せる場所を見つけるほうが幸せではないですか? それが僕が考えるキャリアフィットの基本です」(石倉さん)
「そうはいっても、自分の強みはひとりではなかなか気づけないもの。転職エージェントなどプロの手を借りたり、下のワークを実践したりして、自分自身の解像度を上げる助けにしてください」(十七さん)
あなたの仕事をキャリアフィットさせるための“5ステップ”
ステップ1:自分にとって「キャリアアップ」とは何か細分化して考える
「キャリアという言葉の意味はもちろん、それがアップするとはどういうことか、キャリアアップするのがイヤなら、それはなぜか詳しく考えてみて。
自分に自信がないのか、人の面倒を見るのがイヤなのか、収入が大幅に上がるならやってもいいのか…。キャリア観が曖昧なままでは、何をしても、いつまでたっても悩みは解消されません」(石倉さん)
「何にもやもやしているかすらわからないという人は、〝やりがいを感じる瞬間〟〝感じない瞬間〟など自分のプラスとマイナスの感情を書き出してみるのがおすすめ」(十七さん)
ちなみにOggiの読者が抱く“キャリアアップのイメージ”は…
ステップ2:自分がどんなふうに働きたいのか具体的にイメージする
「自分が求める働き方や条件を、ライフプランも含め詳しくイメージしましょう。どんな業種のどんな規模の会社で、どのくらいお給料をもらってどう働きたいのか、趣味や家族との時間を優先したいのか。ライフステージごとに見直しを」(十七さん)
「STEP4の『場所探し』にもつながってきますが、『何かを得るためには、何かをあきらめねば』と、二者択一で考える必要はありません。
『子育てを優先するならキャリアをあきらめなければ』ではなく、育児しながらキャリアを積める会社もあるはず。両方を叶えられる場所を探すつもりで、思うままに挙げてみて」(石倉さん)
たとえば…
ステップ3:自分の「強み」を知る
「強みは『スキル=経験から身についたこと』『能力=経験をスキルに変える力』『特性=性質・個性』の3要素から構成されます。たとえば3年連続で営業成績トップの人は、コミュ力(特性)と、相手が喜ぶことを企画する力(能力)があってこそ高い営業力(スキル)が身についている、など。
自分の強みの傾向を細かく分解できたら、3要素それぞれの強みを活かして、広報や企画など、営業職以外の業種にも挑戦できそう。適職はひとつだけではなく、組み合わせやスキルの積み重ねで増えていくと考えて」(石倉さん)
見本をもとに、自分の強みを整理してみよう
自分の強みは他人からの評価も判断材料にすることが大切。縦軸、横軸それぞれに、自分or他人から見た得意/不得意なことを書き出そう。
ステップ4:「強み」を活かせる「場所」を探す
「自分の強みは場所によって左右されます。たとえば事務作業が得意な人が飛び込み営業を命じられても、力は発揮できません。自分の能力を最大限生かせる場所はどこか考えてみて。
また、自分に合った場所を引き寄せるには自らアピールすることも大切。ふだんから自分の強みを発信しておけば、異動や新プロジェクトへの抜擢など、思わぬチャンスが訪れるかも。この方法は組織の中の人だけではなく、フリーランスの人でも有効です」(石倉さん)
次の質問の答えを書き出そう
これまで自分が経験した「場所」を振り返りながら、どんな場所なら自分の強みを生かせるか考えてみよう。
ステップ5:自己分析をもとに、今の会社に「ステイ」or「異動」or「転職するか」考える
「キャリアフィットは転職に限らず、今の環境で叶えられる場合も。自分が今何をできるか整理してみて」(石倉さん)
「適職は経験や価値観で変わっていくもの。声をかけられたら自分には不向きだからとはねつけず、『せっかくだからやってみよう』とトライすれば、適職に巡り合うチャンスも増えると思います」(十七さん)
2024年Oggi11月号「『キャリアフィット』という考え方」より
イラスト/大内郁美 構成/佐々木 恵・酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部