働く私たちはどう増やすか?
新NISAがスタートした今こそ投資の始めどき。「何をどう運用したらいいのかわからない」という初心者も「とりあえず始めてみたはいいけれど…」という人も必読! 友達とは話せないところまで、深掘りしました。
Oggi読者に聞きました! 新NISAが始まった今、あなたは投資していますか?
投資で得た利益が課税されない、NISAの制度が始まって10年。元本が保証されていない金融商品に投資する読者はジワジワと増え続け、ついに全体の2/3近くに!
今年1月からは新NISAとして制度が恒久化。非課税保有限度額が拡大されるなど、さらに自由な投資が可能になった今、毎日忙しいOggi世代は、どんな投資をしているの…!?
「目指すライフスタイル」×「投資」の中身、詳しく教えてください!
ひと足先に投資を始めている女性たちは、何に、いくら、投じているの?
◆一橋 汐さん(33歳・コンサルティング会社)の場合
「老後2億円問題」に備えて投資。3世代ハワイ旅&世界クルーズもしたい♡
新卒で入社した会社で、3年前から管理職に。夫とは2年半前に結婚。貯蓄・投資はそれぞれ自分名義の口座で。Oggi GOLF部メンバー。
▲ディズニーの花火が見える都内マンションを1年前に購入
【一橋さんの投資DATA】
●夫とふたり暮らし
●投資歴…7年
●利用証券会社…大手総合証券会社
資産形成は投資がベース。米国株を中心に
「本格的に投資を始めたのは26歳のころ。当時はアベノミクスで株価が右肩上がり。コンサルティングを担当している顧客の資産がどんどん増えていくのに、自分の預金はそのままなのが悔しくなって(笑)。
手始めに、勤務先の企業型確定拠出年金(401k)の運用内容を、定期預金から投資信託に変更。また、祖父から生前贈与された約100万円を元手に、大好きな東京ディズニーリゾート(オリエンタルランド)の株も購入。
株価が一度ガクッと下がりましたが、祖父から毎年、株主優待のパスポートをプレゼントしてもらっている感覚で持ち続けていたら、大幅に回復しました。それ以降は、成長性の高い米国株を中心に。
数年前、〝老後2,000万円問題〟が話題になりましたが、インフレや将来的な子供の教育費なども考えると、夫婦で2億円は貯めておいたほうがいいんじゃないかな、って。
余裕があれば、両親と3世代ハワイ旅や世界クルーズにも行きたい! 気長に続けていきたいです」
【現在の運用状況】約7年で+48%の含み益、資産1000万円超え!
投資信託も株も米国企業の株式中心。「リーマンショックなどがあっても、30~40年単位で見れば、ずっと上がり続けているのが米国株。知名度のある大企業の株を中心に選んでいます。
勤務先の持株会は入社当初から、運用というより積み立て感覚で。仮想通貨はお試しで10万円分買いましたが、あっという間に半分の価値に。いつか化けるかも、と期待しつつ、今はそっと寝かせています」
▲株主優待も満喫
一橋さんの“投資のルール”
●買ったらじっくり保有
●下がってもあわてない
●株はだれもが知っていて利益が出ている大企業のみ
Q 値動きはどれくらいの頻度でチェックしてる?
A 毎日!
「仕事柄…もありますが、通勤中や仕事の合間などにこまめに見ています。特に売る予定はなく、見ているだけですが、なんだか気になって。
最近、ある銘柄の株価がひと晩で20%も値下がってそれなりにショックでしたが、焦りはしません。
相場は下がらなければ上がらないと言われているので、しだいに上がっていくと期待しています」
Q 投資以外のお金の〝かけどころ〟は?
A 旅行、ゴルフ、美容!
「月1ペースで夫婦で旅行へ。先日は宮古島でゴルフも楽しんで、ふたりで30万円強の出費。
月5万円程度の美容代や、朝の時短になるアートメイク、昨年受けた80万円のレーシック手術も、私にとっては投資。
ネイルや毎月のエステハイフも欠かせません。投資で含み益が出ているという気持ちの余裕が、日常を豊かに暮らす安心感にも」
▲旅行の価格相場も頻繁にチェック!
Q どこで情報収集してるの?
A 日経新聞電子版とアプリInvesting.com
「報道や金融機関が発信する、信頼度の高い情報だけを収集するのがポリシー。日経新聞のXなどから飛んでいったりもします。
見出しを読むだけでも世の中の動きを追えるので。Investing.comは投資に関する情報がこれひとつで網羅でき、夜中でも1秒単位で株価が更新される優秀アプリ。
時間外取引の様子もわかるので、値動きが予想しやすいんです」
▲通勤しながらスマホでチェック
Q どんなタイミングで買ってるの?
A 1年に1回程度、預金がまとまった金額になったら
「デイトレーダーのようにタイミングを見計って、安く買って高く売るなんて私には無理!
預金が100万円程度まとまったら、〝倒産しにくそうで、今後も成長を期待できる大企業〟に、ただただ静かに投資することにしています。
長期でじっくり保有するスタンスで、これまでに売却したことはありません。ディズニー関連株も一生持ち続ける予定♡」
投資のプロが指南! 働く私たちが賢く投資に向き合うには
教えてくださったのは…
【楽天証券 ファンドアナリスト 篠田尚子さん】
しのだ・しょうこ/ロイター・ジャパン(現LSEG)傘下の投信評価機関などを経て、2013年楽天証券経済研究所へ。昨年8月より現職。4月に新刊『新NISA完全ガイド FP&投資信託のプロが教える』(SBクリエイティブ)を刊行。
◆どれだけお金・時間・手間をかけるか、目指す生活から逆算!
NISAやiDeCo拡充もあり、投資の機運は急上昇中。楽天証券では口座数が5年で約3倍にもなりました。国民全体の生活レベルが上がり、老後を社会保障だけで賄うのはもはや不可能。
結婚や子供などについての価値観も多様化し、公的保障+自分の人生には具体的にいくら必要なのか、投資も含めて考える人が増えたんです。新NISAは従来より自由度が増し、自分の意思決定が必要な局面も多いです。
語学学習と一緒で、目指すレベルによって、かける時間も手間も大違い! 〝義務〟ではなく〝権利〟として、投資でどのように人生を豊かにするか、考えてみてください。
◆〝優雅な老後〟に備えてしっかり増やしたいなら…
共働き夫婦が老後資金2億円を貯めるのは、決して非現実的ではありません。ただし、投資だけで備えようとするのは無謀。特にOggi世代は長期にわたって稼ぐ力をつけ、投資の元手を増やすために、リスキリングなど自分への投資も惜しまないでください。
ちなみに近年は海外投資で大きな投資利益を得ている人も多いですが、その大部分は円安効果によるもの。長期的にならすと、世界の株式は年率8%ぐらいの利回りを想定しておくのが健全です。
《一橋さんへのひとことアドバイス》
米国株中心で、これまでの含み益は為替の影響が大。今後も同じペースで円安が進むことはさすがに考えにくく、利益の出方はゆるやかになる可能性も。
とはいえ大きなリターンを狙える米国株は、利益が非課税になるNISAを使ったほうがお得。
子供の海外留学を検討するなら1,000万単位の資金が必要です。株主優待は条件の変更にご注意を。
●掲載している情報は2024年3月の取材時点のものです。また、あくまでも個人の投資実績です。投資はご自身の判断と責任で行ってください。
2024年Oggi6月号「働く私たちはどう増やすか?」より
イラスト/小川悟史 文/森本恵子 構成/酒井亜希子・佐々木 恵(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部