Oggi専属モデル・飯豊まりえ出演!映画『岸辺露伴ルーヴルへ行く』の世界
飯豊まりえが大活躍する映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』! 漫画家・荒木飛呂彦氏原作『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ作品として誕生した『岸辺露伴は動かない』のアナザーストーリーが、ついに映画化。
アーティスティックな世界観とユニークなキャラクターが実写化した本作はさまざまなプロフェッショナルの仕事から生まれた一大傑作です。
劇中の衣裳はほとんどがオーダーメイド。特に飯豊まりえが演じた、岸辺露伴の担当編集/泉 京香の着こなす洋服たちはストーリーの中でも重要な要素のひとつ。
デザインを生み出した日本の巨匠、人物デザイン監修・衣裳デザイン/柘植伊佐夫さんを交えて最旬映画の魅力を語ります。
柘植伊佐夫(つげ・いさお)/人物デザイナー、ビューティディレクター、クリエイティブディレクター、プロデューサー
1960年1月27日生まれ、長野県出身。ヘアメイクアーティストとして国内外で活躍後、映画や舞台のビューティディレクションを担当。2008年以降、作品中のキャラクターコンセプト・衣裳・ヘアメイク・小道具を総合的に生み出す「人物デザイン」というジャンルを開拓する。主な作品にNHK大河ドラマ『龍馬伝』、『どうする家康』ほか、映画『おくりびと』、『翔んで埼玉』、『シン・仮面ライダー』など。話題作は枚挙にいとまがない。
飯豊まりえ(いいとよ・まりえ)/俳優、モデル
1998年1月5日生まれ、千葉県出身。2009年ファッション雑誌「ニコプチ」でモデルデビュー。2012年に女優デビュー後、数多くのドラマ・映画で活躍。主な出演作にドラマ『岸辺露伴は動かない』シリーズ、『君と世界が終わる日に』シリーズ、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』、映画『シライサン』、『いなくなれ、群青』など。ドラマ『オクトー ~感情捜査官 心野朱梨~』では主演を務めた。今夏の待機作として、アニメ映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』で声優としての出演も。Oggi専属モデル。
飯豊まりえ × 柘植伊佐夫さん ここだけトーク〈前編〉
徹底的な具現化が共感を生む「人物デザイン」がすごい!
飯豊まりえ(以下、まりえ):柘植さんとお会いしてまず、私は「人物デザイン監修」というお仕事を初めて聞きました。元々はヘア(アーティスト)をされていたのですよね。ファッション最前線の現場で!
柘植さん(以下、柘植):「人物デザイン監修」って仕事は、そもそもなかった仕事なんですよね。作品をつくり上げる中で、試行錯誤が当然あって、今のやり方になっています。
まりえ:作品をさまざまな角度から捉えて思考されて、衣裳とヘアメイクが落とし込まれていく…。
柘植:『岸辺露伴』シリーズは、荒木飛呂彦先生のコミック原作でしょう。荒木先生の作品は野性的に飛び出ているところがあるから、それを映像化する際どうやって取り扱うか悩みました。
僕、実は申し訳ないことにあまり『ジョジョ』とかを読んでいなかったんです。だから(渡辺)一貴(監督)さんから、このお話をいただいてから拝読して「あの、これをやるのかぁ」って思いましたからね。
まりえ:ふふふ。一貴さんや柘植さんの視点や感覚を毎回のミーティングで話し合われて、キャストやスタッフのみなさんに共有されていく流れがありました。
柘植:そうですね。
まりえ:芸術性が高い原作の実写化をノーフィクションノーCGでできるのも、そのプロセスがあったからこそなのかなと思いました。
柘植:CGはすごく優れているし特撮も素晴らしいと思う。実は正直、表現はどれでもいいと思うんです。ただ、最終的な落とし込みを選ぶ手段のひとつとして、選択はしなければいけないですよね。
まりえ:柘植さんのお仕事は曖昧さがなくて、確実な状態でカメラの前に送り出してくださるんです。
柘植:些細な「あれ? これってこれでいいんだっけ?」みたいなことって当然、役者のみなさんは敏感に感じる。放置して流そうと思えば流せるときもある。だけど、それでは“本当のもの”は映らない。… 飯豊さん、すごいです、鋭いですね!
「俳優・飯豊まりえ」のクリエイティブなところ
まりえ:どの世界でも“前例主義”的なことって多いと思うんです。その中で、新しいことをして、それを観てくださる方から絶対に「素敵!」と思っていただけるように、まず自分たちがいちばん好きなものをつくりたいです。
ひとりの俳優としてモデルとして、いつもその感覚を心がけているつもりですが、叶わないときもあります。柘植さんはずっと前からその姿勢を貫き通されていて。心から尊敬しています。
柘植:キャリアの中で、ずいぶん昔に感じたことなんですが。いわゆるモードがあって、ファッションとして普及して、そこから新しいアイディアが生まれて、ときにはそれが次のモードに結びつく。
その流れの中で、映画とかほかのクリエイティブを生み出すときに何をいちばん最初に取り入れるべきか。はたまた、全然違う軸を取り入れないといけない場合もある。
たとえば「醜い」とか、感情に基づくイメージ的なもの。総じて、“オリジナル”にすることが先端の表現になる。
まりえ:それを、現場でポジティブに提案してくださるところも含めて柘植さんは本当にすごいです。
柘植:すごく話を盛ってもらって、いい方向に向かっていますね(笑)。僕はお茶するのが好きなんだけど、いちばんしていたいのはお茶すること。会話はその延長で、未来に向かって楽しい話をずっとしていたいだけなんです。
まりえ:いわゆる顔合わせも、雑談でしたよね。
柘植:はい、そうです。数年前のことになりますが、飯豊さんとの初対面のことは割と鮮明に覚えていて。会話のやりとりで一種のおおらかさを感じさせつつ、年齢よりも大人びているところもある。
キャリアが長いからいわゆる礼儀正しさとかしつけを得ていながら、自由に出し入れする個人のユニークさを持ち合わせている。仕事人としての「フレーム」が邪魔にならないよう、それを突破してもらう準備の必要性を感じました。
まりえ:まさに今まで常に気にかけていることです。本当に… 素敵な現場に呼んでくださってありがとうございました。… 柘植さんとこんなにたくさんのお話が『Oggi』でできてよかったです!
柘植:ファッション誌で制作の裏側をお話しすることは珍しいことかもしれないですね。… こんなにたくさん語らせてもらった後に告白なんですが、実は僕、今回パリへ同行できなかったんだよね。日本で甲冑祭りだったから…(※柘植さんはNHK大河ドラマ『どうする家康』も手がけている)。
まりえ:そうでした(笑)! 次回作はイタリア・ベネチアへ行きたいですね。
柘植:それでまた、『Oggi』さんにも取材に来ていただいてね。
まりえ:ふふふ、楽しみにしています。
インタビュー後編はこちら!
Information:映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
特殊能力を持つ、漫画家・岸辺露伴は、青年時代に淡い思いを抱いた女性からこの世で「最も黒い絵」の噂を聞く。それは最も黒く、そしてこの世で最も邪悪な絵だった。
時は経ち、新作執筆の過程で、その絵がルーヴル美術館に所蔵されていることを知った露伴は、取材とかつての微かな慕情のためにフランスを訪れる。
しかし、不思議なことに美術館職員すら「黒い絵」の存在を知らず、データベースでヒットした保管場所は、今はもう使われていないはずの地下倉庫「Z-13倉庫」だった。
そこで露伴は「黒い絵」が引き起こす恐ろしい出来事と対峙することになる…。
岸辺露伴を演じるのは高橋一生、担当編集の泉 京香役に飯豊まりえほか、木村文乃、長尾謙杜、安藤政信、美波など豪華俳優陣が集結。原作は荒木飛呂彦の『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(集英社 ウルトラジャンプ愛蔵版コミックス 刊)。監督/渡辺一貴、脚本/小林靖子、音楽/菊地成孔 新音楽制作工房。配給/アスミック・エース。全国の劇場で公開中。
●この特集で飯豊まりえと柘植さんが着用している服や小物はすべて、本人私物です。
2023年Oggi7月号「映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の世界」より
撮影/千鶴(モノクロ写真) 構成/村上花名 ©2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社 配給/アスミック・エース
再構成/Oggi.jp編集部