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2023.06.04

衣装はすべてオートクチュール! ファッションから見る映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の魅力

漫画家・荒木飛呂彦氏原作『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ作品として誕生した『岸辺露伴は動かない』のアナザーストーリーとなる映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』 。劇中の衣裳はほとんどがオーダーメイドという徹底ぶりは、ストーリーの中でも重要な要素。岸辺露伴のバディを演じるOggi専属モデル・飯豊まりえが、人物デザイン監修・衣裳デザインの柘植伊佐夫さんを交えて、作品のファッションにフォーカスして魅力を語ります。

Oggi専属モデル・飯豊まりえ出演!映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の世界

飯豊まりえが大活躍する映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』! 漫画家・荒木飛呂彦氏原作『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ作品として誕生した『岸辺露伴は動かない』のアナザーストーリーが、ついに映画化。

アーティスティックな世界観とユニークなキャラクターが実写化した本作はさまざまなプロフェッショナルの仕事から生まれた一大傑作です。

映画『岸辺露伴ルーヴルへ行く
©2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

劇中の衣裳はほとんどがオーダーメイド。特に飯豊まりえが演じた、岸辺露伴の担当編集/泉 京香の着こなす洋服たちはストーリーの中でも重要な要素のひとつ。

今回、Oggiは作品のファッションにフォーカス。デザインを生み出した日本の巨匠、人物デザイン監修・衣裳デザイン/柘植伊佐夫さんを交えて最旬映画の魅力を語ります。

>>前編はこちら

飯豊まりえ×柘植伊佐夫

柘植伊佐夫(つげ・いさお)/人物デザイナー、ビューティディレクター、クリエイティブディレクター、プロデューサー
1960年1月27日生まれ、長野県出身。ヘアメイクアーティストとして国内外で活躍後、映画や舞台のビューティディレクションを担当。2008年以降、作品中のキャラクターコンセプト・衣裳・ヘアメイク・小道具を総合的に生み出す「人物デザイン」というジャンルを開拓する。主な作品にNHK大河ドラマ『龍馬伝』、『どうする家康』ほか、映画『おくりびと』、『翔んで埼玉』、『シン・仮面ライダー』など。話題作は枚挙にいとまがない。

飯豊まりえ(いいとよ・まりえ)/俳優、モデル
1998年1月5日生まれ、千葉県出身。2009年ファッション雑誌「ニコプチ」でモデルデビュー。2012年に女優デビュー後、数多くのドラマ・映画で活躍。主な出演作にドラマ『岸辺露伴は動かない』シリーズ、『君と世界が終わる日に』シリーズ、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』、映画『シライサン』、『いなくなれ、群青』など。ドラマ『オクトー ~感情捜査官 心野朱梨~』では主演を務めた。今夏の待機作として、アニメ映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』で声優としての出演も。Oggi専属モデル。

飯豊まりえ × 柘植伊佐夫さん ここだけトーク〈後編〉

試行錯誤から生まれたキャラを表す衣装

まりえ:デザイン画といいますか、スケッチでしょうか。拝見して、本当に素敵でびっくりしてしまいました。携わる作品で、ああいうものはあまりいただいたことがなかったので。

衣装デザイン スケッチ画

柘植:そうなんですね。いろいろとポジティブに感じていただいてるようでうれしいです。

まりえ:私が演じた泉 京香は、天真爛漫な女性で、いうなれば素っ頓狂なお洋服で露伴先生をかき回す愛すべきバディなのですが。

ドラマ(※NHKの特集ドラマとして3期放送したのち、ドラマのスタッフが集結し今回の映画化へ)ではかわいらしいお洋服のイメージが強かったのが、映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』では、封印…?

柘植:そう、封印! 違う流れになっていますね。東京を舞台としたシーンの紫のシノワ風ドレスと、フランス・ルーヴル美術館を舞台としたシーンの黒のミニワンピースを用意しました。

映画『岸辺露伴ルーヴルへ行く
©2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

これまでの京香ちゃんって、淡いトーンでふわふわしたお洋服だったから、「紫」と「黒」というのは反する色。特に今回は「黒い絵」の話なので、黒は入れたいと考えていた。

黒い衣裳って、珍しくないものではありますが、“いつもとひっくり返っている”と見ると際立ってくるものがあるな、と思ったんです。

まりえ:紫もまさにそうですよね。今までのシリーズから考えると、紫の衣裳には行き着きません。違和感が驚きとして新鮮味になって…。

柘植:そうなって欲しいなと思っています。

まりえ:紫のシノワのプリーツ、生地はすべて薄く軽やかで透けていて、それを重ねてつくってくださっていて、とっても素敵なんです! オークション会場を訪れる場面なので、普通ならもうちょっとシックでフォーマルな着こなしをするところではありますが…。

柘植:そう、京香ちゃんだと着て行かない。

まりえ:ふふふ。さっき生地のこだわりについて触れましたが、黒のワンピースもすごいんですよ。これ、一枚革なんです。後ろにジップが付いていて…。

映画『岸辺露伴ルーヴルへ行く
©2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

柘植:あ、そうそう、当初は前ジップでデザインしていたのですよね。

まりえ:私が「これ、1回後ろ前で着させていただいてもいいですか?」と、おうかがいしてフィッティングしたところ「意外とかわいくないですか?」と、なりまして。

柘植:ね。それでいこう! と。前ジップって、実はすごく常識的なんだよね。

まりえ:スパイ感あります。

柘植:そうなんだよね。なんかね、デザイン画上で、後ろ向きって描けないのね。プレゼンテーションできなくなっちゃうから、ついそういうふうに描いてしまったところもあったのだけど。よかったです。

飯豊まりえ×柘植伊佐夫

まりえ:衣裳はすべてオートクチュールで。半年かけて撮影していたのですが、最終的には肌にすごくなじんでやわらかくて心地がよかったです。体にぴったり合っているお洋服は本当にラクで、動きやすいですし疲れにくいです。

柘植:黒のワンピースはラム革。パリって革ジャケットを着ている人が多い印象があります。石畳とか建築物とか街並みの色合いのせいなんじゃないかと思うのだけど。

パリの街並みに混ざらない服で、あまりに“お上りさん”だと格好悪いじゃないですか。「ちゃんとなじんでいるね」というところへ落とし込んだ色と素材、ということもありました。

まりえ:はおったローブみたいなコートも素敵でした。

映画『岸辺露伴ルーヴルへ行く
©2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

柘植:ちょっと起毛っぽい、素材はアルパカだったかな。

まりえ:丈感もかっこよかったです。

柘植:いや、でもこれで本当に飛行機に乗ってきたの?っていう。

まりえ:ツッコみどころですよね。

まりえ:この生地どこで見つけてきたのだろうとか、衣裳合わせをするのが楽しみでした。『露伴』の現場では毎回、見たことのないものを見ることができます。

柘植:今回も予算いっぱいいっぱいでしたよ! ははは。

Information:映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』

特殊能力を持つ、漫画家・岸辺露伴は、青年時代に淡い思いを抱いた女性からこの世で「最も黒い絵」の噂を聞く。それは最も黒く、そしてこの世で最も邪悪な絵だった。

時は経ち、新作執筆の過程で、その絵がルーヴル美術館に所蔵されていることを知った露伴は、取材とかつての微かな慕情のためにフランスを訪れる。

しかし、不思議なことに美術館職員すら「黒い絵」の存在を知らず、データベースでヒットした保管場所は、今はもう使われていないはずの地下倉庫「Z-13倉庫」だった。

そこで露伴は「黒い絵」が引き起こす恐ろしい出来事と対峙することになる…。

映画『岸辺露伴ルーヴルへ行く
©2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

岸辺露伴を演じるのは高橋一生、担当編集の泉 京香役に飯豊まりえほか、木村文乃、長尾謙杜、安藤政信、美波など豪華俳優陣が集結。原作は荒木飛呂彦の『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(集英社 ウルトラジャンプ愛蔵版コミックス 刊)。監督/渡辺一貴、脚本/小林靖子、音楽/菊地成孔 新音楽制作工房。配給/アスミック・エース。全国の劇場で公開中。

●この特集で飯豊まりえと柘植さんが着用している服や小物はすべて、本人私物です。

2023年Oggi7月号「映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の世界」より
撮影/千鶴(モノクロ写真) 構成/村上花名 ©2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社 配給/アスミック・エース
再構成/Oggi.jp編集部

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