【働く女性のキャリア事情】エネルギー関連会社営業・畑山由喜さん
“世界を相手にした業界”が軸
「国内では鉄鋼メーカーで3〜4年、海運会社で3年ほど従事し、その後シンガポールの海運会社で2年ほど働きました。2023年の10月に帰国し、現在はエネルギー関連の会社の営業部署にいます。いずれも営業職で、国内外を問わず出張が多いです」(畑山さん)
──転職の軸となっているものはありますか?
「貿易系の会社が多いですね。日本はエネルギーを国外からの輸出に頼っているのが現状なので、流通や貿易など、世界規模でものを動かす仕事をしたいというのが軸になっています。文系卒の自分にできることを考えたとき、商品を知るのに営業が一番適していると思い、営業やオペレーション職を選んでいます」(畑山さん)
一念発起してシンガポールへ
──海外で働いてみたいという気持ちはありましたか?
「海外の顧客を担当し、仕事で英語を日常的に使っていたので、いつか海外を拠点に働きたいなと思っていました。30歳を目前にし『今しかない! 』と会社を辞めて海外で働くことを決意。貿易のハブであり世界中の優秀な人材が集まるシンガポールの会社からオファーを受けたということもあり、シンガポール行きを決めました」(畑山さん)
──シンガポールを選んだ理由は?
「シンガポールは国際ビジネスのハブであるということが大きいです。海運系の会社も結構あるので、これまでの自分の経験を生かせると思いました。また在住している日本人が多く、日本人のコミュニティなども比較的充実している点も決め手の一つです。アメリカも検討したのですが、広大な敷地の国に一人移り住み、たとえば毎日車で通勤することが想像できませんでした。コロナ禍だったのでビザの条件なども厳しく、断念しました」(畑山さん)
──シンガポールの会社に入社するプロセスについて教えてください
「オファーいただいた会社の中から会社の事業成長性や社風、オフィスの場所や給与面などを比較して数件応募し、オンライン面接だったので同僚との相性も含めて判断しました」(畑山さん)
──シンガポールで働く上で大変だったことは?
「入社した会社では、私が初めての日本人従業員でした。これまで自分は発言したり、考えを表現したりする方だと思っていましたが、同僚に『とてもシャイだね。もっと自分を表現しなくちゃ! 』と言われてびっくり。最初の頃はやる気がないと周りに捉えられていたようで、文化というか、価値観の違いにつまづきました。業務の前に、まずは人間関係の構築が難しかったです」(畑山さん)
──そんな状況をどのように打破しましたか?
「最初は悲しさと悔しさがありました。しかし次の日からはもう切り替えて、円滑にコミュニケーションを取れるように表現の仕方を変えていくしかない! と思い直しました。自分が変われば、周りの評価も変わると思ったので。意識したのは、抽象的でなく数字を具体的に組み込んだり、何かを聞かれたら悩まずクイックに即答、かつ理由を説明したり。曖昧な表現や返答をしないことを意識しているうちに、しっかりと自分の意思を主張できるようになったと思います」(畑山さん)
──シンガポールでどんな暮らしをしていましたか?
「一日一人は初めましての人に会うことを目標に、さまざまなコミュニティに参加していました。誰一人として知らない環境の中にいたので、自分から動かないと引きこもりになってただただ時間が過ぎてしまうなと思って。シンガポール自体には日本人が多いのですが、英語にどんどん慣れるため、そして新しい刺激を見つけるため、あえてなるべく会わないようにしました」(畑山さん)
──どんなコミュニティに参加していましたか?
「F1を観戦したり、フットサルチームに参加したり、中華系の先生のピラティス教室に参加したり、思いつくことを片っ端からやっていました! 特に、F1にはすごくハマりました。 F1はシーズンになると月に2〜3回レースが開催されるので、スポーツバーでその場にいる人と盛り上がったことも。シンガポールGPを現地で観戦できたのも楽しい思い出です」(畑山さん)
──もともとアクティブなタイプですか?
「そもそも趣味といえるものがないのですが、チャレンジ精神はありますね。まず挑戦してみて、人脈を広げたり。趣味探しをずっとしている感じです」(畑山さん)
「高校生のときに祖父の影響で始めたゴルフ。シンガポールでもゴルフコンペに参加しました! 」(畑山さん)
──帰国のタイミングは?
「現在勤めている会社はまさしく次に挑戦したい分野でした。2年ほどシンガポールで働いて十分満足感を得られ、その経験を生かすステップに移りたいというのも理由です」(畑山さん)
半年前にエネルギー業界に転職
──現在の仕事内容について教えてください
「担当している数社のお客さんを訪問して、新たな契約に向けたヒヤリングや交渉事、ときにはトラブル対応をしたり、海外のお客さんとオンライン会議、メールや電話対応したりすることがメインです。出張以外は内勤がほとんどで、外出は一日に一回あるかないか程度。出社は毎日しています」(畑山さん)
──モチベーションが上がるのはどんなときですか?
「営業職なので交渉ごとが多いのですが、トラブルなく穏便に終えたときはうれしいです!」(畑山さん)
──仕事のモチベーションはどうやってキープしますか?
「トレーディングをする部門で働いているので、海外のマーケット情報を日々得るために、英語力が欠かせません。日々おもに通勤中にポッドキャストを聞いて、実際にそのネタを話せる姿を想像し、英語の勉強しながら仕事のモチベーションを上げています」(畑山さん)
保有資格・得意言語について
──保有している資格を教えてください
「貿易実務検定と秘書検定を有していて、今年に入ってから2級船舶免許を取得しました。少人数でのパーティーができるくらいの船を運転できたら楽しそうだなと思って。船舶に関わる仕事をしていて専門用語などは理解しているので、実技を勉強して挑みました。集中して勉強したのは1か月くらいで、試験は実技と学科で3日間。10kmまでの小型船舶を操縦することができます」(畑山さん)
──英語は得意ですか?
「大学1年生のときにアメリカへ半年留学していたので、実際に住んでみて学校で習ったことがより身についた気がします。中学・高校と英語に力を入れている学校に通っていて毎日英語の授業があったので、英語の勉強は昔から好きです! 当時から、英語を習得することでその後の人生が変わるだろうなあと思っていました」(畑山さん)
──他に習得している言語はありますか?
「中国語は、中国語検定「HSK」を受けて合格しています。文字になるとわかるのですが、まだ話したり聞き取ったりはまだ難しいと感じています」(畑山さん)
畑山さんのとある平日
7時:起床
8時:通勤
8時40分:出社
18時半:退社
スーパーに寄って帰宅したり、週2回ほどジムで筋トレしたり
20時:帰宅
20時半:夕食
F1選手や各チームの最新YouTubeを観たり、タブレットでウイスキーの本を読んだりして過ごす
24時:就寝
「18時半までに仕事を終わらせることをモットーとしています。日本でもシンガポールでもパーソナルトレーナーをつけてトレーニングしていましたが、だんだん自分のボディメイク法をつかんできたので今はつけていません。20時半までに夕食を済まし、24時までに就寝して睡眠時間を確保します」(畑山さん)
「カクテルバーが大好き♡ シンガポールでもAsia Top 50の名店にたくさん足を運びました。通っているうちにだんだん自分でも作ってみたくなって、最近はウイスキーについての本などを読んで勉強しています。ウイスキーをはじめ、ジンやライムなどカクテル作りに必要なものを買い揃えて試しているところです」(畑山さん)
ジムでも家でも筋トレ!
「シンガポールは年中夏のような気候ということもあり、体のラインが出る服を着ている人が多いんです。私もそういう服を着ていましたが、そうするとボディラインが気になってくるので、特にお腹とヒップを重点的に鍛えていました。今でも、おうちでテレビを観ながらなど隙間時間に宅トレは欠かせません! 」(畑山さん)
畑山さんの通勤コーデはこちら
▲ジャケット:Lui’s インナー:MIESROHE ボトムス:Arpege story シューズ:銀座かねまつ バッグ:ÉPOR
「営業職という仕事上、人と会うことも多いので、きちんと感のあるスタイルがメインです。芯のある強さを印象づけられるようなクールさを軸に、柔和でエレガントな雰囲気も併せ持つようなコーデを意識しています。ベーシックなカラーを軸にしつつ、地味見えしないようどこかに明るめのカラーを入れるのもポイントです!」(畑山さん)
【働く女性の私服スナップ】エネルギー関連会社営業・畑山由喜さん
畑山由喜(はたやまゆき)
鉄鋼メーカーや海運会社で営業職として勤務したのち、シンガポールの会社で2年ほど働いた経験を持つ。小型船舶操縦士の資格を有し、現在はエネルギー関連の会社の営業部署に所属。F1の現地観戦と都内のカクテルバー巡りにハマり中。
Instagram:@ch.yhoney
撮影/黒石あみ ヘア&メイク/山口奈々(sui) 取材・文/近藤亜衣子
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