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LIFESTYLE

2023.03.22

浜辺美波さん「力を抜くことも覚えないと、どこかで自分が空っぽになってしまう」

2011年、第7回『東宝シンデレラオーディション』を機に芸能界入りをした浜辺美波さん。2017年の映画「君の膵臓をたべたい」で注目を集め、2023年4月からはNHK連続テレビ小説『らんまん』への出演も果たす。芸能生活10年を超え、俳優として確かなキャリアを築いてきた浜辺さんが考える“これからの自分”の姿とは。

かっこいい大人への序章。大切なものを積み重ねた先に描く未来

仕事を始めて10年を超えたとき、浜辺さんは一度立ち止まって考えた。これからの自分に必要なこと、身につけるべきこと。未来の自分の姿。それは、仕事をしていく上で、さらには生きていく上での土台となるもの。今、それを言葉にして表し、自分へのエールとして投げかける。

浜辺美波

プレッシャーを抱え込んで気づいた、「食べること」の大切さ

「あれは、今まででいちばん緊張した日だったかもしれません。朝からごはんは食べられないし、水分ものどを通らない。長く難しいセリフをうまく言えなかったらどうしよう。私が撮影を止めてしまったらどうしよう。そんなことばかり考えて、プレッシャーを抱え込んでいました。

でも、夕方ごろになって、気づいたんです。こんなときこそ、温かいものを体に入れて、しっかり内臓を動かさないと。そうしないと声は出なくなるし、呼吸も浅くなってしまいます。緊張したときこそ、頑張るときこそ、しっかり食べなくちゃ

食べることを大事にすることは、自分の体を思うこと。そして、仕事を乗り越える土台づくり。ここ最近の浜辺さんが感じていることだ。そして「いちばん緊張した」と振り返ったのは、3月公開の最新出演映画『シン・仮面ライダー』のセットでの撮影初日のこと。

浜辺さんはこの映画の中で、ヒロイン・緑川ルリ子を演じた。

映画『シン・仮面ライダー』
©石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

映画『シン・仮面ライダー』
脚本・監督には、総監督を務めた『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の大ヒットも記憶に新しい庵野秀明、主人公・本郷猛/仮面ライダーには池松壮亮、ヒロイン・緑川ルリ子に浜辺美波、一文字隼人/仮面ライダー第2号に柄本佑を迎え、新たなオリジナル作品として描かれる。3月17日(金)18時より全国最速公開(一部劇場を除く)、3月18日(土)全国公開 配給:東映

なんでも自分だけでやろうとしないで、人に頼る

浜辺美波

「ルリ子は、仮面ライダーとの関係において大事な役割を担っているだけでなく、彼らと肩を並べて隣を堂々と歩く強さをもった存在です。常に淡々としているけれど、闘いの中で人間らしい心を見せるところもあって、だからこそかっこいい。

そんなルリ子につけられたキャッチフレーズは、『言ったでしょ。私は用意周到なの』。ルリ子自身が自分に言い聞かせるように、何度もこのフレーズを口にしながら、準備を重ねて闘いに臨みます。

自分の大事なものがわかっていて、それを守ることができるルリ子。私が憧れるかっこいい女性像にも通じるものがあります。

私自身は用意周到かどうか… 自信がないですけれど(笑)、だからこそ、なんでも自分だけでやろうとしないで、必要に応じて頼る人を探します。知識が足りなかったら調べたり人に聞いたり、初めての挑戦ならその道のプロに指導を仰ぎます。

今回の映画『シン・仮面ライダー』でいえば、ガンアクションがそうでした。モデルガンとはいえ、重量感もありますし撃ったときの反動もものすごいもの。そしていざ演技となれば、タイミングも大事です」

さて、その準備の成果はというと、緊張した初日のセリフも、ガンアクションも、問題なくクリアそして、ルリ子から繰り出される言動の数々は、浜辺さんがこれまで演じてきたどのヒロインとも違う、新しい「かっこよさ」をつくり上げた。

頑張り屋さんの自分も間違っていない。でも、力を抜くことを覚えないと“空っぽ”になってしまう

浜辺美波

浜辺さんが仕事を始めたのは、11歳のとき。当初から演技の評価は高く、周囲が認める頑張り屋。そんな浜辺さんの最初の転機は、仕事を始めて10年たったころだった。

悪い状態のことを考えてみることで、次にやるべきことも見えてくる

「せっかく長いお休みをとっても、数日するととたんに、何をしようかわからなくなってしまいます。趣味は少ないし、自分から行動を起こして旅行に行くタイプでもない。その代わり、できた時間で考えたのは、今の仕事がダメになったら、という最悪の未来でした。

ネガティブになったということではなく、悪い状態のことを考えてみることで、次にやるべきことも見えてくる。すると、不思議と気持ちが落ち着くのです」

冒頭で語った緊張した日と同様に、「最悪の自分」をいったん受け入れて、俯瞰で考える。長い休日で浜辺さんが出した答えは、「自分を大切にすること」だった。

自分を思いやる余裕や、思ったことを伝える技術を身につけたい

「それまでの私は、ひたすら頑張り屋さん。結果を残さないと、無理をしてでも頑張らないと、って。頑張れなかったことを後悔したくなくて、ずっとそうやってきました。それはそれで、間違っていなかったと思います。でも、力を抜くことも覚えないと、どこかで自分が空っぽになってしまうんじゃないかと。

気合いだけじゃなく、自分を思いやる余裕。思ったことを自分なりの言葉で伝える技術。これから私が身につけていかなきゃならないことだと感じました」

それは、仕事だけでなく、生きていく上での土台づくり。これまでにハーブやアロマを独学で学び、次の目標は、「小さいとき、おばあちゃんがやっていたような」発酵食品づくりやその知識を増やしていくことだ。

浜辺美波

こんな浜辺さんのことを「古風なところがある」と感じつつ「かっこいい」と評していたのは、映画『シン・仮面ライダー』で仮面ライダーを演じた池松壮亮さん。浜辺さん自身はというと、すでにその先の未来の自分まで描いている。そして丁寧に言葉にして、自分に投げかける。自分にかける言葉で自分を奮い立たせていたルリ子のように。

「たくさんの経験を積み重ねながらも、大事なものを厳選していくこと。これから年齢とともに変わる体調にも向き合って、自分で管理していくこと。それができる大人でありたいと思います。そう言いながら、趣味はいまだ少ないし、やっぱり休みとなるとぼーっと過ごしてしまうこともあるけれど、ときにはそれも許しながら。そうして30代からは少しずつ、笑いジワが似合う大人に近づいていくことが理想です」

* * *

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●この特集で使用した商品の価格はすべて、税込価格です。

2023年Oggi4月号「この人に今、これが聞きたい!」より
撮影/竹内裕二(BALLPARK) スタイリスト/井阪 恵(dynamic) ヘア&メイク/paku☆chan(Three PEACE) 構成/南 ゆかり
再構成/Oggi.jp編集部

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浜辺美波

浜辺美波(はまべ・みなみ)

2000年生まれ、石川県出身。2011年、第7回『東宝シンデレラオーディション』を機に芸能界入り。2017年、映画「君の膵臓をたべたい」で注目を集める。近年の出演映画に『思い、思われ、ふり、ふられ』『約束のネバーランド』、劇場アニメ『金の国 水の国』での声優など。2023年4月からはNHK連続テレビ小説『らんまん』に出演。


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