バターの概念を覆す、ベッピーノオッチェリの無塩バター
コロナ禍から定着しつつあるのが、お取り寄せをしたり高級スーパーで買い出ししたりして、自宅でちょっと贅沢な食材を食べる習慣。外食も気軽に行けるようになったとはいえ、やはり自分の好きなタイミングで好きなだけ食べられるのが醍醐味。
そんななか、まだ見ぬ逸品を求めて情報収集をしている矢先、グルメな知人からのすすめで出合ったのが、ベッピーノオッチェリの無塩バター。
余談ですが、購入した旨を夫に伝えたところ…… 「べっぴんのおしり?汗」と聞き返される始末。ちょっと聞き慣れない感じのネーミングですが、響きからしておいしそうな予感しかない!
といっても、ベッピーノオッチェリというのは人のお名前。イタリア・ピエモンテ州のバターの生産者さんなのです。
オッチェリ氏の手掛けるこの発酵無塩バターの特徴は、ピエモンテ州の高原で育った牛から絞られた新鮮なミルクの上澄みのみを使い、バターチェーンというひたすらかき混ぜてバターにする、現在では数少ない昔ながらの手法でつくられているところ。
そしてなんと、英国王室御用達のバターとして名高く、”THE GUARDIAN紙”でもヨーロッパのバター5選にて1位を獲得、“世界一”と称されたのだとか。(改めてオッチェリ氏、変な聞き間違えをして失礼しました)
前置きが長くなりましたが……
包み紙からもう、かわいすぎる♡
ちなみにこちらの容量は100g、価格はネットで購入して¥1,800弱(+送料)と値は張るのですが、“世界一”の称号を持つ食材を食せるのだと考えると、非常識な価格ではないかも、と思えたり。
もっとも、スーパーで売っているバターもバターってだけでまずおいしいので、その延長線の「結構おいしいな」レベルだったらそうは思わなかったかもしれません。
そのくらい、ベッピーノオッチェリのバターはとにかく異次元の味、別格だったのです。
まず特筆すべきは口溶けのよさ。大仰ではなく、本当に口に入れた瞬間からふわっと雪のように溶けていきます。
普通のバターの場合、あらかじめ少し常温に戻しておかないとうまくパン全体に塗り広げられなかったりしますよね。
ですが、ベッピーノオッチェリのバターは、冷蔵庫から出したばかりでもやわからかくてなめらかで、溶ける、溶ける。どんどん広がっていってしまうので、この↓写真を撮るにも一分一秒の勝負でした(笑)。
味は、ミルク感たっぷりでコクがあってものすごく濃厚。なのに、不思議なことに後味はすっきり。香りもまったくクセがなくて驚くほど軽いのです。
このミルキーかつエアリーな感じは、バターというよりむしろ…… なんだろう、例えるのも憚られるような、とにかくバターという範疇を越えた逸品でした。
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※記事中の感想は筆者個人の感想です
文/川原莉奈